表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/202

#68 腕を犠牲に再び神雷システムが役立った件

 町の外は大惨事だがどうやら中にまでは広がっていなかったようだ。俺は1つの死体も1つの倒壊みることなく剣を買う際に世話になった武器屋に辿り着いた。そこの店主が鍛冶もやっていると言う情報を耳にしていたからである。

 「おぅ、あの時の兄ちゃんか。兄ちゃんは町の外で一緒に戦わないんか?」

俺が入ってくるなり、店主の巨漢はそう言った。俺は、

「いいえ、あなたに聞きたいことがあってここに来たんです。それを聞いたらすぐに戻ります。」

「俺に聞きたいこと?良いぜ、俺が答えられるもんなら。」

「『ライトニングロッド』ってスキルについて何か知ってますか?」

「兄ちゃん、それ習得したいんか?」

「は、はい。」

 「なら、裏庭に来い。今夜の酒一杯で教えてやるぜい。」

「良いんですか?」

「もちろんだ。兄ちゃんにはこれからも贔屓になりたいしな。」

俺は店主と言葉を交わしつつ、言われた通りに共に武器屋の裏庭に出る。

 「良いか、『ライトニングロッド』ってのは金属を対象に雷のエネルギーを付与し、任意で解放をするってスキルだ。俺たち鍛冶師はこれを使って雷から身を守る魔道具を作ったりするっ!」

「はい。」

「試しに、その魔石をこちらへ向けて『雷よ来たれ』って唱えてくれい。その雷、見事この剣で受け止めてみせよう。」

俺は即座に手元の黄色い宝玉を彼に向け、

「分かりました。雷よ来たれ!」

と早速唱えて見せる。すると、石に力が集い始めた。俺にはこれから何が起こるのか分からない。

「良いか、雷のエネルギーを受け止めるって言っても勢いまでは殺せない。だから、筋力は多めの方が良い。俺は魔石からの雷程度なら防げるが、兄ちゃんの体格なら『プロテイン』とかを使ってからの方が良い。」

 ビリビリビリリリィィィッッッ!そして、貯められた力が雷と化して放たれた。向かう先は店主。それを見て、彼は

「そして、雷に切っ先を向け詠唱する!『ライトニングロッド』っ!」

 ドゴーーーン!詠唱の後の轟音。砂埃を上げながら地面を抉り、後ろへ滑っていく店主。だが、彼は立ち続け、しかもそこには雷の姿は無かった。ただ、店主の剣にバチバチと火花が散っているだけである。

 「す、すげぇ。」

俺が関心を露にしていると、さらに

「放てっ!」

と店主は貯めた雷エネルギー前方へ解放する。それもやがて失せるが、その道筋にあった草は全て灰と化していた。

 

 それから、約10分程も後。「ライトニングロッド」を覚えた俺はカウンターの人から「プロテイン」の1つ上「ハイプロテイン」までも教えられた状態で再び門に現れる。おかげでかなり貯まっていたスキルポイントも2Pまで減ってしまったが。

 そのまま、人混みの中を進み、アリシアに声を掛ける。

「アリシア、俺は今から奴に突っ込む。援護を頼んだぞ。」

「えっ、ちょっと!?それは構わないけど、あんな奴に真っ正面から突っ込むなんて、いくら天才である私が認めるあんたでも無理よ!ここは天才アリシア様に任せなさい!」

アリシアがそう言ってくるが、誰にどう言われようが考えは変わらない。

「お前、こんな時にまでナルシストキャラを貫き通すのかよ...。まぁ良い。『ここは天才アリシア様に任せなさい』ってのは援護を任せろってことで良いよっ、な!」

俺は一度目を細めて彼女を見た後、前を向き、一気に飛び出した。

 「もう、仕方が無いわねっ!」

どうやら、アリシアも割り切ってしまったようだ。よし、これで良い。俺は小さくガッツポーズをする。これで作戦を開始できるぞ!


