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#90 イカっぽい化け物が突如現れた件

 シルヴィアが町に火を放ったせいから、彼女を倒したその次の日にはギルドの掲示板が家の修復やら何やで埋め尽くされていた。他のとの比は大体9:1と圧倒的。残っているのは報酬が少ないものが多い。誰しもが奉仕を優先する訳でもなく、後回しにされてしまうのは仕方がないことだ。

 よっぽど深刻な案件がない限りは俺たちもやはり一番報酬が高いのを選んでしまう。

 「外壁と窓の修繕お願いします(定員5名)」、報酬は6500コルド。丁度1人1300円ずつ山分けが出来る。所要時間は半日らしいが紅茶も出してくれるらしい。

「これにしますの?」

雅が聞いたので、俺は頷きカウンターへ持っていく。

 「お願いします。」

「はい、承りました。」

俺が言うとギルドの人は手続きを済ませてくれる。

「こちらが、依頼主の方から預かっております修復道具でございます。疲れを和らげる魔法が付与されているらしいので頑張ってくださいね。」

それから、彼女は5つの箆と5組の軍手を取り出す。俺たちはそれを受け取り、依頼主の家があると言う街の北側へと向かった。


 そして、その家に辿り着く。剥げたり崩れたりはしてるが黄色いレンガがあり、屋根も赤い。折れてはいるがフェニックスの形をした風見鶏もある。依頼書に書かれた特徴と全く同じだ。

「間違いない、ここだ。」

俺がそう言うと、早速ルナがドアをノックしにかかっていた。

 「すみませーん、枕営業の依頼に参りましたルーナでぇす!」

しかも、芸能界の闇的なことを言い始める有り様である。

「ま、枕営ぎょ...!」

雅も雅で、意味を知っていたのか変に想像してしまって顔を赤らめるという有り様。俺はルナを剣の鞘で叩きつけ、

「すみませーん、修繕の依頼に参った者ですけれどもー。」

と訂正する。

 と、そこで扉が空いて1人の男性が現れた。とても優しそうな顔をしている。

「来てくださり誠にありがとうございます。それより、先程『枕営業』とおっしゃったのどの方ですか?」

「この方です。」

その人が聞いてきたので、俺はルナの後ろ襟を掴みつつ指を指す。

「『枕営業』なんてはしたない言葉を使っては駄目ですよ、まだ若いんですから。」

「はい、精進しまぁす。」

本当か?不安しかないのだが。そう思いつつ、俺は後ろ襟から手を離し、早速修繕に移る。

 運ばれてきたのはバケツに入ったレンガとバケツに入った黄色いペンキ。俺たちの右手には軍手と箆(軍手は両手だがこの際気にしない)。それと、アリシアとルチアにはペンキ塗り。あと、強力な糊も置かれていた。

 「では、よろしくお願いします。一段落したらお茶を出しますので。」

「はい、ありがとうございます。」

そこで男性が言ったので、俺が受け応えて箆でレンガに糊を塗り、ずれないようにレンガを塗る。あっちの方では結構力持ちなルナがせっせと同じことやり、そっちの方では筋力を増強させた雅がもっとせっせと同じことをやっていた。一方でペンキ塗りを貰ったアリシアとルチアはレンガを置き直した所だけでなく剥げていた所にも黄色いペンキを塗っていた。

 と、その時。

 バゴォォォンッ!バゴォッンッ!バァァァッッン!

街の外の方から飛んでもない大きな音がした。同時に地面も大きく揺れ、ふと見るとそこには触手のようなものたくさん立っていた。

「しょ・く・しゅ・だ・ぁ!」

と金曜の7時30分から6チャンネルでやってる某国民的アニメ(今は放送時間が変わってるかもだが)の某赤ちゃんが宝石を見つたときみたいに目をキラキラさせながらルナがその場を離れようとしたので、俺は引き留める。

「おい、待て。」

と。

 すると、今度は例の空襲警報的なサイレンとともに、ギルドからアナウンスが出た。

「緊急クエスト、緊急クエスト!正体不明の魔物が現れました!冒険者の方はすぐに南門前へお集まりくださいっ!」

それを聞きつけたのが、さっきの人が出てきて

「どうぞ、行ってください。明日また来てくだされば良いですし、報酬額も下げることもありませんから。」

と言ってくれたので俺はまた、

「はい、ありがとうございます。」

と同じ応答をする。

 「皆さん、行きますわよ。」

その内に雅が皆を仕切り、先導もしてくれた。


 それから、10分程走っただろうか。やっと、南門に辿り着く。

 奴が現れたのはそれと同時であった。触手が林立する中、奥の方で何かを取り囲むように10本の太い触手が現れ、次の瞬間には地面に先端が突き刺され、しまいにはそれを使って飛んでもない化け物が地面を突き破って現れたのである。

 「ギュァァァッッッ!」

と、化け物は咆哮する。白い肌に、地面にのし掛かる触手と言う名の足とウネウネ動く触手と言う名の手。顔には赤く輝く瞳とタコが持つような牙。頭のてっぺんからは触手と言う名の髪も生えている。

 「な、なにあれ...。」

「恐ろしい、わ...。」

「何だよ、あの化け物。」

皆が震えながらその姿に目を奪われる。こいつはどこかイカっぽさがあるが、イカのような可愛さは微塵もない。

 であるからして、この化け物に恐怖しないものは居なかった。無不恐怖である。ちなみに「無不」は漢文の二重否定で「~しないものはない」ないと言う意味でこの場合、恐怖しないものは居ないとなる。もちろん、俺たちも恐怖したということは容易に想像できるだろう。

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