答えは出ているようなもの。
「父さんおかえりなさい。無事で何よりです。戻ってきて早々で申し訳ないのですが、報告をお願いしてもいいですか?」
「あぁ、ただいま。私も外で見た見慣れないエルフのことについて聞きたい。」
正門から父が戻ってきた連絡をもらったので役所で待機していると、少々疲労の色が見える顔の父が帰ってきた。王太子妃とのやり取りで疲れたわけではないらしい。キルト君に遭遇したようなので何かあったのだろうか。
「早速だが、既に帝国からの宣戦布告はされているらしい。」
「は?それなら行商組が引き上げてきてるはずなんですが。」
「まだ陛下が粘っているそうだ。そもそも、王太子殿下は戦争させる為に向こうに行ったと彼女が言っていた。」
すぐにでも行商組を撤退させないとと手紙を書こうとして止められた。まだ時間に余裕があるとはいえ、いま一番遠い所まで行っているルーヴさんは帰ってくるのに4日はかかるというのに。まぁ魔法陣あるからいいんだけどさ。
というか、王太子は何がしたいんだ。
「殿下は兄が二人共生きていて自由にしているのが羨ましいから自分も、とこの国を手放すそうだ。自身の母親を使って既に事を起こしているんだと。」
「王妃が帝国に粗相かなんかして怒りを買ったことにしている感じなのかな。詳細は知りたくもないけど。」
「そんな状態だ。いつお前達に陛下から召集がかかるか分からない。城からの遣いを追い出す準備をしておいてくれ。」
「正門の警備からゾンデルさん達を一度外す必要もありそうですね。」
彼等は元獣人部隊所属だったし。行方不明となっているようだからバレたら色々面倒だ。
それにしても、フィオナ様達が生きているのも把握しているのか。祝福の範囲が広いのか、例の夜会の時に実は死んでいなかったのを知っていながらスルーしたのか。父の話を聞く限り、王太子がその祝福持ちなんだろうなぁ。
その後いくつか確認ののち、こちらであった事を報告したら父が胃をさすり始めた。
「こう、一度に色々ありすぎるのは何とかならないのだろうか…。」
「それは同感です。…父さんも、私が同行した方が良いと思いますか?」
「まぁ、以前からずっと言われていたことなんだろう?ここで断ってもまた誘いが続きそうだから、これを機に顔を出して向こうを満足させるのが今後ラクだろうな。」
渋々なレイル君と同じで父も行った方がいい派か。分からなくもないんだけど、やはりここ最近バタバタしていたから少しくらいゆっくりさせてほしい。
あぁでも、トゥコーテンさん達についていけば戦争のゴタゴタはレイル君と父に押し付けられるのか。
うーん、どっちの方がラクかなぁ?




