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#61 蝙蝠の軍勢が町を通過した件

 日々の悪魔討伐で俺たちはいつの間にか、5万コルドを稼いでいた。以前も言った通り、この5万コルドと言うのはこの町ではちょっとした小金持ちである。

 その日の昼。俺たちはギルドに集まり、昼飯を取っていた。俺はご飯にローストチキン。ルナはクリームパスタにトマトスープ、八切りピザにフレッシュサラダ。アリシア、ルチアは揃ってスパイシーカレエライス(なぜ「ー」ではなく、あえて「エ」なのだろう)。片や、雅はなんとなく上品な印象のあるローストビーフとご飯。俺、アリシア、ルチアは普通に食し、ルナは心なしか貪るように食し、流石はお嬢様の雅はちゃっかりとテーブルマナーまで守っていた。

 そして、その約30分後。ルナの完食を境に俺、ルチア、アリシア、雅と完食を果たしていった。その際、アリシアだけはやけにハァハァ言いながら、やけに汗だくになっていた。おそらく、カレエが辛かったのであろう。その様子にいつも通り、ルナが弄りに入る。

「まったくぅ、まだ子供なのにスパイシーなんかに挑むからだよぉ。お子ちゃまはマイルドぐらいがお似合いだよぉ。」

分かる、分かるよルナ。俺も初めは甘口から入って、辛口もいけるようになった。ただ、こんなビッチがまだ黒い下着でないのは可笑しすぎる。と言うか、黒ぐらいがお似合いだよぉ。

 俺はそんなことを思いつつも、カウンターへと行き、クエストの手続きを行い、そして出発した。今回はプロスペレの森の奥にある洞窟で大量発生中のバットとその統率者、バットキングを討伐せよと言う物。俺たちはテレポートを使い、プロスペレの森の中へと瞬間移動を行った。

 ちなみに、ギルドカードを見れば、「テレポート」に加え、以前よりも3つほどスキルが増えている。1つは格闘系スキル強化の「ファイティングビギナー」。次に「スマッシュ」のその上、「ハードスマッシュ」。さらに、刃の切れ味を強化する「シャープネス」。昼飯を食べ終わった俺たちはギルドを後にし、「テレポート」で我が館の中へと瞬間移動をした。

 と、それとほぼ同時にあの音が大きく響き渡る。ウーーー!ウーーー!という空襲警報の音である。何だ!?そう思いて、俺たちは館の窓を開け、少し乗り出し、町の外を見る。と、北の先、遥か遠くの空が黒く染まっている。よく見てみると、その正体は無数の黒い何かのようだ。俺たちは揃って目を丸くする。

「あれ、何ぃ!?」

「何やら邪悪を感じます。」

「だとしても、私にかかればイチコロね!」

「ああいうの、あっちの世界でも聞いたことあるぞ。飛蝗って言うんだっけか。」

「その通りですわ。ですが、あれはバッタなどではありませんわ。おそらく、あれは蝙蝠ですの。」

蝙蝠!?バットってことか?何かバッタと響き似てるなぁ。そんなことを思っていると、アナウンスが掛かった。

 「只今入った情報によりますと、現在バットの軍勢が大移動を行っており、この町を通過するとのことです。万が一のため、外周中の住民の皆様は速やかに屋外へお入りください。皆様の避難が確認された暁にはギルドの大神官たちが各家々に結界を施させていただきますので、予めご了承ください。」

それとともに俺たちは館を回り全ての窓を閉める。その最中、何やら上から光るものが垂れてきた。おそらく、さっき言っていた結界であろう。俺たちはそれを見つつ窓閉めを全て終え、元の場所へ。

 そんなことをしている内に、バットの軍勢は時折結界にぶつかって倒れていきつつも、家々の間を通り抜けていく。窓の外のあちらこちらからはキー!キー!キー!キー!キー!とけたたましい鳴き声が聞こえ、館に突っ込んでくるものもいたが、そいつは結界にぶつかり、倒れていった。そんなことが、約5分も続き、生き残った全てのバットたちが町を出ていった。そして、安全が確認されると結界は消えて行く。窓を開けると地面にバットたちの死体がたくさん転がっているのが目に見えた。

 無論、死体を見つめる俺たちには知る由も無い。これが、さらなる不幸の前兆であったということを。そして、その不幸がこの町の平和を大きく脅かすに至るということを。

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