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#91 三銃士の1人が死亡フラグ建て過ぎな件

 「『マルチアイス』っ!」

俺はまずは唱えて、十数の氷の礫をマシンガンのように射出し、化け物を狙う。が、バリバリバリバリィッンッ!奴の巨体に砕かれた。続いては、

「『マルチファイア』っ!」

と少々威力を上げつつ、炎を放つ。が、今度はババババァッンッ!と林立する触手に防がれる。その後は何故だか触手がグッタリと倒れ、それらはしばらくしてから燃え尽きた。

 ギュゴォォォッッッ!そして、化け物は大きく咆哮し、触手をこちらへ伸ばしてくる。

「っ...!」

それを見て雅が飛び出し全ての触手の先を削ぎ落とした。

「皆さん、あの触手には気をつけてくださいまし。あの触手の先は鋭く尖っていますわっ!」

それから彼女は叫ぶ。確かに良く見ると触手の先端が尖っている。

 「つまり、殺傷能力は抜群ってことだな。」

「ええ、ですから悠人くん方はこちらで迎撃に専念してくださいな。わたくしがあの方を斬ります。」

俺が言うと、雅は頷き剣を構える。次に、

銀光の精霊剣スピリチュアルソードっ!」

と叫ぶ。と、剣は白い光に包まれ、漏れ出る魔力を直に感じた。

 ギュンッ!そんな音がしたかと思うほどの電光石火で雅は化け物に近づく。

「ギュァァァッッッ!」

咆哮と共に何本もの触手が彼女を狙う。

「それで、わたくしを止められると思っていますの?甘いですわね。」

それでも、彼女は攻撃を受けることは無い。上からの触手を横飛びでかわすか斬るかし、横からの触手は上に飛ぶか斬るかする。さらに、奴の間合いに入ればその触手を利用して高く飛び上がり、斬撃の準備に掛かる。

 が、次の瞬間。

 ドドドドンッ!と奴が持つ髪という名の触手が雅を襲う。

「っ、そちらも触手として扱えましたの、ねっ...!」

彼女は若干驚いたようで、その触手を斬ることは出来たが、動きが鈍く一瞬の隙を作り出してしまう。

 「ギュォォォッッッ!」

その隙へ奴は触手を繰り出した。なんと、口の中から。

いくら、鈍化してるとは言え普通ならこれはかわせているところ。が、まさか「口の中」から触手が生えてくるとは雅も思うまい。

「っ...!」

その触手は彼女に驚く暇を少しだけ与えた後、その体の所々を貫いた。正直気持ち悪いが今はそんなことを言っている場合でもない。

 「あうぐっ...!?」

「雅っ!」

続いて、こちらへ投げ飛ばされてくる。彼女はそれでも受け身を取り、剣を杖代わりに立ち上がって言う。

「まだ、心臓はやられていません。わたくしには高度な回復を可とする固有スキルがあるので大丈夫、ですわ。ですが、あの方どうやら体表のあらゆる所から触手を生やせるようですの。」

それから、俺の肩を借りつつそう言い「ヘルス・オブ・ディバイン」とやらを唱えて一瞬で全ての傷を回復した。が、かなりの魔力を要したようで彼女は結構疲れた様子を見せた。


 と、そこへ。

 「そこのお嬢さんっ、よく頑張ってくれた!ここからは俺に任せろっ!」

何か胡散臭そうな男の声がした。見ると、そこには背中に片刃の太刀を担いだ男が、悔しいが結構イケメンな男がいた。髪は銀色で瞳は青く、着ている鎧は黒い。

「安心しろ、俺が来たからには我らの勝利を約束しよう。俺は奴を倒して宮廷騎士団に出世するっ!」

こ、こいつ今しれっと死亡フラグ建てたぞっ!何なら登場時も若干それっぽい。

「そして、宮廷で婿を持ち、子を授かるのだ!」

まただ、またまた。それも、一番有名な奴。

 流石にここまで死亡フラグを建てられると、一級死亡フラグ建築士だとか言って笑ってやることもできないほど寒い。俺に任せろだの、結婚するだの、出世するだの、敵を見かけで判断するだの。死亡フラグのパラダイスではないか。

