#71 伝説の三大英霊の一角と出会した件
先にダンジョンと言うものについて説明しておこう。
基本はゲームと同じで、ダンジョンにはたくさんのモンスターが湧き、その奥には中ボス級のモンスターやら大ボス級のモンスターだって潜んでいる。ちなみに、ここで言う大ボスとはステージボスの方。言わずもがな、お宝のようなものが眠っている可能性も存分にある。
次は他の情報についてだ。ここからはもしかすればオリジナルなのかもしれない。
地上と違って乱入は起こらないが、代わりに奇襲などのイベントは起こりやすくなる。さらに、ダンジョン内はモンスターたちの動きが活発となり、地上では倒せたモンスターがここでは撤退を強いられる、なんてことも少なくはない。
そして、俺たちは早速、モンスターに出会していた。
敵はスライムの群れ。色は青に統一されている。
先に言っておくが、この世界のスライムというのは酸そのものであり、あっちの世界での法則が成り立つ以上、金属製の武器では倒しづらい。物理攻撃は一応聞くのだが、斬撃ならすぐに結合されて無意味となる。つまり、奴を倒すにはあの日の初戦闘のように一気に潰してしまうか、結合する暇を与えない周期で連撃を行うかなどの策が必要である。
そう考えてみるとスライムはいくら雑魚敵とは言えど厄介な相手なのかもしれない。バイ○ハザードで言う所のカラスと同じ位置付けであろうか。こ○すばとか言う人気ラノベのスライムの特性がここでも若干出てきてる感じだな、全く。
とは言え、何もしないわけにもいかない。こっちには魔法だってある。相手が酸の塊である以上、「スマッシュ」を繰り出す勇気は俺にはない。故に、
「『マルチファイア』っっっ!」
と炎の散弾を敵にぶつける。それでも全滅しないためにアリシアが、
「『マルチサンダー』っ!」
と枝分かれする雷で残りを抹殺する。
そんなこんなで俺たち5人パーティーはダンジョンのその奥へと幾多のモンスターを倒しながら進んでいく。例えば、ゴブリンやケイブウルフ、バットなど。物理攻撃は問題無くルナの「ディスポーズ」が受け流し、雅は俺の斬撃を背に縦横無尽にダンジョン内を交い敵を裂き、アリシアが援護を担う。無論、ダメージを食らえばルチアがそれを癒す。
その末、俺たちはダンジョン最深層まで来る。と言っても層は3つほどで雅のお蔭もあって危険なことはほとんど無かった。
そこには拓けた場所がある、その中央には人影らしきものがあった。何をしているのだろうと近付こうとするとそこで雅に制止される。
「どうしたんだ?」
俺が聞いてみると、雅は
「あの方からは尋常じゃない邪気と魔力を感じますわ。わたくしはここのボスではないかと存じますの。一人で向かうのは危険ですわよ。」
と返す。
「そうか、止めてくれてありがとう。」
危険を回避できたために、俺は礼を言う。
と、そこでそいつはこちらを向く。
「よくここまで来たな、雑兵。」
さらに見下す。あれ、そのキャラめっちゃ見覚えあるぞ。黄金の鎧を着用してところもかなり似ている。彼と違って髪は銀に光輝し、その眼は蒼の色を孕んではいたのだが。
「貴様らのような雑魚風情がここまで来られたことは心から褒めてやろう。だが、それもここで終結し、ここが貴様らの墓場となる。」
やべぇ、何処ぞの最強サーヴァントにしか見えてこねぇ。
「フン...喜べ、貴様らは最強と謡われるこの我に滅されるのだ。まさに名誉なことよ。加えて、貴様ら全員が仲間と共に死を迎えられるのであるぞ。これは貴様らにとっても喜ばしいことであろう。」
こいつ、真名がギル何とかだったりしないよな。結構そのままなんだが。全国のギル何とかファンに怒られるかもしれないが。これは異世界版宿命の始まりか?「宿命」ってのは著作権への配慮で即興で作った隠語だけども。
と、思いつつ。
「で、名前とかあるんなら名乗ったらどうなんだ、金ピカ。」
俺はそのギル何とか擬きに向かってそう言う。
「『金ピカ』だと!?我にはアントニウスと言う名があるのだ。それを『金ピカ』などと称すとは無知にも程があるわ。」
「...!」
その言葉を聞いて、ルナが反応を見せる。俺は
「どうした?」
と彼女に聞く。すると、ある伝承がこちらに返ってきた。
「『超古代世界大戦』って知ってるぅ、悠人ぉ?太古の昔に起こった魔術師やら何やらの戦争なんだけどねぇ。その戦の伝承にとある3人の最強の戦士の名が記されていいるんだぁ。錬金術のアントニウス、人形遣いのフランシェスカ、銃士のモーガンなんだけどぉ。中でもアントニウスって言うのはとっても強くてぇ、魔法ともう1つの古代技術のハイブリッドで作られた超兵器の一斉攻撃によってやっと倒すことが出来たんだってぇ。彼は他の2人と合わせて三大英霊って言われているんだってぇ。彼らの使ってた魔術はもう失われているだんけどねぇ。」
一連の説明を聞いて、俺は単なる厨二病設定なのだとも思ってしまった。が、魔剣のことやらそこら辺のことを知っていたルナがそれを言うのであれば、不思議と説得力は湧いてくる。
三大英霊の一角、錬金術のアントニウス。キャラは何処ぞのサーヴァントと被る上、「英霊」と言う立ち位置はそのまんま。そんなことはどうでも良いとは言え、確かに奴は最強なのかもしれないし、飛んでもない敵を相手にしたものだとも俺は思い始めていた。




