#81 色々と陰謀が始動した件
俺が屋敷に戻ると雅がそこにはいた。どうやら、途中から俺たちの戦いを見ていたようである。彼女は何やら膨れっ面をしている。その訳はすぐ察したのでかなり気まずくなる。
「何で1人で魔王軍幹部と戦いましたの?」
雅の問い詰めに、
「急襲だったもんで、戦闘が勃発してしまいまして。呼ぶに呼べなかったんです。真夜中でしたし...。はい。」
と何故か敬語で受け答える。対して、彼女は
「悠人くんが危険なら、真夜中に起こされても別に迷惑なんて思いませんっ!ですから、これからはそのような危険なことはしないでくださいな。今度はあの時のようにはいかないかもしれませんのよっ!」
と本気で泣きそうな声で言う。"あの時"とは恐らくアントニウスの一件のことだろう。
仲間の女の子を泣かせるんなんて俺は悪い奴だな。思いつつ、俺は反省を顔に表し謝罪する。
「ごめん。俺が考えなしだった。」
「反省されてるのでしたら構いませんけど...。」
それに、彼女は返す。
「そうか。本当にすまんかった。」
俺が再度謝ると、
「いえ、その代わり...。次に危険な目に合われたときに備えて、悠人くんにはそれ相応の剣術を身に付けてもらいますわよ。先に言っておきますが、わたくしの指導は厳しいですわよ?」
今度はそう言われた。
「え...。」
俺はその言に困惑のような戦慄のようなそんなものを感じ、俺の体は硬直してしまった。
と、そんな俺たちを他所に。
まだ、地面に突き刺さったままのアスカロンに触れる1人の男がいた。
「『テールム・インペリウム』っ!」
彼は自前の固有スキルを発動し、その槍を支配する。これで、愚者ゲオルギウスの槍はかの者が所有物となる。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
その一方。ペルセウルスらが天界と共に存在する世界、悪魔らが魔界。地獄とも呼ばれるその地で7人の悪魔が長机を囲み、議会を開いていた。その机の真ん中には水晶が置かれ、そこには新嶋悠人が映る。
その悪魔の集団は「七つの大罪」と言う名であった。彼らがそれぞれ象徴するのは七つある原罪、傲慢に嫉妬、憤怒に怠惰に強欲、加えて暴食、色欲。先日まではべリアルが指揮を取ったが、今は失っている
「我々はべリアル王の仇を取らねばならぬ。」
傲慢のルシファーが言うと、暴食のベルゼバブが先に口を挟む。
「ならば、私が行こう。」
べリアルとは古くからの友であった彼が仇討ちに先導したがるのは当たり前であった。
「いや、ダメだ。いくら、悪魔官のお前とて悪魔長の俺がそれは許さん。何せ連中はべリアル王を倒した強者どもだ。貴様を早々に失うかもしれぬし、それは惜しい。べリアル王もそう思ったことであろう。では、他に誰か行きたい者はいるか?」
ルシファーが言うと、嫉妬のレヴィアタン、憤怒のサタン、怠惰のベルフェゴールは挙手をする。
「私が行きましょう。」
「我輩が行くぞ。」
「いや、俺に決まっている。」
同時に3人は言う。
「そうか...。ならば、貴様だ。貴様が行け、レヴィアタン。」
ルシファーは指を差し名を指しレヴィアタンに出動を命じる。さらに、彼は言葉を加える。
「なお、今後は悪魔王べリアルに代わり、悪魔長である俺が指揮を取る。」
彼のそのような指示に、悪魔らは大きく声を重ねた。
「はっ!!!」
と。