 「どうして貴方はそこまでして死亡フラグを建てようとしますの?」

「いや、俺はあんな図体だけデカい木偶の坊な化け物に負けはせんよ。見なって、あの顔。あんな醜い顔の奴が人間様に勝てるわけがなかろう?」

「わたくしの言っていることがわかりませんか?死亡フラグをそんなに建てては本当に死んでしまうかもしれないと言ってますの。」

「ハハハ、ご冗談を!」

ハハハ、まさかお嬢様がここまで言える面白い子だったのか。俺は心の中で笑いながら、その人の肩を掴み、

「まあ、取り合えず結婚するとか言うのは止めておけ。」

とも言ってみるのだが全く聞かない。

 そこへ他の冒険者が口を挟む。

「大丈夫だぜ、雅ちゃん。その人はこの街の三銃士の1人、エミールさん、領主様と並ぶ実力をお持ちのクリスさんだ。きっと、奴を倒してくれるっ!」

「ですから、私たちは援護に回りましょう!」

ん、今なんて言った?エミールと同等?あいつ本当は良い奴なんだとは思うけど、傲慢さは否めん奴だ。領主様はともかく、あれと同等でこれとかもう終わりだろ。

 そんなことを思っていると、

「そういうこった!だから、心配するなっ!」

なんて言って太刀を抜く。デケッー!思った以上に太刀がデカい。次は、何やら唱えて飛び出す。ハエッー!思った以上に動きが速い。続いて、触手が狙ってくる中で太刀が振り回される。剣筋は触手を次々と切り裂く。ヤベェッー!そして思った以上に強いと感じた。

 「これなら、あの化け物を倒せるんじゃないか?」

俺が言うと、雅と渋々頷いた。まだ心配が窺えるがまあ良い。そんなこんなしてる内に彼、改めクリスさんは奴の間合いに入り、高く飛び上がっていた。ブンッ!ブンッ!ブンッ!と迫りくる触手も蹴散らしている。

 「ギュォォォォォッッッッッ!」

奴は咆哮とともに体のあちらこちらから触手を生やしてクリスさんを狙う。

「フンッ、無駄なことをっ!うおらぁぁぁっっっ!」

クリスさんは空中横回転斬りで吹っ飛ばし、次に

「『ブースト』っ!」

と加速を得る。その次に口から触手が生えてくるもそれが狙ったのは彼の残像で知らぬ間に奴の目の前にいた。

「抜けたぁっ!」

俺が大きく叫ぶととともに、クリスさんの方は

「取った。」

と呟く。

 「キジュツ『ギョウシメッサツ』。」

対する化け物はそんな言葉を発し、クリスさんを睨み付けた。と、彼はドクンッ!と何かを感じる。が、それも奴を倒せば終わり。そう思い、彼は叫ぶ。最強の剣技スキルの名を

「くたばれ!『エクスカリバー』っ!」

と。

 その瞬間、クリスさんの剣に光が収束し、その剣筋が奴の首元を通りすぎた。

「や、やりやがった!あんなに死亡フラグを建てておいて、死なずに奴を倒しやがったぞ!三銃士って名は柄じゃねぇっ!」

その様にしばらく呆気にたられてしまったが、俺はたちまちそう叫んだ。まさか、死亡フラグ建て続けて三千里みたいなあの男が全て破壊していくとは!

 その声が聞こたのか、

「フンッ!」

とクリスさんはドヤ顔で決めポーズを決めている。さらに、

「クリス!クリス!クリス!クリスっー!」

と皆の声援。まさに「有言実行」。彼は俺たちに勝利を与えた。


 と、思ったのも束の間。

 「ぐはっ!?」

そこで、クリスさんの動きが止まった。見ると、その胸を1本の触手が見事に貫いている。そこからは、大量に血が流れ引き抜かれるとともに一気に血が溢れだした。不謹慎だが、やはりいくら強者と言えどもあれ程の死亡フラグには抗えないらしい。

 「うっ...。」

そして、モンスターの血には慣れてきたが、人の血となると結構気持ち悪くなってくる。俺は危うく吐きかけるところだったが、何とかこらえることが出来た。

 「バ、カ、な...。この俺が負ける、など。それに何故触手を動か、せる?」

その他所で、クリスさんが途切れ途切れに言う。その答えは直ぐに出た。切られた奴の首元から触手が現れ、目が現れ、口が現れ、最後には切られた首を完全に再生していた。

 ギュォォォッッッ!咆哮とともに触手でついに動かなくなったクリスさんを掴み、奴の口の中へその死体を放り込む。剣の方は触手で吐き出した。

「ク、クリスさんがやられた...。」

「嘘...だろ?」

「マジかよ。」

このことで、皆の恐怖は一層増す。

 斬られても再生し、三銃士の1人であろうとこの様。先日のシルヴィアの件で結構強い冒険者たちが次々と死んで、今や強い者と言えば熊谷さんやらエミール(不本意だが)やらしかいない。そんな状況でどう奴に勝てば良いのだろうか?

 「ここまで、不幸が続くと...。」

俺は下を向いて呟く。それ以上は言葉に出なかたった。ここまで不幸が続くと、俺の某◯条不幸体質が原因そう思ったのだった。

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