ようこそ我が城へ。
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「とりあえず問題ないわね。でもちゃんと解呪は出来ていないから油断しないこと。絶対一人になっちゃ駄目だからね。」
流石のトゥコーテンさんでも解呪は成功しなかったらしい。やはり特殊な植物を使っているからなのか。未だにハンナさんは全てを話してくれないようで尋問が続けられているというが、彼女が先に喋るのとトラブルが起きたせいで帰国の目処がたっていないロシュロール殿下が情報を持ち帰るのどちらが早いか。
そもそもこれ以上のトラブルって何かあるか?メドニエに関してはそもそも小説に出てこないせいで情報が一切ないのがイタイよなぁ。
「どうぞ。部屋は基本的に鍵かかってるから開けようと思わないでね。」
「…おじゃまします。」
気絶から復活してトゥコーテンさんの説明を聞いた後一番最初にしたのは、家の整備だ。
レイル君には翌日訪問してほしい旨を伝え急いで帰宅し、箱庭部屋以外の部屋に作成した特殊な鍵を設置。部屋にあるとヤバそうなものは書斎に移動。ついでリーナ暴走で壊れた城壁も直しておく。
そうして久しぶりの我が家を全力で堪能した翌日、彼は早朝に訪れた。私の安眠を妨害したのである。
「いつでも良いとは言ったけど、こんな朝早くじゃなくても…。」
「先生が一人になるなって言ったのに早速引き籠ってるからさ。それで、今まで頑なに訪問を拒んでいたのにいきなりどうしたんだい?」
ただの廊下や階段を物珍しそうに見ながら彼は疑問をぶつけてくる。まぁ散々突撃を回避していたのだから当然の反応だろう。
「事情が変わったんだよ。今回みたいに私に何かあった時に、…レイル君にこいつを任せたくてね。」
「…は?これ、何なの?」
扉を開けてレイル君に入室を促し、真っ暗だった空間を慣れた手つきでスイッチを入れ電気をつける。
現れたソレを視界に入れた彼の反応は予想通りだった。
「私は箱庭って呼んでる。このミニチュアを動かすと、その通りにアルテナが変わるんだ。反映には一日かかるけど。例えば…。」
そう言って呆然としている彼の手を掴み箱庭の中の模型に触れさせようとする。これで普通に触れれば私以外でも問題なく扱えるのだが。
直前で彼の手だけ弾かれてしまう。まったく理解出来ないとこちらを窺うレイル君にやっぱり駄目だったかと諦めようとした時だった。
「何これ?」
「…先代の魔女はほんっと優秀でありがたいわ…。」
いつぞやのように表示されたメッセージに乾いた笑みが零れる。
゛使用者の追加登録を開始します。魔力を消費しますが、よろしいですか?゛




