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#42 美男にいきなり決闘を申し込まれた件

 改めてギルドカードを見てみると、俺はスキルポイントが50も溜まっていた。俺はスキル登録をするべく、パーティメンバーからスキルを教えてもらうことにした。

 「ルナ。ポイントめっちゃ溜まってるからスキル教えて欲しいんだが。」

始めはルナに聞く。すると、

「性欲ポイントが溜まってるから、オカズスキルが欲しいんでねぇ。わかったよぉ。でも、私で良くないぃ?」

とルナ。本当にブレないな、こいつは。そう思いながら、俺は

「いや、そう言うの良いから。良いスキルとか知らない?」

 「そうだねぇ。悠人は格闘系だし『プロテイン』とかかなぁ?」

何それ。飲むとムキムキになる危ない薬じゃないよな。そう思って、

「それ、本当にスキルなんだよな。」

と念を押しておく。ルナは小首を傾げ、

「それ以外、何があるの?」

ふむ、その様子だとあの薬では無いようだな。俺はそう確信し、『プロテイン』を習得した。一定期間筋力が上がるスキルであった。残りポイント42である。

 「アリシア。何か良さげな魔法スキルは無い?」

と次はアリシアに聞く。だが、

「私のスキルは私だからこそ習得出来たのよ!そんな天才のみに許されたスキルをあなたが使いこなせる訳無いでしょ!?悔い改めなさい!」

と聞いてくれる様子は無い。仕方無いな。

「おい、アリシア。『スマッシュ』一発ぶちかますぞ。」

右手で拳を作り、暗い顔とドスの効いた声でアリシアを脅す。

 「て、天才である私がそんな脅しに屈するはずが無いわ!」

OK、これは殴らんと収集つかんな。

「スマッー...」

「わ、わかったわよ!教えれば良いんでしょ!教えれば!」

OK、分かれば良いのだ。俺は

「で、何を教えてくれるの?」

と聞く。すると、

「えっとね、私はマルチ系の攻撃魔法が良いと思うんだ。『マルチファイア』とか『マルチアイス』、『マルチロック』とかさ。」

よし、3つとも覚えよう。俺は「マルチファイア」、「マルチアイス」、「マルチロック」の3つ全てを覚えた。残りポイントは12である。

 「なぁ、ルチア。10ポイントで覚えられるスキルって何か無いか?」

最後はルチア。耳元で喋ってしまったからなのか、彼女は酷く動揺し、同時に興奮もしていた。その両方のことがあってのことなのだろう。彼女の頬はかなり赤くなっていた。この人やべェよ、絶対やべェよ。俺は目を細めながら彼女を見た。すると、紅潮しながら

「10ポイントで覚えられるスキルですか。プリーストは主に自分や味方の体力や幸運を補う職業なんですが。」

その言葉を聞いて俺は目を輝かせた。

「幸運指数を上げられるスキルは!?」

と迫る。近付き過ぎたようだ。ルチアの荒くなった鼻息を感じる。こいつ、本当にヤバい。

 コホンッ!と、ルチアの咳払い。そして、

「一定時間幸運を上げられる『ブレッシング』って言うスキルがあるんですけど、覚えますか?」

「覚える!覚える!」

その言葉を聞いた俺の目はさらに輝いた。

「わ、わかりました。では、登録します。」

そう言ってルチアは「ブレッシング」の登録を終わらせた。俺はその欄を横へスライドして、スキルの習得を完了した。これで、残りポイントは2。2ポイントで習得出来るスキルは現時点ではない。とその時であった。

 バタンッ!と、ギルドの扉が勢い良く開けられ、長めの金髪に、茶色い瞳の美男が入って来た。その男は、着ている黄金の鎧兜をジャラジャラ言わせながら、

「ルーナはいるか!?ルーナはいるか!?」

と叫んでいる。それを見て、

「エミールぅ!?」

とルナが驚きの表情を露にする。その声が聞いたその男がこちらを向く。

 しばしの沈黙。気まずい雰囲気の中、男が先に言葉をかけてくれた。

「そこにルーナがいる気がするが。」

「ん?確かに、こいつはルーナだけど?」

お陰で俺もその雰囲気から脱することが出来た。

「ねぇ、エミールぅ。」

てか、エミール!?何処かで聞いたことがあるような...。

「この前はゴメンねぇ。待ち合わせしてたのにぃ。」

その言葉で全てを思い出した。エミールって、俺たちがグリモワに行く前、ルナが電話してた奴か!

 「別に良いさ、謝ってくれれば。所で、そこの男は誰だ?」

そう言ってエミールとやらが俺を指差す。

「私の運命の人だよぉ。もう、膜も破って貰ったんだぁ。名前は悠人って言うんだよぉ。」

とルナ。その瞬間、エミールの何かがプツンと切れた。

 「なっ!?お前、俺のルーナをタブらかしたな!」

「いや、タブらかすも何も今のこいつの冗談だから!ただのパーティーメンバーだから!」

「違うでしょぉ、悠人ぉ。私たち裸の付き合いじゃないのぉ。」

「お、お前!良くもルーナを寝取ったな!」

「いや、寝取るも何もこいつとそんなことなんてしてないから。」

「もう、ユウくんったらぁ。照れ屋さんなんだからぁ。」

こいつは後で攻撃魔法をぶちかましておこう。俺はそう心に決めた。

 「おい、悠人と言ったか!ルーナを賭けて勝負だ!お前が勝てばルーナのことは諦める!だが、負ければ土下座した上で、パーティーメンバーからルーナを外しやがれ!」

その言葉に、俺の何かまでがプツンと切れた。

「はぁっ!?ふざけるなよ!?別にルナと恋人になるとか言うだけだったら、見逃したが、パーティーメンバーからも外せだと!?いくら持て余しているとは言え、こいつはもう俺らの仲間なんだよ!それに、負けたら俺だけが土下座ってのが一番気に入らねぇっ!俺が勝った時はお前も土下座しろよ!」

「良いだろう。では、勝負だ!」

キレる俺にエミールは乗ったようだ。これで、契約成立である。

 「それでは、草原のド真ん中へ!『テレポート』っ!」

アリシアの詠唱と共に俺たちの足下に白い魔法陣が現れ、一瞬にしてプロスペレを遠くに見る草原のド真ん中まで着た。俺は剣を抜く。次いで、エミールも剣を抜く。その瞬間、俺は熊谷和人に感じたのと同じようなプレッシャーに襲われる。

 そのプレッシャーにオドオドしていると、離れた場所からルナの声がした。

「エミールのその剣は魔剣グラムと言って、魔剣レーヴァテインと同質にして対極の魔剣だよぉ!気を付けてぇ!」

なるほど...。つまり、いくら亀の甲より年の功とは言え、熊谷和人みたいな奴を相手にしてると言っても良いのか。しかも、お年寄りでは無いのでそれが長く続くと言うのか。

 だが、そんなことは関係無い。俺とエミールは同時に剣を構え、同時に斬りに掛かる。その瞬間、戦端の幕は切って落とされたのであった。

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