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#65 べリアルとの戦闘が勃発した件

 熊谷和人とエミール、彼らゴールデンコンビの介入。それだけでこの裁判の判決が覆るとさえ俺には思えた。だが、現実はそこまで甘くは無い。

 「いくら勇者様とエミール殿の申し出であろうと、あなた方はこの裁判の傍聴者であることは変わりはせん。傍聴者に被告人を弁護する資格はあらぬ。」

どうやら2人は裁判長に証拠の提出を要求したようだが、領主は当然のレスポンスを返してくる。

 その言葉を聞いて、1つ不思議に思った俺は、隣のルナに

「おい、かのプロスペレ領主様が知ってる上に殿付けまでされるってさ...。エミールってそんなに偉大な奴だったのか?」

と耳打ちをする。と、彼女からは

「うーんとねぇ、別に私はエミールのことなんて別にどうでも良いんだけどぉ。ナンパで捕まえた時にブレイズドラゴンをたった1人で倒してしまたって聞いたんだぁ。どうやらエミールって勇者の候補らしいんだってぇ。」

いやぁ流石、天下のビッチ様だな。最初っから一言余計だ。そんな俺は既に冗談を言える所まで余裕を取り戻していた。

 と、その時である。

「弁護人なら悠人を弁護する資格はあるわよね。」

とアリシアが口を挟んだのだ。

「その通りだ。だが、よっぽどの事がなければもう判決を覆すことは出来ぬぞ。」

と領主の言葉。それを聞いても、アリシアはまだ余裕を見せている。と言うか、その背中にはどこか誇り(威張っちゃっている方)を感じる。そこに俺は何やら頼もしさも感じられた。ナルシスのくせして、その期待を裏切らない。それが、アリシア・ローズ・グリモワールと言う少女である。

 「刮目しなさい、この天才アリシア様が裁判長の言う"

よっぽどのこと"を起こす瞬間を!まぁ、私にしか出来ないことよね。」

そう言うアリシアが首元からあのペンダントを取り出し、裁判長の方へとそれを差し出した。それはグリモア領主一族、その証となるもの。確かに、これは"よっぽどのこと"だし、今この状況でアリシア以外にこれを起こせる者はいない。だが、それは血筋のお陰であり、単にグリモワ領主様とその御令室様が彼女をお産みになられただけなのであって、決して彼女の力に由来するのではない。

 「ねぇ、裁判長にプロスペレの領主さん。私は弁護人だし、実はグリモワール領主の娘でもあるのよ?そう言えばプロスペレとグリモワって確か同盟関係にあったわよねぇ?もしここで断るって言うんなら、そのことを父様に言いつけたやろうかしら。」

「...。」

後のアリシアの言葉に押し黙る裁判長と領主。お、大人げねぇ...。アリシアの奴、天才とか自負してるくせに脅しなんて言う方法を選ぶのかよ。

「そしたら、大切な同盟が無くなってしまうかもしれないわねぇ。折角魔王への対策のために仲良くなったで言うのにねぇ。まさか、あんたたちはそんなリスクを自ら背負にいくって言うわけ?」

そう感じる俺のことを考えもせずに、脅しは続いていく。これは俺が止めようとしても、無駄に終わるだけであろう。

 その末、アリシアの血筋としての介入もあって、かのゴールデンコンビの証拠の提出が認められることとなった。

 とは言え、それは直接的な証拠では無く、間接的な証拠。しかも、自動で証拠となるものではなく、手動で証拠となるものである。その名は嘘発見器ポリグラフ。その名の通り嘘を発見する魔道具。生前の世界にも同じ名前の機器があったが、あれは脳波がこうだから嘘だとかそんな理屈っぽい原理で、こちらの方はもっとファンタジーめいた代物である。どうやら、嘘を感知すると容赦なく音がなる仕組みらしい。

 そこで原告のアンジェルネさんがエミールに向かって(そんな風に見えた)

「ちょっと、あなた!どういうつもりなの?」

と言った。だが、エミールと言う男は嫌いな女はとことん嫌う。彼は彼女を睨み付け、

「黙れ、外道。俺はこんな方法は気に食わん。それに、こちらにも考えってのがある。悪いが、貴様には悠人らのパーティに打ちのめされてもらうぞ。」

ひ、酷い侮辱だ...。見るからに、これはその"嫌いな女"に当たってるな、彼女。しかも、エミールの奴、あの女が魔王軍幹部だって気付いている節があるくないか?そわな考え事をしながらも、俺は口を開いた。

