#8 魚に進化して死にかけた件
「すみません、前言撤回。」
誰に謝っているのかわからないが、俺はとにかく謝りたかった。それから、
「不幸だぁぁぁぁぁ!」
と、叫んで、俺はピチピチと跳ねまくった。
いや、今、考えたら、喜び跳ねまくっている暇なんてなかったんだ。
「ていうか、早く行かんと、あかへん!」
焦りすぎて、関西弁が出てしまう。あっ、言い忘れてたけど、俺、大阪出身なんですわ。って、そんなん、どうでも良いわ!俺は、悲しすぎる、ボケとツッコミのハイブリッドをしながらも、ピチピチと跳ねて進みながら、水を探し始めた。その最中、俺は空を見た。
≪ステータス≫
新嶋悠人-Lv.1(残り25経験値)
体力/240
生命力/300
魔力/100
筋力/500
知力/250
素早さ/300
器用さ/90
幸運/1
状態異常/ピラニア化
≪スキル≫
シグナル:相手は、使用者と以心伝心する。
バイツ:相手は、出血する。
ラッシュ:瞬間的に素早さを大上昇させ、相手に向かって突進する。
ポリッシュ:一定時間、「バイツ」の効果が上がる。
オートマチックヘルス:一定時間、体力の自動回復が起こる。
ハイスピード:一定時間、素早さが上がる。
ファストスイム:一定時間、素早さがあがる。水中でのみ発動出来、「ハイスピード」よりも大きな効果を得られる。
そんな文字が浮かんでいる。あいかわらず、幸運指数は1か。ていうかっ!
「うわっ!順調に体力減ってんじゃん!」
俺は、そう言いながら、ピチピチと跳ねては進み、跳ねては進みした。生命力は体力の最大値と同じなので、もう、60もダメージを負っていることになる。
「クソッ!『オートマチックヘルス』っ!」
俺はそう唱えた。すると、体力の自動回復が始まった。だがしかし...。
「間に合ってねー!」
少しは、体力の減少率がましになった。しかし、体力が減り続けていることには代わりない。
残り体力は150。そこで、俺は木製の小さな風車を少し遠くに見た。
「みっ...水!」
俺は水欲しさに涎を垂らしそうになりながら、
「『ハイスピード』っ!」
と唱えて、素早さを上げた。
「オートマチックヘルス」の効果も切れ、体力は140、130、120、110、100とどんどん減っていく。「ハイスピード」も切れ、スピードがさらに落ちる。水中の生き物は、乾燥にめっぽう弱い。俺の体にギラギラと強い日差しが直射している。そんな中、俺はもう一度、
「『オートマチックヘルス』っ!」
「『ハイスピード』っ!」
と唱えて、自動回復を開始し、さらに、素早さを上げた。
残り体力は10。風車までは約300m。
「クソッタレッェェェ!」
俺は、思いっきり、上へ跳ねた。
そして、体力残り5。俺は、近くにいた人を対象にして、
「『ラッシュ』っっっ!」
と唱えた。それから、直前でその人を避け、そのままのスピードで、風車下の水に飛び込むことが出来た。
空を見ると、体力指数は1になっていた。
「うわっ!あっぶねぇ!」
俺は、そう言ってから、
「『オートマチックヘルス』っ!」
と唱えた。
こうして、俺は元気に泳げるようになるまでに、回復した。
「マジで、死にかけたわー。」
俺はため息をつく。ていうか、ここって餌とかあんのか?そう思って、辺りを見回した。
「いなぇよーだな...。不幸だ...。」
俺は、餌が全くないことに、心の底から悲観た。