 さて、ここでその作戦とやらを打ち明けておこう。

 まず前提として俺は死なずに神雷を何とかして攻撃手段としようとしてる。そして、さっき「ライトニングロッド」と補助用に「ハイプロテイン」まで覚えてきている。これらから考えうることは1つしかない。少なくとも、俺にとっては。

 そう、「ハイプロテイン」で増強した筋力と避雷針こと「ライトニングロッド」で神雷を受け止めてやろうというのである。


 と、目の前に大量の蝙蝠たちが転移してきた。それにも構わず、俺は剣を振り回し、突進を続ける。

「『パーフェクトシールド』っ!『マルチサンダー』っ!『リフレクション』っ!」

後ろではアリシアがスキル名を叫び、こちらに狙う黒い針やらこちらに突っ込む悪魔を退ける。彼女に攻撃が向けば、雅がその手の魔剣で跳ね返している。そのお陰で俺は安全にべリアルの足元まで来ることが出来た。もちろん、彼女たちにも目立つ新たな傷は無い。

 「よく俺を陥れてくれたな。この悪魔め。」

「フン...悪魔なのだから人を陥れてても違和感はあるまい。」

「そうか。なら、俺からの制裁を食らえ。『ハイプロテイン』、『ライトニングロッド』...。」

俯いたまま2つのスキル名を呟く俺。次に剣を天に掲げるのも俺。

 「貴様。何をするつもりだ?」

「オタクし...。」

言い終わる前に上空に閃光を確認するのも俺。その瞬間、ゴロゴロゴロ...と言う轟きと共に切っ先へ神雷が落下した。

「ぐっ...!?」

その余りの勢いに強く地面に叩き付けられる俺だが、その手はしっかりとリチャード・クロムウェルの剣が握られている。

 「ハイプロテイン」のお陰で腕も何とか耐えている。「ライトニングロッド」により神雷のエネルギーの全てが剣に集中しているために死ぬ感じも毛頭ない。後はこの雷を振り払うだけ。その効果が切れるまでは同名スキルの併用は出来ないために俺は、

「『プロテイン』っ!」

と下位の筋力増強を行う。

 「うぉぉぉっっっらぁぁぁっっっ!」

大声を出すと力が入りやすくなると言うのも本当のようで俺はついに神雷エネルギーをたっぷり吸収し、残りは振り払うことに成功したのだ。

 「そ、その光は...!ケンタウロスの奴があっさり倒されたって言うあの...。」

「そうさ、あっちからすれば不本意なんだろうが、それでも俺にはペルセウスの加護を受けている。失せろ、大悪魔!放てっ!」

そう叫び、その膨大なエネルギーを全てべリアルにぶつける。すると、一瞬にして奴は真っ二つとなる。全身が雷電に包まれる。

 「クッ!我がしも...。」

「さ、せる...か...。『テレポート』。」

さっきから俺の手が激痛を訴えているが構っている暇など無い。俺は奴の上へと瞬間移動し、

「『ファイタールーキー』、『フロントキック』。」

はたまた異なる2種のスキルを発動する。前者が強化し、後者でその2つを蹴り飛ばし、再び「テレポート」で地面に戻る。

 「今だ、神官の皆!奴に『エクソシズム』を!」

さらに、後ろに向けて悪魔払いを指示する。その後、

「『エクソシズム』っ!」

「『エクソシズム』っ!」

「『エクソシズム』っ!」

とあちらこちらからその名が聞こえ、彼らの手にあるメイスから聖なる光が撃ち出される。その全てが狙うのはもちろんべリアル。かなり弱った今の奴であれば回復をする内に数の暴力で叩きまくれる。

 さすれば、べリアルの体は次々と消え失せていく。

 「べリアルはこれで終わり、か。」

「まぁ良い、俺たちには何ら関係はない。」

「帰るわよ。アスモデオス、ベルフェゴール。」

それを他人事のように見つめる3体の悪魔。俺はそちらを向いて、今度はお前らの番だぞ、と殺人鬼じみた事を言ってやろうとしたが不可能となる。何故なら奴等が漆黒の魔法陣の中へと消えていったからである。

 こうして、俺は再び神雷システムを武器とすることに成功したのである。あの3体は取り逃がしたものの、幹部を倒すと言う本来の目的は達成できた。どうやら、腕が犠牲になっていそうだが。


 そして、その次の日。案の定、腕が骨折していた俺はアームホルダーをつけたまま、町の治療所の前で仲間4人と面会する。医者からは完治に1週間ほどは掛かると言う。それでも、あっちの世界よりは遥かに早い。

 こう言った点では科学よりも魔術の方が一枚上手なのかもしれない。

 「あんな無茶するからよ。悠人って本当にバカよね。」

「大丈夫ですか、悠人くん?」

「大丈夫ぅ?悠人ぉ。」

「その様子ですと大丈夫と言うわけでもではありませんわよね。お大事にしてくださいな。そらに、お手柄でしたわね。お陰で危機は去りましたし、わたくしたちもたくさん経験値をいただきましたわ。」

心配してくれる仲間と言うのは素直に嬉しいが、第一見るからに大丈夫ではない上、頭の中が心配な彼女たちに心配されると言うのはつくづく嫌な感じまでしてしまうものである。雅ただ1人を除いて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