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#195 鎧番人の絶技がカラドボルグのみたいな件

 「『マジッククリエイション』っ!アサルトっ!」

今度は本来、刀剣の刺突を防ぐに特化した鎧では防げないはずの銃弾、しかも、その連射を俺がお見舞いする。だが、やはり銃をまともに扱かったことのない俺のAIMはクソでほとんどの弾は奴に当たりすらしなかった。

(クッソ...。やっぱ、シューティングゲームみたいにはいかないねぇなっ...!)

隙自語で済まないが、前の世界で俺はデジタルゲーム総合において学級四天王と呼ばれた内の1人、序列は当時第三位である。

 ちなみに、残る四天王は繰谷毅くりたにつよし(男・当時序列第一位)、古川駿斗ふるかわしゅんと(男・当時序列第二位)、神楽坂凛花かぐらざかりんか(女・当時序列第四位)という名であった。そう言えば、あの3人とはよく序列争いでガチンコ勝負で盛り上がっていたな...。

 なんて、思い出しながら奴を見るとやはり鎧は無傷である。数撃ちゃ当たるで何発かお見舞いしたはずなのだが、やはり無傷である。当然、奴の本体に攻撃が届いている様子もない。

「クッソ!」

俺は歯軋りしながら続く、地面を抉るの攻撃を横にかわし、

「悪いな、悠人!踏み台にさせてもらう!」

そこへ、不本意にもレスターが飛び出し宣言通り、踏み台にされていただく。

「お前、やっぱ俺と協力する気ないだろ!悪いと思ってんなら、踏み台にしねぇっ!」

蹴り飛ばされて俺はそう言いながら地面へ叩きつけられた。

 さて、問題なのはそんな俺へレスターが何と言ったかである。なんと、

「フッ...。俺はお前の"パーティー"に協力すると言っただけでお前"自身"と協力するとは言っていない。お前など、勝利のための脇役エキストラ、及び攻撃のための踏み台スプリングにしか過ぎん!」

とかかしてくれるのである。

(こ、こいつっ...!滅茶苦茶言いやがってっ...!しかも、無駄にカタカナ使って名言っぽくしてやがるし...!)

関ヶ原で徳川側に寝返った小早川秀秋が裏切りの理由にしそうな感じのそんな戯れ言に俺は怒りを覚える。

 だが、怒りはすぐ収まり、おもむろに俺の不幸体質への悲観が心を支配する。

「てか、そもそもレスターに出会ったのは俺の不幸が原因だ...。よく考えたら、風呂場での一件も今回の一件も全部は俺の不幸が火種だよ。あいつはちとばかし薪を投げ入れただけ。」

無駄に比喩まで使ってしまってその自覚が始まった頃、ルナが

「大丈夫ぅ、悠人ぉ...?」

と心配そうな顔で見下ろしてくる。心配してくれること自体はありがたかった。だが、今のところ一番薪を投げ入れているのはこいつ、燃焼の総量で言えば上質の薪が少数ある系のレスターよりも多いであろう。

 そんなルナを見ると既に消えかかっていた怒りの念が俺の心で再び台頭した。馬鹿げていることはわかっている。冷静なリーダーになるに不相応なのは分かっている。だが、考えるより先に俺の体が動いていた。

「『ブースト』ぉぉぉぉぉっっっ!」

そう叫ぶと俺の足は急加速。からの、拳を引き絞り

「『シューティング・スマッシュ』ぅぅぅぅぅっっっ!」

とレスターを巻き込むのも構わず魔力の拳で奴を殴った。

 「ぐぁぁぁっっっ...!」

強者のレスターも不意打ちには弱く、情けない断末魔。

「きゃぁぁぁっっっ!な、何をしていますの、悠人くんっ!」

ハモるように雅の悲鳴も響き、続いてアリシアが、

「このお馬鹿!」

と言って杖で頭をぶっ叩く。それがあまりに本気だったので俺の頭には一瞬でたんこぶが浮き出てきた。

 そんな訳でまた1つ、俺とレスターとの中に亀裂が走る。だが、冷静になってみればどちらも大人で

「これは貸しにしておく。」

「いや、俺が借りを返しただけなんだから貸しにはならんだろ。」

と言ってとりあえず今は休戦、一先ず、皆で倒すのに回帰した。


 だが、さっきのことであちらの堪忍袋の緒を切ってしまう。

 「仲間割れなどみっともない...。確かに私は主に召喚され、絶約限呪ミスラで帝国に従い、ついには魔王軍幹部へ墜ちるに至った。だが、本来私は王国を守るる衛兵団が一角、モナルキーアの騎士に近しき類である。故、騎士道に準じ、因縁や復讐なぞと言う下らぬ理由で仲間割れを引き起こした貴様ら2人、及びにそれをまんまと見過ごした残る4人にも制裁を下す!」

