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#74 怒りが雅の剣に強大な力をもたらした件

 「敵を...撃ち抜けっ!」

アントニウスがニヤリと笑みつつ、産出された無数の刃をこちらへ一斉射出。それを見て雅は剣を縦に横に音速で凪ぎ払い、特に俺たちに直接向かった短剣は正確に砕く。

 次いで、俺が剣を引き抜き、雅も背後に付ける。まずは俺の斬撃。アントニウスは円の盾を生成し防がれる。その続け様に雅は魔剣を振り回し、

「『魔剣』よっ!」

と敵は同質のそれで攻撃を防ぐ。さらに、

「『杖』よっ!『ウルトラレイ』っっっ!」

と杖を生み、後の光線射出。雅は横へ飛び、それをかわす。

 「『テレポート』っ!」

それでも俺たちの連撃は止むことを知らず、俺は瞬間移動にて敵の後ろを確保、すぐさま剣を奮う。そこを、アントニウスの

「突き刺され、『グレートソード』っ!」

と錬金術。生成物は大剣、俺の目の前に突き刺さる。その面は自らの剣を弾き、次に切り掛かった雅の腹にぶつけられて痛みを広げる。

「うくっ...!」

と彼女は苦しげな声を漏らす。

シュキィィィッッッン!キィィィッッッン!ギュギィィィッッッン!ギィィィッッッン!次々と響く純粋な金属音やら濁った金属音。

「貴様らは確かに屈強だっ!されど、到底我には及ばぬ。そろそろ諦めるが良いっ!」

そう言いつつアントニウスは自らが産物の剣の先で俺たちの心臓を狙う。そこを俺は紙一重でかわして「テレポート」で元に戻る。その際に雅は腹に鈍痛を覚えたわりには余裕でかわしてみせる。

 しかも、彼女はすぐさま進む。

「数多なる『刃』の、敵を撃ち抜け!」

彼女に向かいて撃ち出された無数の刃も全てその手の魔剣に砕かれ、続いて盾の層。そこで時間を取られ、アントニウスは遠くへ。そこに放置していた大剣を拾い、雅に回転を生んで投擲する。

「い、いけませんわっ!」

が、その真の狙いは俺の横に立つ太い柱。その柱は大剣に落とされ、その巨体は俺の元へ。

 雅が叫んでくれたお陰で下敷きなどにはならなかったが、ドゴーンッ!という轟きと土煙と共に、数多の刃が周囲に錬金される。俺は俵が回るように地を転がり、何とかかわして立ち上がるが、また奴は唱える。

「数多なる『刃』よ、敵を撃ち抜けっ!」

その声のその後、先程よりさらに多く短剣が一斉に襲い掛かる。

 ズゴズゴズゴズゴォォォッッッン!真横を過る刃は地を突き、続いて鈍い音が連続する。見ると、俺の身体の至るところには多くの刃が突き刺さっていた。そこから滲み出る大量の鮮血と広がる激しい痛み。

「悠人くんっ!」

雅は叫び、

「まだ、だ...。」

と、どうせ死ぬのならと剣を持って立ち上がり、奴に突進。

「死の確定が宣告されるもまだそんな気力を残しているか。とことん諦めの悪い奴め。『手甲』よっ!」

が、結局は錬金術による鉄拳でついに最後を迎える。


 その死に行く姿を見、雅は片手の魔剣の柄を強く握りしめ、暗い顔となり、同時に決意する。手は仲間を殺められた怒りでワナワナと手首が震える。

 「よくも...よくもわたくしの仲間を。よくも、悠人くんを、その命を奪ってくれましたわね。」

「ほう、怒りに耐えられぬか?だが、我にはその心が理解できぬ。なぜなら、人はいずれ死ぬのだぞ?あの者はその時が他の者よりも早かっただけである。」

「黙りなさい...。」

小声でそれでも怒りが現れた声色で雅は言う。

「我にもその昔数万の臣下がいた。其奴らは古代の大戦で過半も命を落としたが、我は何も感じなかった。貴様らが魔物と戦うように、奴等も敵と対峙していたのだから、命のやり取りを伴うのは当たり前だろう。」

「お黙りなさいって言ってるんですのよ、この外道っ!そんなことわたくしも十分承知していますのっ!でも、そんな風におっしゃるのであればわたくし、絶対に許しませんわよっ!」

その言葉に雅は今までにない程の怒りを覚えた。

 そして、雅は魔剣が持つ真の力の一端を解放する。

第一制御プライマリ、解除。銀光の精霊剣スピリチュアルソードっ!」

言葉が終わるその次の瞬間。先程からも漏れていた剣からの魔力は激増。その前と比べてもまさに雲泥の差。彼女はその後、

「『エンゼルレイン』っっっ!」

と光属性の魔法、輝く雨を多く降らす。その威力も絶大で、地に当たれば深く窪みが生まれる。アントニウスは前後左右に華麗にかわし、

「数多なる『盾』よっ!」

と唱えて、雨を返して代償にその全てが砕け散る。

 

 「なるほど、その膨大な魔力。魔剣が秘める強大な力と見たぞっ!」

アントニウスが言う。雅が層を成す盾を瞬時に破り、急激に距離を縮め、さらに剣そのものの質も強化して錬金された魔剣をもあっさりと砕いてしまったのである。

 怒りがもたらしたダーインスレイブの真の力。その力は強大も強大で、雅の腕もその大いなる力を奮うに値した。

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