表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/202

#51 海水浴に青の大蛇の大群が乱入した件

 手紙を片手に町を歩くこと、約1時間。俺たちは棒のように硬くパンパンになった足を、痛みに耐えながら無理矢理にでも動かし、館の前まで来た。

 「何やつ!?」

すると、そこの門番が竹刀でXを描き、そう怒鳴ってきた。

「ひっ!」

ルチアが一歩引く。俺は

「プロスペレよりリヴィエラ領主様へ手紙を届けに参りました。」

としっかりと相手の顔を見、丁寧な言葉遣いを以って手紙を差し出した。すると、門番2人の顔はすぐ穏やかになり、

「失礼した。我々が渡しておこう。ここまでご苦労だったな。」

と手紙を受け取ってくれた。

 これにて、クエスト自体は終了。だが、帰るまでが遠足、登山の後には下山が待っている。プロスペレに無事帰り、報酬を貰ってからこそこのクエストは終わりを迎える。とは言え、アリシアの「テレポート」で一発なのだが。俺はそんなことを思いながら、約束通りビーチで海水浴のために水着屋へと足を踏み入れた。

 ん?水着選びって何とも思わない人と行く所だっけ!?俺は少し困惑しながらも、レディースとは反対のメンズコーナーでごくごく普通の海パンを手に取った。そこで、水着を持つアリシアとルチアにあった。アリシアのは膨らみのある黒いフリルに白のライン、ルチアのは海柄の淡青色に白色のビキニ。相変わらず、アリシアのは似合わないなぁ。相変わらず、ルチアのは似合いそうだなぁ。俺はその水着を横目にそんなことを思いながら、購入を済ませた。と、そこで1人いないことに気付く。

 「て、ルナは?」

俺が同じく購入を済ませたアリシアとルチアに聞く。アリシアは答えなかったが、ルチアは扉の方を指差して答えた。

「なんかさっき、『私は裸で行くから水着は買わなくていいよぉ』って言ってました。店の横で待っていると思います。」

その言葉を聞いて、俺は急いで店を出た。すると、そこには何やら夢見心地のルナがいた。

 「おい、ルナ...。」

「裸でビーチに行ったら捕まるのかなぁ。」

「ルナ。」

「やっぱ、捕まるよねぇ。」

怒りで全身が震える。俺は大きな声で

「ルナっ!」

と叫んだ。すると、やっと我に返ったようで、

「えっ、何ぃ!?悠人、もう水着は決めたのぉ?」

俺は買った水着を見せながら、

「あぁ、買ったよ。それよりな...お前、本当に裸で海水浴行くつもりじゃないだろうな。」

と聞いてみると、

「海水浴ごときになんで水着が必要なのかなぁ?お風呂と同じでしょぉ?お風呂で水着なんて着ないでしょぉ?」

とルナ。ダメだこの子、海と風呂の区別が付いてない!

 「まぁまぁそう言うのは良いから、水着は着ようね!」

と言って無理矢理水着屋へ押し込んだ。その様子が必死だったから、ルナはため息をつきながら、メンズコーナーへと...って、えっ?俺は店の扉を明け、メンズの水着を取ろうとしてるルナの服の襟を掴んで引き摺り、レディースコーナーへと放った。

「隠すのは下だけで良いでしょぉ?」

本当にダメだこの子、自分の性別まで区別出来てない。俺は本気で哀れになりながらも店を出た。

 そして、ルナが買ってきた水着は純白の水着。今流行りの全然似合わないスタイルである。

「こんな露出の少ない水着なんて着ても男なんて釣れっこないよぉ。悠人は本当にケチだねぇ。」

それぐらいの露出が普通なのだが、この空間ではその普通が通用しないらしい。そんな俺たちは店の横に隣接された男女別の更衣室で着替えた後、アリシアの「テレポート」でギルドの近くにあるビーチへと瞬間移動した。

 俺が海パンで海へ突っ込み、後ろの3人も同時に突っ込む。俺は浜から浅瀬の海を泳ぎ、他の女子3人衆は浜辺で微笑ましい水の掛け合いっをする。その後ろを、俺はクロールでシャトルスイム。時々、

「天才である私に水をかけるなんて言語道断よ!」

バシャバシャッ!

「良くもやりましたね!」

バシャバシャッ!

「私にぶっかけて良いのは白いのだけだかれらね!」

バシャバシャッ!

 水が飛沫く合間に時折、雑音が聞こえるが、微笑ましさに障ることはなかった。クロールのし過ぎで疲れ果てた俺はシャトルスイムをやめ、浜辺まで最後の力を振り絞ってクロール。彼女たちを横切り、足が浜に着くようになると俺は立ち上がり、近くにあった木陰で休憩を取った。

 それから、しばらくのこと。水の掛け合いに参加していたはずのアリシアが急に手を止め、海を見つめ始めた。ルナやルチアが水を掛けてもかなり反応が薄い。俺は何事かと思って木陰から日向へと出、浜へと急いだ。

「『スプリットテレポート』っ!」

すると、アリシアが唱え、小さな白い魔方陣を3人それぞれの下に出現させた。その魔方陣は同時に白く光ったかと思うと、すぐに消え、浜へと彼女たちは瞬間移動していた。

「な、何ぃ?」

「どうなってるんですか?」

困惑する女2人に、

「何かいるわ!」

海を見つめる女1人、

「何かって何が?」

便乗して海を見つめる男1人。

 「...!?」

そこで俺は確かに何かを見た。うねり蠢く太く大きく長い黒影。それが、俺がついさっきまで泳いでいた場所に数十も見える。これは、定番の触手系モンスターですか?などと、思ったのも束の間。

「触手系モンスターだぁ。じっくり見てみたいなぁ。」

顔を火照らせ、スキップをしながらこちらへ来るルナの姿。俺は手を横に広げた。あら危ない♪頭を下げればぶつかりません♪俺は心の内でボケつつも、ルナが来れば、小さな声で

「『スマッシュ』。」

と唱え、そのまま、手を後ろへ。すると、ルナは

「あぁぁぁれぇぇぇ?」

と言いつつ、鼻血を巻いて後ろへと倒れた。一応、手加減はしておいた。

「危ない、危ない。もう少しであっちへ行く所だった。まあ、今手加減しなかった、別の意味であっちへ行ってたかもしれないけど...。」

俺はそう呟いた。

 ザバババババーン!ザッパーン!その時。幾つもの飛沫があちこちを跳ね上がり、あちこちで空を舞い、あちこちに落ちて波紋を作った。見ると、あの黒影の正体がこちらを見つめている。それは、触手系モンスターでは無く、青い鎧て覆われた大蛇たちの大群であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