と今度は頭に直接ではなく、口から発する言葉が辺りに響き渡る。今度は先程の優しく教える系の声ではなくて、力強く怒りのこもった声である。

「全くもってその通りだな...。」

と俺は呟くが、せっかく冷静になって俺たちに言うことか?という話である。

「戦場では常に冷静でなければ意味がないと言っている。一瞬でも油断すれば敵に討たれる可能性を高めてしまう。特に仲間割れは士気にも多大な影響を与えるのだ!」

そう思えば、即論破をせんとする。なるほど、それが主の絶対服従にあっても消えぬ、奴の騎士道という奴だろう。だが、俺たちは騎士とは遠く離れた、本当に賤しい冒険者たちである。騎士道になど構ってはいられない。

 「そうか...。ならば、我が鉄鎚を受け、悔い改めよ!」

またそれを読み取ったか奴は呆れたように言い、大剣を両手で上に構える。しかも、剣を魔力で包み込み、刃は白い光に覆われた。

「何か、来るっ!」

とレスターは言って彼も両手で突きの構えへ。こちらの剣にも大量の魔力が注ぎ込まれ黄金に輝き始めた。

 瞬間、空気のひりつきを感じられた。それは初めて熊谷さんにあった時のような、あのプレッシャーによく似ている。両手、絶技の準備が整い、その2つの力の奔流が空気の揺らぎを生んでいるのである。

 まず、放ったのはあちらである。

「裏切りの罪人にたる正義たる罰を!滅裁大牙ジャッジメントスタブっっっ!」

プロテギウスはそう叫んで剣を振り下ろす。奴の大剣から放たれるは白く輝く刃。その風貌はもちろん、前準備の様子もカラドボルグのものにそっくりである。

変幻大山崩しドライヴァルトザファールっ!」

そんな擬きにレスターは合わせて、黄金に輝く本物で迎え撃つ。

 ギゴォォォォォッッッゥン!白の刃と金の刃が激突し、眩い閃光が迸る。

「くっ...。」

2つはしばらく競り合ったが、レスターが先に限界となって思いっきり横に凪ぐことで自ら競り合うのを振り払った。だが、あちらはまだ余裕である。

滅裁大牙ジャッジメントスタブっっっ!」

と再び放たれる白の刃。しかも今度は横から凪ぐ系の奴である。

「もう、アレはしばらく撃てん!全力で外を目指せ!」

とレスターは即座に言い、外へ行くように促す。俺たちは時折、

「『マルチロック』っ!」

「『アイスウォール』っ!」

「『シャインウォール』っ!」

「『プロテクト』っ!」

などと障害物を挟んでみるものの悉くを破壊され砕け散る。それでも何とか防ぎきることには成功した。

 だが、それだけで終わるはずがない。アリシアが、

「『エアホール』っ!」

と唱える扉に風穴が生まれ、そこから俺、レスター、ルチア、アリシア、雅と潜っていくのだがルナが通ろうとしたところで奴の白き刃が再び突き系ので襲いかかったのである。

「ルーナちゃんっ!」

雅は叫んで振り返り、ルナの腕を掴んでこちらへ放り出す。だが、その時、風穴を通ってきた刃が雅の胸を貫き向こうまで押し出した。アリシアも穴をすぐに閉じにかかったのだが間に合わなかったのである。その様子は向こうのプロテギウスの目にも見えていた。

