#21 今度は神様の丸投げに合った件
「もしもしー?こちら、神様だよー。」
ペルセウスは警察ごっこでもしているように名乗った。もちろん、こっちにそんな気は無い。それより、言いたいことがたくさんある。
「俺の着信音勝手にいじらないでくれませんか?」
俺にはペルセウスなどに敬意を抱くことは出来なかったが、形上ではそうは行かない。彼と話す時は一応、丁寧語は使っている。つまり、形上でも近所の人の域を越えないのだ。一応、神なのだが。一応。
「で、あの雷は何なんですか?まさか、手違いで落としていたり?」
「僕はどこぞのジジィほど間抜けじゃないよー。」
聞くと、ペルセウスは答えた。なんだ?そのあっちの設定では、ゼウス様並みの地位をお持ちの神様に喧嘩を売っていくスタイルは?最上級神らしいけど、流石にそれはいかんだろう。
「『じんらい』だよー!漢字で書くと、『神』に『雷』だよー!」
「神」に「雷」?神雷?どっかの日本酒さんのことかな?
「『しんらい』じゃなくて『じんらい』だよー。それにしてま、思いっきりすべったねー。やーい、お滑り様ー!」
何だろう今、凄くイラッと来た。でも、ナイスツッコミ!
そして、その『神雷』についてペルセウスに全てを教わった。なんでも、ゼウス一族のみが落とせる、名前のまま、神の雷らしい。特に、ゼウス様の神雷は他とは全く威力が違うらしい。神話の時代、バベルの塔を一瞬にして消し炭にし、さらに副産物として民の意思疏通機能に乱れを生じさせたらしい。
どうやら、他の神、あるいは自分が人間に舐めた態度を取った時に、ゼウス一族は神雷を落とすことが出来るのだとか。
て言うかさ。なんか、俺の知ってるバベルの塔と違う気がする。まぁ、実の所、神話なんて古人が作った完全フィクションな物語だからな。それでも、筋を通しているってのは凄いよな。俺は古人の賢さに感心しながら、こう告げた。
「つまり、何ですか?俺があなたに向かって『オタク神』とか言ったり思ったりしたから、その神雷を落としたと?それって、職権乱用なんじゃないんですか?」
そう、職権乱用だ。いくら、『オタク神』と言われたり思われたりしだけで、結構危険な神雷をバンバン落とすのは過激なのではないか?
「そう言われと、耳が痛いよー!」
痛いのかよ。自覚はあったのかよ。
まだ、言いたいことは2つほどある。何で勝手に着信音を変えたのかと聞くと、
「僕からの電話だと区別させるためだよー!」
と答えられ、「持っていきたい」と言ってないのに、スマホの持ち込みを許可したくれだのかと聞くと、
「人の役に立つのに理由は入らないんよー。スマホがある方が便利でしょー?本来は天界規定で禁じられてるだけど、交渉はすぐ終わったよー。」
そこらへんも職権乱用っぽい所あるな。まぁ、それがペルセウスなりの優しさなのか。俺は少し彼を見直していた。
「で、空にステータスが浮かんで無いんですが?」
続いて、俺は聞く。すると、ペルセウスは言う。
「あぁ、忘れていたよー。でも、今から浮かび上がらせるのは面倒だからなー。録画した『百合子ちゃん』見なきゃだし。まぁ、ギルド酒場に行けばステータス見れるし、登録は出来るし、カードも貰えるだろうから、後はそっちで何とかだよ。」
プツンッ!電話が切れる。
「クソッ!あのオタク神め!丸投げかよ!」
スマホをスリープ状態にして、元の場所に戻し入れた後、俺は走った。
ペルセウスの言う、ギルドを目指して。探すのは面倒だがきっといずれお世話になる。どうせ、行くのだからこれでも良いか。俺は自分に無理矢理そう言い聞かせて、怒りを最大限に抑えることに成功した。




