【???side】王弟、恐怖する②
平日に休みがあると気持ち的に凄くラクですね。現時点で8/9までの予約投稿が終了しています。これからのことについては活動報告の方にも載せてるのでよろしくお願いします。
「君は勘違いをしているね。サラ殿はそんな事するわけがないし。それに君貴族でしょう?ちゃんと淑女教育受けてるのか疑問になるんだが。本当にサラ殿の姉かい?」
「なっ!失礼ね!ちゃんとオズマン侯爵家の長女よ!未来の王妃よ!」
いや、失礼ってそっくりそのまま返したいんだが。というか、未来の王妃?何を言っているんだ?爵位的には問題ないが、それ以外はとてもじゃないが条件を満たしていると思えない。
しかもシュゼールの第三王子はサラ殿との婚約を却下されて、元々いた婚約者である辺境伯のご令嬢が引き続きその座にいるはずだ。
目の前の存在が理解出来なくて怖くなってきた。
「報告では、サラ殿との婚約をアルテナ側が認めずにそのまま辺境伯のご令嬢との婚約が継続しているようだけど?」
「それはホントは私が受けるはずだった話よ!それをお父様が断っちゃうから!もう!ストーリーと違うことばっかり!」
ちょっとだけレイル殿の気持ちが分かった気がした。これは何処かに飛ばしたくなる。
というか、ストーリーってなんだ?脳内お花畑なのか?妄想癖?
「でもサラが魔族と繋がっているのは変わらないのね…。このまま戦争が起きて私達が勝てばストーリー通りハッピーエンドになるかしら…。」
更にブツブツと独り言を続ける彼女にもう放置して帰ろうかと思ったが、その物騒な内容に反応せざるを得なかった。
「戦争?君は何を言っているんだい?」
「ふふっ、…実は私、未来に起こることが見えるのよ!サラはこれから魔族を率いて人間の国を滅ぼし始めるのよ!」
「なんと!聖女様が未来を!?」
お、国王が反応して息子に何かアイコンタクトをとった。これはとても嫌な予感がする。
にしても、未来をねぇ。見えてるなら今自分がこうならないように対処出来たと思うけど。確かレイル殿の母君も同じ力を持っていたというが。彼女に聞いたことはないが、それが祝福ならこの聖女(笑)は偽物になるが…。聞いておけば良かったと少し後悔。
サラ殿が戦争を仕掛けるのはあり得ないが、解呪が成功した後に確認しないとか。
「聖女様。良ければその力で私達をお救いいただけませんか?」
「あ、かっこいい…。貴方は…?」
「申し遅れました。私、メドニエの王太子ジョエルと申します。私達は魔女の企みに気付かず、危うく国を滅ぼすところでした。どうか私と共に立ち向かってはいただけませんでしょうか?」
「まぁ…!」
いやいやいや、何の茶番だ。なんとなくこの聖女(笑)を囲うのだろうとは思ったが。
これは宣戦布告と捉えていいのだろうか。サラ殿の呪いの件に関しては軍を動かすほどでもないと思ったが、こうなってくると本当に準備が必要となってくる。でもそうするとサラ殿が率いて戦争を起こす状況に近からずも遠からずになる。
やはり、急いで帰って話し合わなければいけないようだ。
この先の流れはもう分かり切っているので、自分達の世界に入っている人間は放置して帰ってもバレないだろう。
それが間違いだと後で怒られるのはまだ先のことだ。




