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#85 店主がヤドリギの矢を手に入れた件

 ある日の朝。俺は剣の切れ味が悪くなってきたために、割りと手頃価格で研磨剤を買えるシルヴィアさんの店へと向かっていた。

 店には家から5分程でついたのだが、その扉には「CLOSED」と刻まれた木板がかかっているのみである。その様子に、俺は思わず

「あっれれ~、おっかしいぞー?今日は定休日じゃないはずなのに~。」

なんて若干某名探偵な口調になっていた。

「となれば、武器屋にいくしかないかぁ。あの店、良いのは揃ってるけど結構高いんだよなぁ。」

コスパはよろし?何だそれ。何ちゃって古文が出てしまう程どうでも良い心持ちで俺はこの剣を買ってからもちょくちょくお世話になっている武器屋に向かうため、その場を後にした。


 そして、鍛冶屋へ。そこにはデジャブだけがあった。

 そこには「CLOSED」と刻まれた木板。そう言えば昨日、鍛冶屋の巨漢が明日は休暇を取ると言っていたなと今思い出す。個人経営は企業経営と違っていつでも休暇を入れれるのだから本当に自由である。ここも閉まってるとなれば、もう1つの鍛冶屋へ行くしかないがそれが結構な遠方にある。

「今日も平和で不幸な1日の始まりだぁ...。」

俺は半分涙目でその遠くの鍛冶屋の方へ歩き始めた。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 と、その頃。当のシルヴィアはグリモワ付近にある森の奥深くにいた。その森の名は「魔の森」と呼ばれ、かなり濃い魔力で覆われているためにかなり暗い。その魔力も奥へ行けば行くほどより濃くなり、さらに暗くなる。

 その濃い魔力の中でしか育たない植物がそこにはあった。

「これが、噂のミストルティンってやつね。」

シルヴィアは言いつつ、持ってきたナイフでその名のヤドリギを枝元から切っていく。それから彼女は

「『マテリアル・リ・モデル』っ!」

と枝を自前の固有スキルによって矢に改造する。

 北欧神話にも同じ名のヤドリギは存在するのだが、ここは神話の世界ではない。神話では第一位的な能力を持った光神バルドルから命を奪ったヤドリギであるが、こちらの方はその結果だけを具現化したような、つまりはその気になれば、神をも殺してしまうほどの威力を出せてしまう代物である。

 そんなものを彼女が取りにきたのには理由があった。1つは邪魔な悪魔どもの排除。それはレヴィアタン、サタン、ベルフェゴールの3人。サタンとベルフェゴールは手柄を山分けにしようと、秘密で人間界に現れたのである。そして、2つ目は...。

 「ミストルティンっ!」

と、そこでシルヴィアが声を張る。共に矢は放たれ、ギュゥゥゥッッッン!と音速を超えるまでに加速。その矢は数日前悠人を襲ったベルフェゴールの胸を一瞬にして貫き、空の彼方へと消えていった。


 「ぐはぁっ!?」

そんな声を上げ、遠方で奴はヨロヨロと地面に崩れ落ちる。

 「い...今のは何...だ?俺の原罪ロスト怠惰の極点アケーディアを無視する..など...。」

そう、ベルフェゴールには原罪ロストと言う自らが象徴する罪を具現化した能力があった。いや、ベルフェゴールには、と言うのは少し語弊がある。実際には効果は違えど、「七つの大罪」を成す全ての悪魔に原罪ロストは与えられている。

 そして、ベルフェゴールの原罪ロスト怠惰の極点アケーディアは簡単に言ってしまえば「面倒事を避け続ければ避け続けるほど強くなる能力」である。その面倒事も一度経験するばベルフェゴール自身がある程度設定でき、彼は新嶋悠人らを追うことに設定していた。それを極限まで避け続け、最強になったところで彼らにもう一度襲いかかる寸法であった。

 が、何もしないままその胸を一突きにされてしまう。ベルフェゴールは死ぬ直前、他の2人に思念を送る。

『何者かが私を狙撃してきました。もしかすれば、皆さんも狙われるかもしれません。しかも、その何者かが放ったのは私の原罪ロストを無視してきました。撤退を。』

その言 葉を受けて、レヴィアタンとサタンは魔界への扉を開く。


 そこへギュゥゥゥッッッン!という音に乗り、2本の矢がレヴィアタンとサタンそれぞれに向かう。

「くっ、やはり来ますかっ!」

迫り来る閃光にレヴィアタンは言う。それから数秒も経たない内に閃光は間近へ。そこで、ゲートが繋がり何とか矢をかわす。


 先に放たれたために少し到達の早かったサタンも何とか魔界へと帰れたようだ。

 「原罪ロスト憤怒の錬成ラースっ!」

彼が全ステータスを一時的に極限まであげる原罪ロストを使用したのは防御力で以て矢を受け止めるためではない。ベルフェゴールの死ぬ間際の思念からそんなことは無駄であると把握している。ならば、素早さでかわすしかあるまい。サタンはそれを咄嗟に判断し、一度かわしてから魔界にゲートの中へ。


 「ちっ、外したか...。まぁ、良いわ。奴等がこのミストルティンを対策しない限り、表には出てこられないはず。それには時間がかかるだろうし、私が先を越せるわ。」

1人しか仕留められず、シルヴィアは舌打ちをするも。とは言え、そう割りってしまえば諦められることであったし、諦めてしまう。

 それから、再びナイフでミストルティンの枝元を数本切り取り、2つ目の目的のためにプロスペレへと歩いていく。彼女が次に狙うのはプロスペレに住まう者である。

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