メドニエにいるのは知っていたけども。
完璧に解呪出来ているわけではないから一日一回トゥコーテンさんの所に行かなくてはいけないのが面倒くさい。しかも毎回あの中和剤を飲まないといけないから、逆に寝たきりの方が良かったのではとも思う。
まぁレイル君が箱庭を動かせるようになったおかげで私がラクになったのはありがたいが。
「気絶に1時間はすごく勿体ないよなぁ…。」
「その分効き目は抜群なんだからしょうがないよね。まだちゃんとしたのは作れてないの?」
「うん。取り寄せる材料があるみたいでね。明後日には届くって言ってたよ。」
箱庭部屋で抹茶大福片手にダラダラする私と、物珍しそうに大福を見るレイル君。まだ大福は出回ってないからね。そろそろ出そうとは思っているんだけど、口に含んだ彼の目が輝きだしたから問題なさそうだ。
そうやって病院と自宅の行き来だけでロクに動かないで過ごした数日後。
無事に出来上がった完全な中和剤で2時間程気絶し、解呪が成功してすぐ父からの手紙でロシュロール殿下が戻ってきたことを知った私は、スキップしながら役所に向かったのである。その姿を見た職員さん達に生温い視線をもらっていたことは知らない。
「サラ殿!ご無事で何よりです…!」
「おかえりなさい殿下。ご迷惑をおかけしてすいませんでした。」
「いいんですよ。悪いのはメドニエなんですから。先程解呪されたばかりで申し訳ないのですが少々確認したいことがありまして、お時間大丈夫でしょうか?」
戻ってくるのが遅くなった厄介事のことだろうか。私だけで判断するのもアレなので、いつものメンバーに召集をかける。
城門に常駐しているゾンデルさんは作ったばっかのモニターでの参加だ。まだテストしていなかったら丁度いい。映像にブレもないし音声にも問題なさそう。会議室の皆が物珍しそうに画面の向こうの彼に話しかけているのが微笑ましい。病院にも設置させてもらったのでトゥコーテンさんはそこまで反応していないが、使われているのを見るのは初めてなので気にはなるようだ。
「僕が最後かな?あ、それ、ちゃんと使えてるんだね良かった。」
「学校だったよね、わざわざありがとう。」
「いいんだよ、別にもう学ぶことはないから。それを言ったらメロさんも同じだしさ。」
少しだけ髪を乱したレイル君がやってきて私の隣でモニターの様子を確認し始めた。彼が箱庭をいじっている間に作ったもので説明もしてあったから、同じようにホッとしている。
全員揃ったので着席してもらい、早速殿下の確認したいことを聞く為に促す。
「確認事項の前に報告を。今回サラ殿が呪われた件ですが、ハンナ殿の処遇は此方で決めていただいてかまわないそうです。」
「何を当たり前なことを。それで許せって?」
「いや、媒体に使われた材料の一つであるミーツを没収しました。保管されている資料も全て焼却。万が一残っていることがあれば今度こそ国を潰すときょうは…警告してきました。」
脅迫と言いかけたのは誰もツッコまないらしい。その代わりミーツとやらに疑問を持つものがいたので、その説明が始まった。
成程、メドニエに特筆すべき点がなかったわけではないのか。王族の女性のみ栽培出来る植物ねぇ。没収ってことはアルテナはヤシュカにあるのだろう。後で見てみたい気もする。
「その件に関しては以上です。もう一つ。サラ殿の姉だという娘がメドニエの王太子と婚約しました。」
はぁ?
 




