#48 徒歩で遠征に出掛けた件
俺たちが館を手にしてから幾日か。数々の敵を倒し、数々のクエストをこなして来た俺のレベルは10となり、ランクももうずぐでCだろうと言う所まで上りつめた。さらに、習得スキルも増えていった。
新嶋悠人-Lv.10(残り670経験値)
RANK《D》
《ステータス》
体力/290
生命力/290
魔力/280
筋力/270
知力/470
素早さ/266
器用さ/310
幸運/1
状態異常/なし
《スキル》
スキルポイント/2P
ファミリア(固有):使用時より前に経験したことのある状態異常になる。使用者の想像によってその状態異常が変化する。
スマッシュ:魔力により瞬間的に筋力を増加させ、強力な拳を繰り出す。
フロントキック:魔力により瞬間的に筋力を増加させ、強力な前蹴りを繰り出す。
フリップキック:魔力により瞬間的に筋力を増加させ、強力な回転蹴りを繰り出す。
ファイタールーキー:格闘スキルの威力が5%増加する。
マルチファイア:複数の火の玉を一度に放つ。魔力の使用料により火の玉の大きさや数、弾速、威力などが変化する。
マルチアイス:複数の氷の礫を一度に放つ。魔力の使用料により氷の礫の大きさや数、弾速、威力などが変化する。
マルチロック:複数の巨岩を一度に放つ。魔力の使用料により巨岩の大きさや数、弾速、威力などが変化する。
プロテイン:一定時間、筋力が上がる。
ブレッシング:一定時間、幸運が上がる。
ハイスピード:一定時間、素早さが上がる。
「知力の伸びがめっちゃ良いな。代わりに幸運指数は1のままだけど。てか、本当に格闘スキルが多いな。」
俺はギルドカードに目を落としながらそう呟いた。そんな俺た、ルナが
「どおしたのぉ?」
と話しかけてくる。
「ん?俺って案外賢くて、かなり不幸で、格闘家感満載なんだなって呟いてたんだ。」
と言う。すると、
「ふぅん。案外賢いってアリシアのナルシストが移ったのかなぁ?」
とルナ。俺は言葉を返す。
「断じてそれは無いな。数値で見れば賢いってだけだ。レベルが上がったおかげだけど。あいつは、数値に関係なく自分は天才だって、思っている奴だ。」
「エミールみたいな感じかなぁ。」
「アレはアリシアのよりももっとタチの悪い奴だ。そらは、一番無い。」
「つまり、悠人は常人以上アリシア未満のナルシストなのぉ?」
「なんだ、その友達以上恋人未満みたいなのは。てか、どんな階級だよ、それ。」
「階級?階級は人民だと思うけどぉ?」
「そっちの階級じゃなぇよ。」
「じゃぁ、何なのぉ?」
この世界の原則はあちらの世界の原則と一致する。だが、この世界は理系の学問は発展していないらしい。そこで、俺は、
「いや、何でもない。」
と誤魔化し、その場を切り抜けた。
それから、俺たちは一服をし、家を出た。レベル10になってらは、調子に乗ってクエストも受けずに、荒くれ者達と酒を飲み交わしてまくっていた。そのため、深刻な金欠に見舞われていたのである。
「ねぇ、アリシアからお金を借りれば良いんじゃないぃ?」
しばらく、歩いているとルナがそう言ってきた。
「そうですよ。お金持ちなんですから。」
その意見にルチアまで賛成してくる。だが、拠ん所ない事情と言う物が2つ程ある。
「それも良いとは思ったけど、何か申し訳ないなと思ったんだ。」
1つは俺の良心が邪魔をして言い出しにくいと言うこと。
「なあ、アリシア。俺に金貸してくれないか?」
「我が家の預金は天才である私のためにあるのよ。悠人達みたいな下民が使わせる義理は無いわ。それに、有り金全部酒代に使ったのは悠人でしょ。」
2つはいくら言い出してもアリシアは応じないということだ。"天才である私"の部分は意味不明だが、調子に乗ったのは確かに自分が悪い。俺は顔を硬直させて、指を指し、目で訴えかけた。すると、ルナは
「それは無理そうだねぇ。」
さらに、ルチアも
「無理ですね。」
と笑顔で断言。何この子!髪だけじゃなくて、心までも冷たい色をしてるの!?俺は冷静すぎる彼女を見ながら、ひきつった表情を浮かべた。
と、そんなことをしている内に、俺たちはギルドに到着。俺たちはギルドの扉を開けた。まだ、朝早いからか、以前酒を飲み交わした荒くれ者の仲間たちはほとんどいない。俺はそんな静かなギルドの中を進み、掲示板へと行った。いつも通り、初級クエストほとんど、中級クエストちょくちょく、上級クエスト気持ちと言う感じで俺は貼られた依頼書を左から右へ順に見ていった。俺は「スライムを10体討伐せよ」に「ドワーフゾンビを5体討伐せよ」、「リトルフロッグを5体討伐せよ」などの簡単そうなクエストも見るが、全てスルーしていき、出来るだけ楽に出来るだけ多くの報酬を貰えるものを探した。
そして、俺はそれを見つけた。「リヴィリアの領主に手紙を届けよ」。報酬10000コルド。何これ!めっちゃ花形じゃん。俺はそれを見つけた瞬間、目を輝かせてカウンターへと持っていった。すると、カウンターの人。
「有り難うございます!このような遠征クエストには結構なお金が掛かってしまう物で。」
「え?」
俺はそう言った後、
「あの、結構なお金って?」
と聞く。すると、カウンターの人は
「あぁ。こちらの注釈によりますと、えっー...『なお、遠征に馬車等を利用する場合は、その費用を一切保障しないものとする』らしいです。」
その言葉を聞いて、俺は暗くなった顔を片手で覆い、胸の内で嘆いた。そんな馬車使ったら実質、報酬5000コルドやないか。それなら、アリシアの『テレポート』使って、グリモワのギルドへ行った方が...って、ん?『テレポート』?
「なぁ、アリシア。『テレポート』でリヴィリアへ行けたりするか?」
俺はアリシアに耳打ちをした。しかし、返ってきたのは
「しないわよ。『テレポート』ってのは行き先の情景を明確に思い浮かべないと成功しないから、行ったり見たりしたことが無いといけないわ。私はどっちも無いわよ。」
俺はまた暗い顔となり、それを片手で覆った。そうだよな、世の中そんな上手くは行かないよな。てか、アリシアの奴、いつも天才気取りしてるくせに、全然使えないやないか。
俺はそんな最低なことを考えながらも、手続きを済ませた。腹を括って歩こうとそう決めたのである。
「ねぇ、どうするのぉ?」
ルナが聞いてくる。
「歩く!」
俺は即答した。
「良いよぉ。」
「良いですよ。」
「良いわよ。」
3人は一瞬、固まりはしたがあっさりと承諾してくれた。え?良いの?俺は内心、驚きながらも、彼女らを連れて、ギルドを出た。
こうして、俺たちはルナの地図を頼りに徒歩でリヴィリアまで行くことにしたのである。所要時間は休憩に就寝にを含めて約5日。かなり長い時間歩くこととなるが、必ず辿り着いて見せる。俺たちはそう決心し、壁に設けられた、巨大な門を潜り抜けたのであった。




