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#78 敵が竜殺しの槍を取り寄せた件

 ガキィィィン!ゲオルギウスの腰に収める剣と、俺の愛用する剣が激突する。その際、奴はこう言った。

 「俺は元々魔王を討伐するためにこの世界に来た。どうやら、イエスへの殉教がゼウスめが気に召したらしい。」

「だったら、何で魔王軍なんかに加担した!?」

ガキンッ!キンッ!ギィィィンッ!幾度も剣と剣が激突し、俺は敵に問う。

「私は転生前の世にて聖教を広めようとした!だが、あの帝は一切受け入れんかった!!!」

ギィィィンッ!キンッ!

「なればこそ、この世では聖教を広めてやろうと思ったのだ。だが、また受け入られることはなかった!」

キンッ!キンッ!キンッ!

 連なる剣撃。続く金属音。

「故、私はまた異教嫌いの王に殺されかけたのだ!その時は神の加護で助かったがなぁっ!」

ガキィィィッッッン!敵の剣を振る力は急激に強くなる。

「このままでは、あの世の二の舞だと私は思った。そんな時に魔王様は現れたのだ。魔王様だけは私を理解してくださった!」

キンッ!その気持ちは分からないでもない。が、それでも圧倒的に奴には賛同できない。かの伝説のように困っている人を助け、信仰を促さんとすることだって出来たはずである。

 「解せないな。」

俺は剣を打ち合いながら言う。

「何っ!?」

「お前は何故たかが憎悪に支配された!?キリストを一番信じていたはずのお前がどうして信仰を放棄し、魔王軍幹部なとに成り下がった!?」

ギィィィン!また、剣は激突する。

「お前に何が分かる!異文化を受け入れるべき時に生きたお前に!」

キンッ!キンッ!キィィィンッ!

 瞬間。剣の振られる頻度が高まる。俺はそれらを防ぎ、さらに突きに入る。が、そこでかわされた。

 かと思えば距離を詰め、さらに首を絞めてそのまま持ち上げてくる。

「私と貴様は時代は違えど同じ世に生まれた者同士だ。少し私を理解すると思っていたが、とんだ勘違いだったようだな!」

そう言って奴はこちらに切っ先を向ける。俺は

「ぐっ...あ、生憎と...な!」

と返す。

「ならば...早く逝け!」

「お断り...だ!」

言われるも、俺は断固として却下する。

 「フンッ...。この体勢で何が出来ると言うのだ?ましてや剣など奮えるはずがないであろう?」

ゲオルギウスに言われて、俺は告げた。

「そうか。なら、こうそるしか...ないな。」

そう言って奴の胸に向けて手を翳す。格闘系のスキルはこの体勢では使えないし、マルチ系ではおそらくかわされてしまう。つまり、奴に確実にダメージを与える方法と言えば。

「『アシッドボム』っ!」

1週間の内にアリシアから習っていた酸の爆破であった。

 超近距離で使ったために捨て身の攻撃とはなってしまったが、敵の手は首から離れ、あちらもそれなりに傷を負っている。俺は先に買っておいた回復薬にて傷を癒し、剣を構える。


 と、その瞬間。さっきまで微かに感じていた敵のオーラが急増する。しかもそれは激しくも激しい程に。

 そして、何やら敵の詠唱が始まった。

 「我が名はゲオルギウス。前世は聖者、現世は愚者。転生に伴いしは反転、前世に遂げしは殉教。されど、現世にてただ求めるは破壊のみっ!なればこそ、かの聖槍は今ひと度愚槍と化す。出でよ、竜をも穿つ魔性の槍!」

詠唱をしていると奴の横が開く。空気のみがあるはずのその空間に、まるで異次元にでも繋がっているかのような穴が生まれる。

 「竜殺しの愚槍アスカロンっ!」

そして、ゲオルギウスが詠唱を締めると共に。その穴の奥の方から黄金の槍が現れた。所々に禍々しい色の線が走っているが、それが元は聖槍であったことを物語る輝きを持っていた。聖槍とは特にロンギヌスの槍とやらを指すようだが、広義では単に聖なる槍と言うことで良かろう。

 「あれが奴の使う真の武器か...。」

剣を強く握り直し、呟く俺にはすぐに察しがついた。あの槍、つまりはアスカロン。それは、ケンタウルスに後ろ足やミノタウロスの斧、あるいは大悪魔のデビルズスティンガー。それらと同じ魔王軍幹部の持つ必殺の武器であると。それらは全て簡単に言ってしまえば、異世界版にて魔王軍版の宝具のようなものである。

 「ヘッ...。だとしたら、俺って中々凄いんじゃないか。その宝具的なあの竜殺しの槍を俺は出させたってことなんだからな。良いね、俺はたった1人で魔王軍幹部の本気を引き出した訳だ。」

俺は明らかに戦闘狂チックなことを呟く。が、一番気がかりなのは、相手はただ単に怒りだけで本気を出しただけかもしれないのに、またはあれでも本気ではないかもしれないのに、勝手に思い上がってしまったことであった。

 ナルシストとは感染症の一種なのではないだろうか?ならば、確実にアリシアがその感染源だな、などと俺が感じるのは必然だったのかもしれなかった。

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