#4 ゴキブリなのに女の子に飼われた件
「一応、レベルの概念を作っておいたけど、レベルアップしても、ステータスが上がるだけで、新しいスキルを覚えれたりはしないよー!あと、進化したらレベルはリセットされるよー!それくらいのペナルティーは必要なんだよー!まぁ、人間まで進化したら、レベルアップすれば、ステータスは上がるし、新しいスキルも覚えられるんだけどねー!」
ペルセウスは説明する。それって、つまり、レベルアップしても人間になるまでは、努力が報われないってこと?
「不幸だ...。」
俺はまたもや、そう悲観した。
「あと、味覚はゴキブリの物にしておいたよー!歩き方とかも、練習する必要は無いよー!動こうと思えば、動けるよー!」
さらに、ペルセウスはそう捕捉説明する。神か!本当に、神だけど。気になってたんだよな~。味覚は人間のままだと思ってたわ~。6本足での歩き方も練習しなければならないと思ってわ~。ホンット、ありがとうごさいます、ペルセウス様。
「さぁ、行くぜぇ!」
俺は、そういって歩き出す。お、お~!めっち、早く歩ける!周りがめっちゃ大きく見えるし、視野はやけに広いしで、ちょっといつも違う気がするが、そんなの気にならないぐらい快適かも。壁には上れるし、逆さになっても落ちないし、かなり高く跳べるし、良いとこずくめだ。まぁ、例えるとすれば、あれだ。人気の某巨人マンガに出てくる、あの装置の劣化版をつけている感じだ。ある程度、立体的に動き回ることが出来る。あれ、カッコよかったよなー!俺も、欲しかったわ...って、うわっ!?
立体機動を思う存分、楽しんでいると、俺の体を白い何かが捕まえた。決め細やかな網目に、上には柄のついた丸いフレーム。
「虫取り網かよ。」
俺は言う。ていうか、ゴキブリを虫取り網で捕まえるとか、よっぽど、物好きなんだな。と、思って、俺を捕まえた人の顔を覗いた。
すると、そこにあったのは、頬を赤らめて、鼻息があらく、酷く興奮している、美人...美人なのだが、特殊性癖を持った、女性の顔だった。
「思ってたより、もっと物好きっぽい方でした!」
俺は大いに驚いた。
そして、俺は3匹のゴキブリたちが入った、少し大きめの虫かごに入れられた。どうやら、ゴキブリ同士だと会話が出来るようで、一匹のゴキブリが
「お互い苦労しますね。」
と同情してくれた。
「本当にですよ。ゴキブリ好きの女性って、何なんですか?」
別のゴキブリも言う。
「わからん...わからんが...」
「こいつは、絶対、ダメな奴だ!」
俺たちは声を揃えた。
それから、俺たちは彼女の家へと連れていかれ、本来は魚用の水槽に入れられた。そこには、ゴキブリがうじゃうじゃ、子供もうじゃうじゃ。かなり、吐き気がした。食事中の方みないで!
しかも、この女、平気でゴキブリを触りやがる。床には、たまねぎやら、食べかすやらが転がっているし、そのくせ、ネズミはいないし。こいつ、ゴキブリだけが来るようにしてやがるな。本当にヤバイ奴だ。
「おわっ!?」
すると、俺はその女に掴まれ、虫かごに入れられ、そのまま、脱衣場に連れていかれた。
「今日は君だよー!ホイホイ!」
彼女は、俺にそう話しかける。クソッー、ダメだ、この女!ゴキブリなのに、名前まで付けて、完全に情が移ってやがる!しかも、「ホイホイ」って! ゴキブリの天敵じゃねぇか!よりによって、何でそんな名前つけた!?猫にシュレディンガーって名付けるようなもんじゃねえかっ!...って...ん?ん~?
目の前には、急に脱ぎ始めた女が見える。
「あの、何をしてらっしゃるのですか?」
俺は、彼女に問いかける。しかし、虫の言葉など聞き取れるはずがない。俺は、心なしか体が熱なった気がした。
てか、待って!それは、リアルで熱くなるから!この人、一緒に風呂入ろうとしてやがる!ねぇ、知ってる?ゴキブリってのは変音動物で、熱に弱いんだって!いや、死にはしないと思うけど、かなりダメージ大きいと思うよ?だから、やめて!あっ~!
俺は、虫かごを挟んでではあるが、湯船に入れられた。あ...熱い!熱すぎる!え?ラッキースケベ?そんなこと、言ってる場合じゃねぇよ!たしかに、ラッキースケベかもしれないけど、いまはそんな場合じゃねぇ!
「クッ...クソッ!不幸だぁぁぁぁぁ!」
俺は、熱さにうなされながら、そう叫んだ。
かくして、俺はこの女に飼われることとなった。ったく、女の癖にゴキブリ大好きとか、どんな趣味してやがんだ、こいつは!