それで帰れるのなら喜んで。
閲覧、ブクマありがとうございます。気付けば100話、こんなに続くとは思っていなかったので驚いております。拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします。
「お茶会での暗殺未遂?」
「まぁ、そんな感じだね。」
部屋に戻ってメロからのお説教を受けている最中にやってきたレイル君に驚かれ、詳細を聞いて彼もお説教に参加して。散々注意されていたことだから私が悪いとは思うけど、こんなんでも精神年齢は30オーバーなので年下感覚の彼等に怒られるとなかなかくる。
私の略式魔法(トゥコーテンさん命名)は今後誰かしらがフォローするとして、ハンナさんに呼ばれたレイル君の話を聞く為にロシュロール殿下の帰りを待つこと30分。
何故かお酒臭い彼は酔った様子もなく、しっかりとした足取りで空いてる席に座った。なんでもパーシルさんの実家が飲食店だったようで、折角だからご飯をと入店したらそこにいた冒険者の人達と意気投合し、昼から飲み交わしたと。いや、何してるんですか王弟殿下。
「彼女の説明だと、指先が軽く痺れる程度の薬だそうなのでまったく命の危険はないと。」
「それならこちらが演技すれば良いのでは?」
「検査に出されて何もなかった時のことを考えてじゃないのですか?」
検査に出されてもその程度の薬なら反応しないのでは?とも思ったが、早く帰れる口実が作れるならやってみても良い気はする。
「で、向こうの要求は?」
「罪人としてアルテナで裁くという名目で国から連れ出して欲しいそうです。」
ミリア殿下必死だな…と遠い目になってしまう。彼女のことをほとんど知らない三人は訝しげにしているけども。
連れ出した後はアルテナに留まるのか、ヤシュカに向かうのか。
「まぁ私は構いませんけど。向こうに有無を言わせずさっさと転移魔法でアルテナに帰ってトゥコーテンさんに麻痺直し貰えば問題ないですし。すっごくマズイけど。」
「カミュさん達はどうします?連れてくなら彼等に麻痺直し用意してもらうのもアリでは?」
メロの発言に未だにお酒臭いロシュロール殿下を見る。
「二人は特に問題は無いかな。この国の膿とは一切関係無かったし。」
「膿って…。」
他国の汚い所まで見たくないのでそこには触れないことにしておく。本人が頷いてくれればお持ち帰りできるのか、やったね。
父宛ての報告書に爆発にも耐えられる建物が無いか確認してもらおう。無かったら空き家を箱庭でいじればいいし。
「じゃぁ、私は明日また二人の所に行ってきますね。」
「いや、それなら皆で行くよ。」
今日みたいなことになったら困るからね、とレイル君に言われてしまって反論も出来ず大人しく頷く。一人何も知らない殿下にメロが説明してまたお説教が始まるのは回避出来なかった。ツラい。




