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92/202

#92 レーヴァテインの秘技が強過ぎな件

 「落ち込んでいる暇はありませんわよ、悠人くん。どうにかしてあの方を倒しますの。」

俺の不幸体質がどうのこうのと落ち込み悩んでいると、雅が声を掛けた。

「あの方の弱点、何か思い付きませんか?」

さらに、聞いてくる。そうだ、自分のせいだ何だと悩んでいる場合ではない。早く奴を倒さねばもっと犠牲者が出るかもしれない。

 「心当たりならある。」

俺は雅の目を見て言い、そのまま続ける。

「奴は『マルチアイス』を体で受けたが、『マルチファイア』は触手で防いだ。で、その触手はまるで生命力を失ったかのように動かなくなり、燃え尽きた。奴は触手を生やすこともできる。でだ、もしあの触手1本1本が奴の体の一部だったらどうだ?」

「恐らくですが、炎を受けた後、自ら切り離したことに。しかも、体が燃えたことにもなりますの。」

俺が疑問を投げ掛けると、彼女は俺の考えと同じことを言ってくれた。

「ああ、そうだ。触手で守ったのは炎が当たると不味いから、切り離したのは燃え広がるのを恐れたから...。」

「つまり、あの方の弱点は炎ってことですわね。」

また、俺の考えと同じことを言ってくれた。

 ならば、やることは1つ。

 「皆、奴に火を放てっ!奴は高確率で炎に弱いっ!」

と俺は叫び、自らも手を翳す。後ろでは、

「『ファイアフォール』っ!」

「『ファイアシュート』っ!」

「『ヴォルカニックランス』っ!」

との詠唱が聞こえ、炎の球やら炎の槍やらが飛び交っている。便乗して俺も、

「『マルチファイア』っ!『マルチファイア』っっっ!『マルチファイア』っっっっっ!」

とと唱えて炎の散弾を放つ。

 シュキィィィン!シュキィィィ!雅はそれでも炎の間を抜けてきた触手を次々と斬り捌く。触手にはルナの固有スキルも有効なようで、

「『ディスポーズ』っ!」

ガガガガガッ!

「『ディスポーズ』っ!」

ガガガガガッ!

「『ディスポーズ』っ!」

ガガガガガッ!と女声と地を抉る音が奏でる単調なリズムが響いていた。どうやら、そのスキルで狙いを逸らされた触手は冒険者たちが斬り落としてるようだ。

 と、その次の瞬間。

 「キャァァァッッッ!」

「ファイ...っ!?」

「イヤァァァァッッッ!」

甲高い悲鳴と共に鈍い音が連なった。見ると、炎を放っていた魔法使いたちの胸が貫かれ、その後ろには触手が映えていた。

「しまった。前方ばかりに気を取られて後ろを守るのを忘れていたっ!『マルチファイア』っ!」

その様子に呆然とする前に俺は唱えて、焼き払った。だが、その内に何本も生えて来て次々と横たわる死体が増えていく。中には重傷で済んだ者も結構いたが、それでも戦闘不能であることに変わりはない。

 

 そんな絶望的状況の中で。グリモワへクエストに言っていたと言う1人の老翁が西の方角から現れた。その人は腰の鞘から魔剣・レーヴァテインを目を瞑る。

 「裏面制御リバース、解除。秘技・青龍アズールドラゴンっ!」

そして、熊谷和人と言うその老翁は唱えるとともに目を見開いた。そな目は青くか輝き、音もなく飛び出した。

 ギュォォォッッッ!対するイカはそちらにも触手を生やすが、熊谷和人は全て華麗にかわし尚前へ前へ進む。しかも、その速度は攻撃をかわすごとに増す。

「はぁっ、ほうっ、やぁっ...。」

と弱々しい怒号と共に触手を全て斬り、わずか数秒にして間合いに入り込む。

 「ギュァァァッッッ!」

続く手という名の触手、髪という名の触手も熊谷和人は全てかわし、自身を包み込んだ口からの触手は全て斬り落とし、斜め上から斜め下へ降りると共に魔剣を振る。

 「ギュゥグァァァァァッッッッッ!」

すると、触手が全て地面に横たわり、本体は頭を抱えて叫びやがて動かなくなった。そして、動かなくなってしばらくすると奴は胸の辺りから黒いものが広がって行き、その黒いものも胸の辺りから無くなって行き、最終的には跡形もなく消え去ってしまった。唯一奴がいたことの証拠になるのは奥にポッカリ空いた大きな穴であった。


 それから、俺たちはお墓を参り、取り敢えず館に戻りそれぞらベッドで寝る。

 そして、次の日。朝食を食べ終えるとすぐに町の北へ歩を進め、昨日の仕事を終わらせてしまった。

 「それにしても、熊谷さんのあの技何だったんだろうな。」

俺はクエスト完了の印が押された依頼書をピラピラさせながら言う。

「わたくしには魔剣の持つ力、と言うことしかわからないわ。」

雅は答え、ルナは

「詳しくは分かんないんだけど、魔剣はかつて高い再生能力を持った魔物を倒すために作られたんだってぇ。その名残かもしれないねぇ。」

と言う。確かにざっくりとはしてるが、一番詳しく説明出来たのは明らかに彼女である。

 「まぁ、良いか。後で調べられるし。」

そんなことを思いながら、俺はギルドに向けて町を歩く。その日からはしばらく平和な日々が続くこととなる。

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