#69 ツッコミ不在のクエストが無茶苦茶な件
この前も言った通り、俺は骨折を代償に魔王軍幹部べリアルを見事倒してみせた。そのお陰でたくさんの経験値を貰いレベルが15から23まで一気に上がるという大判振舞い。どうやら町の人からお金が入ったらしく報酬も100万コルド。おそらく、慰謝料的なのも含んでいるのだろう。とは言え、いつも通り50万コルドは町へ、残りは50万で山分け。その内、俺のは治療費で8割方が吹き飛んでいった。
だがしかし。某駄菓子屋コメディーのタイトルじゃん!と言っている暇も無いほどに重大な問題が発生している。金銭的問題など可愛いものだ。今のパーティに俺は不在、つまりツッコミ役が不在なのである。雅は唯一まともだがきっと彼女たちに持て余すことであろう。
さて、あれから人々は魔王軍の残党狩りに忙殺の日々を強いられた。
そして、案の定、ツッコミ不在のパーティーは中々無茶苦茶なことになっていた。もちろん、クエストも同じ。一応、雅が俺に変わって雅がリーダーを引き受けてはくれたのだったが。
シュキィィィッッッン!シャキィンッ!と白く輝く剣筋。言わずもがなその主は雅。彼女は彼女らを囲む植物系のモンスターに向け、魔剣を振り回しているのである。
その一方で圧倒的問題力、圧倒的変態力の3人。この際、ナルシストも変態に含むこととする。
まずはルナ。
「わぁーい。」
彼女は笑顔で対峙する敵の元へと向かう。
「ちょっと待ちなさいな。今手が離せないんですの。そちらへ行ってはいけませんわ。」
という雅の制止も聞かずにである。結果、彼女は敵が奮う触手にぐるぐる巻きにされてしまう。
「いやぁーん、だぁめぇ。」
だが、むしろ喜んでいるようだ。
次はアリシア。やる時はやるナルシストがモットーの彼女も大変まずいこととなっていた。
「忌まわしい植物め、この大天才アリシア様の前にひれ伏し、燃え付きなさい!『ファイアシュート』っ!『ファイアシュート』っっっ!『ファイアシュート』っっっっっ!」
思い上がるアリシアの炎も威力は絶大。そのお陰で敵の数が一気に減る。だが、同時に周囲が大火事となる。
「何をしてるんですのぉっ、あなたは!」
それを見る雅の反応はその他には無い。
最後はルチア。回復が必要な人がいないことをいいことに彼女はどうやら雅から借りたらしいスマホで触手にぐるぐる巻きのルナを取っている。
「良いよ、良いよぉ。もっと、撮って良いよぉ、ルチアぁ。」
しかも、御本人は晒されるのを喜ぶ有り様である。これはビッチと言うよりドMの所業。「【速報】ビッチことルーナ・リンネル・エイプリルはマゾヒストだった」と言う文字と共にテレビのニュースで流しても良い程である。
そんな風に無茶苦茶なクエストもやがては終わる。何せ魔剣を上手く扱う雅がいるのだ。本来ならもっと早く片付けられた筈なのだが、他の3人が足を引っ張ってかなり時間が掛かってしまった。
その日の夜、雅は治療所に姿を現し俺の前へ。
「あの3人、わたくしには手に終えませんわ。悠人くん、今までよくあれを従えてきましたわね。」
と涙は見えないものの泣きついてくる彼女。まぁ、今までツッコミで何とかなり続けていたからな。そんなことを思いながらも、俺は
「ごめん。もうちょっとだから頑張って。」
と答えるしかなかった。




