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#27 神雷システムが初めて役に立った件

 プーンと鼻にくる臭い。刺激臭とまではいかないが、臭いことに変わりはない。気付けば、そんなキツい臭いが俺を包んでいた。

 俺は鼻をつまみながら慌てて立ち上がる。それから、後ろを売り返った。すると、そこには、中がパンパンに詰まった黒いビニール袋が積まれていた。

「ゴミ収集場的な場所か。自治体求む。」

なんて、1人でボケながら自分は幸を得たのだと思った。あんな空高く飛ばされて無事なのは、このゴミの山がクッションになったおかげであろう。

 カサカサカサ...!そんな音がして、俺は

「おりゃぁぁぁ!」

と地面を這いずるゴキブリを踏みつけた。飛び切りぺったんこになったそいつは弱々しく足を動かして、ノソノソと去っていった。そいつはやがて死ぬだろうが、人間になった瞬間、モンスターを倒さないと経験値を貰えなくなった。なので、ゴキブリを倒したところで、獲得出来る経験値など皆無である。

 それから、俺は町の壁を目指して歩き始めた。その途中、ペルセウスからの着信も来た。

「いやー!災難だったねー!でも、ぶっ飛ばされてグッドポーズとかさー、君ってもしかしド・エ・ム?」

彼にそう聞かれ、、俺は

「ほっとけ。」

と言って、丁寧語も忘れた口調で話をさらっと流してから、以前、不思議に思ったことを聞いてみた。

 「それより、俺って何でこっちの世界の文字が読めるんですか?異世界なんですから、文字って違うはずじゃないですか?」

その言葉に、ペルセウスは今思い出したとばかりに言う。

「ああ、それは君の脳にそっちの世界の言語情報を追加したからだよー。まあ、天界規定では、最高神でもない限り、勝手にそんなことをするのは許されてないんだけどねー。ゼウス様は黙認してくれているんだよー!」

