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95/202

#95 某巨人系漫画みたいな状況になった件

 セコンドの町への道をおよそ2/3進んだ所で俺たちは野宿をする。月は既に南中をしかけ、おそらく刻限は午後10時から11時の間。今は夏ということで、太陽とは逆に月は低い。

 「気を付けてください、プロスペレやグリモワとは魔物の強さが全然違いますの。」

パチ、パチ、パチ...と鳴る焚き火を囲む俺らに雅は言う。

「どうな強敵もこの天才アリシア様相手には雑魚も同然よ!」

「対物理なら私に任せてねぇ。」

「わ、私も精進します。」

どうやら、最近はアリシアが浮くってのが流行ってるらしい。

 そして、俺はこんな時冒険小説とかではどのような行動を取るべきか知っている。

「じゃあ、今夜は交代で見張りをするか。魔物が与えたらすぐ伝えるってん感じで。見張りをしてない人は仮眠を取るんだ。」

「そうですわね。それが賢明ですわ。」

俺が言うと、雅も賛同する。次いで、3人の残念美少女も賛同する。

 と、昼間倒したミドルウルフの肉が焼けたようだ。俺は真っ先に食らいつく。

「うん、美味い...。」

狼の肉、と言うものには触れたことが無かったのだが結構美味しかった。臭いがキツいイメージだったのだがそんなのもないし、脂身は甘いし、肉は柔らかい。謂わば豚バラみたいな感じ。

「はむ、はむ、はむ、はむ、はむ...。」

ルナはガツガツ肉を食らい、

「美味しい。」

「美味しいです。」

アリシア、ルチアもうっとりとする。対する雅は静かにゆっくり肉を口に運ぶ。流石御嬢様、品がお高いッス!

 そうして、俺たちは食事を終え先の作戦へ移る。


 その次の日。交代見張りのお陰で寝込みを襲ってきたイビルスケイルとか言う瘴気を纏った黒い蛇の群れも返り討ちにしてやることが出来た。

 「さて、行くか。」

そのことを思い出しつつ俺は皆に言う。

「えぇ。」

「うん。」

「わかりました。」

「了解ですわ。」

応えて4人はコクリと頷く。

 「おう。」

俺も4人に応えて出発の合図をする。そんな俺に彼女らは着いてくる。やべぇ、何か可愛い。可愛い子分みたいだぞこれ。メンツは限りなく微妙だが。ただし、雅を除く。

 と、そんなこんなで半日近くでセコンドの街の壁が見えてきた...のだが。それよりも目を牽くものがその壁の前にあった。

 いたのは頭に二つ角を生やした茶色い肌の巨人の群れ。巨大な剣やら槍やら斧やらの武器を持つものもあれば、何も持たないものもある。

「あの方々が今回の目標であるタイタンですわ。ですが、あの方たちは大きな群れを成す魔物ではないはず。それに、その群れの先頭にいる緑の方は...。」

あれがタイタンか...。それと、先頭の緑の奴ってのは...ああ、あれだな。確かによく見てみると群れの先頭には緑色の肌をした兜被りの巨人がいるように見える。が、遠くてぼやけてはいるし(実は若干近視寄りなのだ)、パッと見では両目の視力Aの俺でも分からない。それをパッと見で分かるとか、御嬢様はアフリカ人ッスか?

 なんて思っているとその緑の巨人が黒く輝く光線のようなものを放つのが見える。ドゴゴゴゴゴォォォッッッン...。ここからでも少し聞こえる程の轟音。これは確実に何か大きな物が崩れ落ちている。そして、そこにある大きな物と言えば街の壁ぐらい。タイタンも壁に吸い込まれていっているようになる。

 「あ、あれは...確実に壁が破壊されていますわね。」

雅が俺の思ったことと同じことを言う。

「行くぞっ!」

次いで、俺は皆を仕切り真っ先に飛び出した。巨人に街の壁を破壊され、巨人に街が襲われる。まるで某巨人系漫画みたいじゃねぇか、これ。まさか、固い甲殻の巨人とか巨人を召喚する巨人とかみたいなのがいたりしないだろうな。


 そんな不安を募らせながら、俺たちはゼェゼェ言いながら街に辿り着く。すると、それはまさに地獄絵図。

 地面には手足や首が損失した死体が沢山転がっているし、血も溝に流れ滴っている。

「く、来るなぁぁぁっっっ!」

「うわぁぁぁっっっ!」

「いや、放してぇっ!放してぇぇぇっっっ!」

あちらこちらから悲鳴が聞こえ、その度その度血が飛び散るのが見える。嘘だろ、おい。マジで某巨人系漫画のそれじゃねぇか...。

 と、ドシーン!ドシーン!ドシーン!地響きが近付く。街の有り様にしばらく唖然としていた俺たちは我に返り、剣あるいは杖へ反射的に手を伸ばす。

「グボォォォッ!」

咆哮して現れたのは巨大な長剣を持ったタイタン。おまけに結構な魔力。俺たちは武器を構える。

 さて、巨人狩りの始まりだ。一狩り行こうではないか。

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