 嘘を見抜く魔道具と言うことは真実を突き止める魔道具と言うことである。全くの反例は無い。つまり、これはチャンスであり、俺にとっては珍しい幸運である。チャンスとラックを手に入れる。それは僕に「まるでシ○ィーハンターだな」と言う迷言を生み出す切っ掛けを作り出した。

 そして、俺は目前の台に置かれた嘘発見器ポリグラフに向かって大声で叫ぶ。とりあえず初めに疑りを晴らしてからなんてそんな回りくどいことはしない。アンジェルネさんの正体が魔王軍幹部べリアルだってことも全部引っ括めてそっくりそのまま言ってやる。フハハハ...べリアルよ、お前が俺に自分の正体を明かしたのが運の尽きだったな!そう思う俺は早速叫ぶ。

「良いか、よく聞けよ!そこのアンジェルネさんって女の正体はべリアルって言う魔王軍幹部だ!それに、俺が犯罪者なんて言い掛かりだ!俺はアンジェルネさんには何もしてない!」

その叫びに皆が、

「アンジェルネさんが魔王軍幹部だとぉ!?そんなの有り得ないだろうが!悠人、テメェ免罪のみじゃなく冤罪までする気かぁ!」

「そうだ、そうだー!」

「そうだぞー!」

フンッ...ほざけぼさけ。そんなブーイングを食らっても俺は余裕の嘲笑を浮かべていれらた。

 もちろん、嘘発見器ポリグラフは反応を示さない。何秒待っても音を響かせないのだ。

嘘発見器ポリグラフが反応しない!?」

「って言うことは悠人が言っていることは本当だったのか!?」

それを見て、野次馬どものブーイングが止む。だが、アンジェルネさん、いやべリアルはまだ抗う。

「きっと、その嘘発見器ポリグラフにさいくがしてあんのよ!いくら勇者様とエミールだからって人を騙さないとは限らないんじゃない!?」

その言葉に皆が騙されて、

「よ、よく考えみればそうだ!」

「そうだ、そうだ!」

 「黙れ、傍聴者どもが!そこの魔道具に細工などしてないわ。細工があるんってんならその痕跡が残っているはずだ。何ならそこの検察官に確認してもらうか?検察官なら被告人を庇う恐れは無いだろう。」

そんなほざきに言葉を返すのはエミール。それを聞いて、早速検察官の内1人は鑑定スキルなるものを使って嘘発見器ポリグラフを調べ初める。

 結果は思い通りの細工無し。

「ってことはやっぱ悠人の言っていることは本当か!おい、姿を表せよ魔王の手下め!」

心移り早すぎだろ、お前ら!

「そうだ!そうだ!」

じゃねぇっよ!

「第一おかしいと思ったんだ。悠人の奴が性犯罪を犯すなんて!どうせ、悠人たちを陥れる魂胆だったんだろ!」

本当にそう思ってんのかよっ!そんな風に心の内でツッコミを入れる俺。

 「フフフフフ...フハハハハハ...!バレたものは仕方が無い!」

と、べリアルが恐ろしげに笑う。もうその姿は人間の方ではなく悪魔の方であった。

「皆、気を付けろ!奴はここで戦闘を始める気だ!」

俺がそう言うも、時は既に遅い。

「発動。邪王の死棘デビルズスティンガー。」

べリアルはそう言って、隣の検察官全員、その心臓を数本の棘で貫いた。その際に検察席も壊され、その大きな破片が傍聴席の方へと飛んでいく。それを見て熊谷さん、エミール、雅の3人は一斉に飛び上がり、宙を交い、その破片を木端微塵にしてみせる。そのお陰で怪我人は0。ちなみに、その後の熊谷さんの顔には疲れが見え、俺の手に掛かった錠は雅が壊してくれた。

 「アスモデウス、ベルフェゴール、そしてベルゼバブ。掛かれ!」

と、そこでそんな声が聞こえてきた。見ると、この度の証人3人が瞬時にして恐ろしい姿に変化し、一斉に傍聴席たちへと襲い掛かったのだ。もうちょっと見てみれば、あの写真擬きも変化したバットである事がわかる。

「くっ...最初っから証人は偽物だったっなわけか。してやられたな。」

俺は歯噛みをしつつ、腰に収める剣を抜く。

 こうして、俺らプロスペレの民とべリアルら魔王軍の一隊との戦闘が発端する。まるで、桜が突如満開となるような唐突さと共に。

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