 「そんなぁ、嘘だよぉ...。」

雅の胸には風穴が開き、そのヘリからドクドクと血が流れている。ルナがそんな彼女の右手を掴みながら大号泣。そんなルナに雅は、

「泣かないでくださいな...。ルーナちゃんが無事でよかったですわ。」

と優しく声をかける。そのことがルナのさらなる号泣を誘ったしまう。

 大泣きのルナに若干引きながらその横にアリシアがしゃがみ込み、

「な、泣かないわよ、私は!絶対に助かるんだから...!ほ、ほら、百合...!『ヘルス・オブ・ディバイン』で治せるわよね!」

と雅に問う。泣かないと言いながらも、すすり泣いていた。

「い、いいえ...。ここまで体を損傷してしまっては私1人の魔力では足りないんっ...ですの...。だからと言って、魔力の自然回復を待てば...げほっ...げほっ...!」

と雅は答えて、やがて血を吐く。これにアリシアが慌てて

「分かったわ。私の魔力も分けてあげる!だから、もう喋らないで!!!」

と言って制止する。

 それを立ち見する俺とレスターはただ強い後悔にのみ頭を埋め尽くされていた。無意識の涙が流れてはいたが、それよりも冷や汗の方へ完全に意識が持っていかれている。両者、ともに思うことは1つだけ。そもそも、俺たちが仲間割れなどしていなければこんなことにはならなかったのではないか、ということである。

 確かに、雅は自分一人の魔力では「ヘルス・オブ・ディバイン」で体を直せないと言った。

 だが、普通であればアレをまともに食らい、あれほどの大量出血に見舞われ、未だ辛うじて生きているという時点であり得ない話である。

 では、それは何故か...。それは彼女の根源が「生命」であるからだ。「生命」が根源であるが故に固有スキルはあれほどの回復力、今も驚異的な生命力を示しているのである。

 俺にもレスターにもその理屈は分からなかった。ただ、あるのは雅の生命力の高さへの驚き、そして、希望である。

 「ルチア...。これだけ損傷が酷いと蘇生魔術も無駄になるか...?」

と俺は俯きながらルチアに聞く。

「はい...。」

「じゃぁ、お前は雅に『ヒール』をかけ続けろ。」

「は、はい...!」

彼女の答えを聞いて、俺は即返答。

「アリシア。お前は言った通り、魔力を『マジックシェア』で与え続けろ。」

と続いてアリシアに指示。頷くのを横目に、

「お前は...。魔力を供給する手立てとかなんかあるか?」

とルナに問う。だが、ルナは泣きながら

「そんなスキルは持ってないよぉ...。」

と首を横に振る。

 「ダメか...。クソ、魔力供給の効率は高ければ高いほど良いんだが...。」

と俯いたままの歯軋り。いや、今こいつは「手立てはあるか」に対して、「そんなスキルはない」と言った。本当に手立てがないのなら「できない」としか言わないのではないだろうか。そう思って聞いてみれば、予想は的中。

「古典的な方法だけど、体液接触って方法ならあるよぉ。体液には魔力が溶け込んでるから、体液を相手に接触させれば魔力供給ができるんだぁ。表面積が大きいほど、効率も高いんだよぉ。」

とルナは言い、可能性はさらに高まる。

「ル、ルーナ、まさかあれをやるの...!?ま、まぁ、やるしかないんだろうけど...。」

「ハァ...ハァ...。体液...接触...。」

と魔力を与えながらアリシアが顔を赤らめ、場違いにもルチアは「ヒール」を唱えながら危険な目をしているが今はそんなことに構っていられる余裕はない。俺は、

「それじゃ、一番表面積を大きくする形で頼む。」

「わかったよぉ。」

と了承するルナ。これで外の備えは完璧である。 

 「雅。お前は『ヘルス・オブ・ディバイン』で内臓と血管の修復だけに専念しろ。大丈夫だ、お前の魔力はこいつらが補ってくれる。できるか?」

「もちろんですわ。」

「じゃぁ、それで...。」

「『ヘルス・オブ・ディバイン』っ!」

とこれで雅の生き残る意志を確認し、内の備えも万端となった。

 「おい、レスター...。分かっているな?」

そこで、俺はレスターに問う

「あぁ、当たり前だ。そもそも、雅ちゃんがこうなったのは俺たちが原因。」

彼は望んだ答えを返す。互いに前を向き、扉へと戻っていく。

 そして、俺とレスターの決意は初めて言葉の一致を導き出す。それはごく当たり前のことで、贖罪のための言葉。 


「「この落とし前は俺たちでつける!!!!!」」


と。

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