#23 ナンパされて喜ぶ女の子がいた件
それから、カウンターの人にギルドカードについて説明してくれた。聞いてはいたのだが、俺の目線は自然と彼女の胸に行ってしまっていた。
一番上には氏名、その横にはレベルとレベルアップに必要な経験値、そのさらに横は実績によって変動するランク。俺のランクは当然のごとく最低の「F」だ。
それから、その下にはステータスが記されている。自慢では無いが、レベル1にしては知力が高いらしい。あと、幸運指数1は見たことが無いと言っていた。他は全て平均的だ。
その横には、スキルとポイントが記されている。ポイントはモンスターを倒した時に貰えるらしく、そのポイントでスキルを覚えられると言う。さらに、その下には勲章の欄もあった。もちろん、今の俺には勲章など無い。勲章ごとにスタンプが押されるようだ。
レベル1の時点のステータスで、自分の職業が決まるらしい。知力が高いことと幸運指数が1なことを除いて、ステータスがあまりにも平凡過ぎるので、職業は「冒険者」。俺はそれを認めざるを得なかった。
氏名の横の余白に図書館の地図記号みたいなスタンプが押された。おそらく、「冒険者」のマークか何かだろう。「冒険者」は最弱職らしい。何の取り柄も無いのが理由らしいが、それは誤算だろう。なぜなら、全ジャンルのスキルを覚えられるのだから。スキル習得時に必要なポイントが多かったりはするのだが。むしろ、万能職と言っていただきたい。
と、「冒険者」を正当化してまるのだが、凡人であることに変わりはない。俺はギルドを出ると、
「神様、仏様。どうか俺を、幸せにしてくれっ~!」
と叫んだ。羞恥心など捨て去って。どこまでも広がる青空に向かって。
それから、俺は町の散歩を始めた。
「フッフッフッーン♪フッフッフッーン♪」
と、呑気に鼻歌を歌いながらも、町の色々な建物を見ながら進んでいった。宿に銭湯に鍛冶屋に道具屋に教会に。その建物が何かなのど、立看板かその見た目で簡単に予想出来てしまう。
そんな半ば観光っぽい事をしていると、
「ふん?」
何やら騒がしい。道の外れ、薄暗い路地の奥、いかにもという感じだ。男の声と女の声が聞こえる。俺はそこに入っていた。
「お、君可愛いねぇ。こんな所で何をしてるのぉ?」
栗毛のボサボサ髪をした男が女の子に問い掛けた。彼女は金髪のショートヘアーをしており、肌は白く、目の色は深い緑色をしている。さらに、ご立派なお胸をお持ちだ。美人で巨乳。それだけで、何か良からぬ事に巻き込まれてしまうのだ。
「そらにしても、リアルでナンパする奴、初めて見たわ。」
俺はその様子を覗きながら、ため息をついていた。
「今から俺たちと遊ばね?」
黒いロン毛の男は言う。
「帰りは送っていくよ?何時帰れるかは分からないけどさ。」
太った男は言う。これ、そろそろ介入した方がよくね?
そう思って、俺は足を動かすのだが、途中で踏み留まった。
「どうよ?」
栗毛にそう言われて、女が笑顔で
「喜んで!」
と言ったのだ。
「話が分かる奴で助かったぜ。」
ロン毛は言う。
こうして、4人は路地裏から道に出て来て、どこかへ去っていった。俺は驚きのあまり固まっていたが、やがて、立ち直ると、大声で吠えた。
「いや、喜んだらいかんだろぉぉぉぉぉっっっっっ!」
この時、俺は確信した。アレこそが俗に言う「ビッチ」と言う人種だと。とびっきりやらしい女なのだと。ナンパされて喜ぶ女の子なんて、普通じゃない。ついでに、あの、胸の大きさも普通じゃない。見た目だけでカップ数が分かる程、変態では無いが、少なくとも、一般的に巨乳だと言われているEカップ以上はある。
「てか、ビッチなら助ける必要なくね?」
俺の口からそんな言葉が漏れる。そう、ビッチなら何をされても、「断らなかったお前が悪い」で終わせれば良い。ただ、俺は少し心配であった。万が一、一線を超えてしまったら大変なことになる。その意味はご想像にお任せする。
というわけで、俺は街灯と街灯の間を伝いながら、4人を追った。よく考えたらこれストーカー行為だよな、と感じなからも。




