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#36 俺のスマホがひったくられた件

 「で、どうする?」

俺は言う。すると、ルナはまたモジモジし始めた。

「どうするってぇ、さっきの続きだよぉ。」

「一応聞いとくけど、さっきのって?」

「秘・め・事♥️」

「やめなさーい。」

 「やだなぁ、悠人ぉ。冗談だってぇ。」

お前が言うと冗談に聞こえないんだよ、このクソビッチが。俺はそう言いたくなるのをグッと堪え、

「おい、ルナ。そう言うのは良いから真面目な答えてくれ。」

と言う。その結果、結局ルナを怒らせたが自分は間違ったことをしていない。間違っているのはお前だ。

 というわけで、パーティーも増えたと言うことでやっぱりギルドに戻り、掲示板の前に立った。貼られた羊皮紙を見ていると、ルナが話しかけてくる。

「ねぇ、悠人ぉ。さっき冒険者になったばっかって言うけどぉ、見たところ私と同じ17歳ぐらいだよねぇ。」

おっ、凄い。それ、ドンピシャ。

「レベルもまだ2だし今ままで何してたのぉ?」

その言葉を聞いて、俺は硬直した。

 異世界から来たとはとても言えない。不本意ではあるものの、折角出来た初めての仲間にいきなり厨二病だと疑われるのは御免だ。ルナが目に障る視線を向けてくる。ああ、面倒くせぇ...。

 俺はルナの方を振り向き、肩に手を乗せる。

「もうそろそろお昼だし、食べながら話そう。」

「はっ!?わ、私を昼御飯にする気かなぁ!?」

んー...どこで話が食い違ったのだろう。まあ、こいつを昼御飯にするのも良いかもな、文字通りに。それぐらいの気持ちで俺は、

「お前、よくそんな言葉がバンバン出てくるな。」

と言い、席まで引きずり、2人で座った。

 そして、2人同時に卓上のメニューを開く。「あわぐも」は頼むとして、何の料理をいただこうか。「トマトソースパスタ」や「チキンの香草焼」など無難な物もあれば、「ナーガ肉の甘酢掛け」や「生ワームのポン酢仕立て」などの変わり種もある。他に「白米」などもあって、俺にとって馴染みのある料理も結構あった。

 俺は変わり種に挑戦せず無難に行くことにした。

「よし、香草焼とご飯にしよう。」

見ると、ルナも決まったようで、

「すみませーん!」

と店員を呼んだ。

 「『あわぐも』と『チキンの香草焼』と『白米』お願いします。」

俺は言う。続いて、ルナが

「私は『トマトソースパスタ』と『生ハムチーズ』、『ソーセージサラダ』と『白米』、『生ワームのポン酢仕立て』をお願いしまーす。」

いやーよく食べるなー...って、今何て言った?生ワーム頼んだの!?そういうの大丈夫なのこの子。ワームで蛆虫みたいな気持ち悪い奴だよね!?まあ、食べることはなさそうだし良いけど。

 そう思い至り、俺は大して気にすることも無くスマホを取り出して弄る。暇潰しにブロック崩しをする。

「それって、テレパスストーン?」

とルナに聞かれたので、俺は

「ん?それより良いものだな。調べ物も出来るし、ゲームで遊べるし、地図も見れるし。スマートホンって言う。」

そう言いつつ、画面上のボールをバーで打ち返す。

「へぇ。つまり、エッチな画像も調べられるわけだねぇ。」

俺は画面上のボールを打ち返しつつ、

「そうですねぇ。」

と適当に返した。彼女は少し膨れた。

 それから、料理が来た。俺はスマホを切り上げ、ポケットに戻し、香草焼に食らいついた。味はあっちのとほぼ同じ。白米も同じく。ルナはパスタをすすり、生ハムを頬張り、野菜をシャキシャキと鳴らせ、生ワームまで口に入れる。凄く幸せそうな顔だ。そんな顔のまま、全て喉に通し終わった彼女が、

「食べるぅ?」

と生ワームの入った深皿を出される。俺はそれを見ながら、少し目を細める。絶対不味いよ、これ。絶対おかしいよ、ルナの舌。

 だが、食わず嫌いは良くない。俺は生ワームをフォークで刺し、恐る恐る口の中へ入れる。その瞬間、俺の目が輝く。

「美味しい...。」

コリコリとした食感と、ポン酢のアクセント。噛むごとに広がるさっぱりとした塩味。あっちで「ひねぽん」などと呼ばれていた物と味や食感は似ている。見た目はかなりアレだが。ともかく、それは想定外の美味しさであった。「あわぐも」にも結構合うし。

 それから30分程。食べ終わった俺は先の会話など完全に忘れたルナを連れて、掲示板へ。そこで、茶色の判子の「ホワイトウルフを3体討伐せよ」の羊皮紙を剥がし、カウンターへ持っていき、さっさと手続きを済ませてギルドを出た。

 バンッ!それから少し行った道の真ん中で後ろからぶつかられた。ぶつかられたと言っても、横をかすっただけで痛みもほとんど感じず、少しルナの方へ押されただけなので、気にもしなかった。

 そして、また少し行く。そこで、ふとポケットに触れた俺はスマホが無いことに気付いた。反対側やポケットや服の中も調べる。だが、やはり無い。

「どうしたの?」

「スマホが無い!」

「これじゃ、エッチな画像が見られないぃ!」

「勝手にいらん言葉乗せるなよ。」

俺は適当にツッコミを入れて、考えにふける。

 どこで落とした?いや、盗まれたのか?人を見たら泥棒と思え。時には人を疑うことも大事である。では、どこで盗まれたのか?その答えはすぐに出た。さっきぶつかって来た奴だ。それにしても、スマホを盗まれるとは...。

「不幸だ...。」

 「ねぇ、悠人ぉ。」

落ち込む俺に、ルナが言う。

「そんなにエッチな画像が惜しいならぁ、私がそのスマホぉ?を取り返してあげるよぉ?私に任せてねぇ!」

「...。」

決してそんな画像のためでは無い。だが、そんなことを言い始めた彼女に僅かながら頼もしさを感じてしまうのは、俺が病気だからだろうか。

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