俺は心底呆れたと言う顔をして、

「あの、規定破り過ぎじゃないですか、ペルセウスさん?オタクな上に、最不良神だったりするんじゃないですか?それに黙認するゼウス様もゼウス様ですね。」

と言うと、彼の声色が急に変わった。

 「次、そんなことを言ったら、ドカーンだよー!」

俺はわずかに身震いし、

「すみません。次から気を付けます。」

と素直に謝った。

「分かったらいいんだよー!」

そう言うペルセウスにさっきのような声色は消えていた。

 「で、こっちの世界での生活が円滑に進むようにしてくれたんですね、ありがどうございます。」

俺が適当にお礼を言ったところ、

「うわ、適当だねー!」

とツッコミを入れてから、

「まあ、もうすぐで君が前にいた世界での記憶がパアになるところだったんだけど、何とかなってよかったよー。」

と言った。

 その瞬間、俺は沈黙した。

「もしもしー?もーしもーし?もしもーし?」

何度もペルセウスが声を掛けようとしてくる。俺は体をプルプル震わせて、その場に立ち止まる。

「今さっき、重要なことを言った気がしたんですけど、それは気のせい?」

その言葉を聞いて、今度はペルセウスが沈黙した。しかし、数十秒も経たない内に笑って誤魔化した。

「そうそう!気のせいだよー!」

と。

 気のせいじゃ無かったか。そう思い至った俺は再度、聞いてみる。

「今さっき、重要なことを言いましたよね?」

「言ってないよー。」

そう即答され、さらに信憑性が増した。

「言ったろ。」

とツッコミを入れると、電話を切った。そのことが、気のせいでは無かったことを完全に決定付けた。


 そらから、町中を歩くこと約5分。どうやら、あまり遠くへは飛ばされていなかったらしく、思っていたより早く元の場所へ戻ってくることが出来た。

 見ると、あの巨大な怪物たちが地面に横たわっている。しかも、全てである。

「あの怪物はあまり強くかったか...。」

俺はそうぼやきながら、ある作戦を思い付いた。

 早速、俺はみんなの前にまた立ち塞がった。

「おい、変な服の新人が戻って来たぞー!」

「おおー!よく戻ってきてくれたー!変な服の新人ー!」

「しかも、臭くね?」

「確かに、臭い!変な服と臭いの新人だー!」

「変な服と臭いの新人、ばんざーい!」

相変わらず煩い野次馬たちを背に、俺はまた右手の拳を握る。

 「どの面下げて戻ってきているのだ?愚かな新人よ!いや、変な服と臭いの新人よ。ああ!長い!言いにくい!」

そんなことを言うブケパロスに俺は眉にシワを寄せて、睨み付けた。右手の拳を握る力はさらに強くなる。

「グチャグチャ喚けるのも今の内だ!三下ぁ!」

そう言われて、奴の何かブチッと切れた。

 「魔王軍の十二幹部の中ではまた弱い方だと言われる我だが、一応は魔王様に認められた身だ。そんな我を下等生物の人間、それもまだレベル1の新人のお前が三下とぉ?笑わせんじゃない!せいやっーーー!」

ブケパロスはまた前足を持ち上げた。おそらく、頭の中では岩で波が砕けているのだろう。しかし、今はそんなことを気にしている暇は無い。

 「歯を食いしばれ!ブケパロス!」

俺はそう大声で吼え、ブケパロスに向かってダッシュをした。

「返り討ちにしてくれるわ!」

そう言い返した奴は俺が射程内に入った瞬間、後ろ足で蹴りつけようとした。

 ズザザザザザ...!が、俺はそれスライディングで、それも紙一重でかわして、ブケパロスの懐の下に突っ込んだ。

「しまっ...!」

「『スマッシュ』っっっ!」

俺はそう唱えて、歯軋りをする奴の腹に向かって、拳を食らわした。すると、運の良いことに奴はかなり高く浮き上がった。

 そんな、ブケパロスを見ながら俺は

「安らかなる眠りがあらんことを!」

と言葉を寄せ、次は空に向かってさっきよりも大きな声で叫んだ。

「こんのっ!オタク神がぁぁぁぁぁっっっっっ!」

すると、虚空にピカッと閃光が走った。

 その次の瞬間である。ゴロゴロゴロ...!と言う轟きとともに、神雷が落ち、ブケパロスを直撃した。この攻撃には流石の奴も人溜まり無い。

「ぐぎゃぁぁぁぁぁっっっっっ!」

と叫びながら、雷と一緒に地面へ落ちていた。

 ドゴォォォォォン!盛大に土煙が上げて、その体が地面な激突する。神の怒りを乗せたその雷は強力も強力で、地面に大きなクレーターと、ブケパロスが作ったのよりも深い亀裂を辺りの地面に走らせた。こうして、奴は倒れるが、その死体に勢いよく潰された俺も即死してしまっていた。

 「うおぉぉぉぉぉっっっっっ!」

俺が死んだことも知らず、見ていた人々はそんな咆哮を上げた。それは嬉しかったのだが、今の裏技、いや、チートで得るものはほとんどない。強いて言えば、強敵を簡単に倒せてしまことなのだが。

 でも、このチートを使うとなると、望ますとも今回のように死ぬ確率がとても高くなる。よって、何回転生してもキリが無いのである。その上、例え死ななかったとしても俺の攻撃ではないので、経験値は得られない。命を懸けたのに、獲得出来る経験値が無いのである。

 そんな方法を選んでまで、俺は楽をする主義では無い。どっかのぼっち系ラブコメ主人公のような自己犠牲と言うやり方は好まないのである。あれがぼっちの末路だと思うと、いささかぼっちにはなりたくないと俺は感じている。

 と、まあ、これらの理由があって、あのチートはむやみやたらと使いたくは無い物である。俺はそんなことを思いながら、天へと昇っていった。

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