#97 怪巨人の放つ光線がヤバ過ぎる件
「オデバ、バオーグンガンブノイトリ、ザイクロプスダ。オマエラガイオーモノトソノイヂミカ...。」
そして、その巨人は意味の読めない言葉で話し始める。ちょっとぉっ!?通訳求む!なんて心の中で言ってると、お嬢様がその役を引き受けてくれた。
「俺は魔王軍幹部の1人、サイクロプスだ...お前らが異邦者とその一味...か...?真偽は不明ですが、そう仰ってるように聞こえました。」
え、それマジ?もう、それにしか思えなくなってきたんだが。良くあるよね、とある歌詞の分からない曲の空耳を一度知ってしまうと、中々原曲の正しい歌詞を聞き取れないっていうことが。なんて、思いながら
「魔王軍幹部...って、マジかよ。何で俺たちこんな短周期で敵の幹部と鉢合わせてんの?」
俺は彼女からすれば知るかよって感じの質問を雅に投げてしまう。
だが、本当に短周期なのだから仕方ないのだ。転生してからしてからもう半年近く経つが、その間に出会った幹部はこれで既に6人。前に聞いた話だと熊谷さんが魔王の城に辿り着くのに2年は掛かったそうだから、このまま行けばその半分の周期で辿り着いてしまう。
「知りませんわよ。悠人くん、今は目の前の敵に集中してくださいな。」
とは言え、雅も当然の反応である。
「あぁ、そうだな。じゃあ、早速『マルチファイア』っ!」
俺は言って、炎の散弾を飛ばす。と、奴はその手の棍棒で全て弾き、カウンター打ちをしてきた。バゴォォォッッッン!俺たちは散り、タイルも散る。
「や、やべぇ...。」
俺は目を大きく見開いたままに。だって、炎は弾くしタイルは散らすしなのだ。
そんなことを俺が考える刹那。
「はぁっ!」
雅が飛び出し、奴の両足を回転斬り。いくら魔王軍と言っても巨人である以上、首を切断すれば息絶えるだろう。だが、魔剣の切れ味を持ってしても完全に絶つことは出来ず。
「マジかよ...。ソ、『ソードビーム』っ!」
そこで俺もとりあえず首に斬撃を飛ばしてみるが案の定、傷が浅い。
「ですよねぇぇぇっっっ...。」
あまりに案の定だったので俺はついそんな声が漏れる。
「グゴオォォォッッッ!」
と、またまた棍棒の打撃。ルナは間に入って
「『ディスポーズ』っ!」
と棍棒を跳ね返す。そうして、怯んだ所へ
「『マルチアイシクルランス』っっっ!」
と氷の槍を放つ。それらはグサグサグサッ...!と奴の体に次々刺さる。
「グガァァァッッッ!」
奴は叫んで、棍棒を持った方とは逆に手でその槍を全て抜く。
そして、奴は槍が刺さってた穴が再生しやがった。
「う、嘘でしょっ!?」
アリシアが驚愕の表情を露にする。マジかよ、こいつ飛んでもない再生能力持ってやがるぞ。マジで某巨人系漫画じゃねぇか。なんて思っていると、奴が
「ゴガァァァァァッッッッッ!」
と雄叫びをあげ口を大きく開く。
キュィィィッッッン!すると、その口元に黒の光が収束し始める。
「何だ、何だっ!?」
俺が言うと、今度はこちらを向く。そこへ雅が口を挟む。
「皆さん、ご注意を。あれは...恐らく...」
「恐らく?」
俺が相槌を打つ。すると、
「壁を壊した光線ですわ。」
って言われる。
と、その刹那。
本当にあの壁を壊した黒い光線が放たれた。
「マジすかっ!?」
俺はそう言って左へ大きくかわす。あまりに大きかくて地面を転がってしまったから擦り傷があちこちに出来た。
「痛ぁぁぁっっっい!」
後ろではルナも同じ状況。
「くっ。」
雅の方はそんなことにはならなかったが、大きくかわしてはいた。ルチアはそもそも元から範囲外にいた。
だが、アリシアは反応が遅れたようである。かろうじて、
「『ダミープロテクター』っっっ!」
と言って杖を横にして唱えらと杖の前に魔方陣の形をした盾が生まれる。その盾はギギギィィィィィッッッッッ!と音を立てつつ光線を受け止めるのだが、そのまま彼女は吹っ飛ばされていく。
「うぐっ...ぐぐぐ...。」
と歯を食い縛りながら。あの様子だと彼女が光線を食らうことはなさそうだが、もしかすれば壁に激突して背中に大怪我を負ってしまうかもしれない。
そう判断して俺は
「雅、アリシアを頼んだ!」
と叫ぶ。すると、雅は
「了解しましたわ。」
とアリシアの方へ飛んでいく。
「アリシアちゃん、お手伝い致しますわ。」
少し後ろに飛ばされた所で雅が言うと、アリシアは
「ありが...とう...ゆ...り...。お願..い...するわ!」
と歯を食い縛りながら礼を言う。
ギギギィィィィィッッッッッ!ギュギィィィッッッン!雅が杖に手を掛ければ、どんどんと光線は勢いは弱くなり、その光線上へと払われる。
その様を遠目で見ながら、
「あの様子なら大丈夫そうだな...。」
と呟いて、すぐさま
「『マジッククリエイション』っ!マルチナイフ。」
と空中に十数の刃を生む。
そこから俺はそれらの先を奴の首に向け、
「一斉掃射っ!」
と言って、その首元に刃を飛ばす。
その刃で首の肉質を柔らかくして簡単に切断できるように、との策略であった。まあ、すぐ再生してしまったのだが。




