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#188 次代勇者と先代勇者が共闘を繰り広げた件

 「フィンの乖離。」

ベルゼバブが言うと収束した魔力が黒の光線となって俺を狙う。

「『ストレージ』!第五章第三節、無敵の壁をここに!」

後ろの熊谷さんは電光石火の早業で俺の前にゲートを開き、そこから1冊の魔導書を取り出し詠唱。書を中心にして巨大な淡青の魔法陣が広がり、見事、フィンの乖離を跳ね返した。

 「何っ...!?」

と驚く内に俺が飛び出し、アントニウスに言われた通り、

「『マジックセンス』っ!」

と魔力を可視化。悪魔が目の前にいることもあってかなりの濃さである。

「『マジッククリエイション』っ!」

その魔力へ俺の魔力で干渉し、外側を固め、しっかりと魔力を注ぎ込むようにする。脆いと言っても入念に骨子を生成し、魔力も込めてやればいくらでも生成物は固くできるのである。

 漂う魔力が次々と短剣に変換されていき、ついにはざっと100は越える刃が敵を睨む。だが、失った魔力は残り魔力の半分程度。本来なら既に魔力は尽きているはずだが、今は魔力不足の不調すら感じない。

「全武具、一斉射出!」

と俺は言い、その通りその数100超過の刃を一気に奴へ飛ばす。

「チッ...無粋な真似を...!そんな模造を束ねたところで、我が原罪ロストには叶わぬわ!」

これを見てベルゼバブは暴食者グラトニーを発動。現れた黒泥に刃は次々と吸い込まていくが、それ以上に俺は次々と刃を生成、即これを撃ち出すをして絶え間なく奴に刃の雨を浴びせる。

 造られては撃ち出され、撃ち出されては多くが闇に呑まれ、残りは地にぶっかり砕かれる。その内に俺の魔力も削がれ削がれ、いよいよ目眩が始まった。魔力不足の不調である。

「だけど、あいつの暴食者グラトニーも同じだな...。」

俺はクラクラしながら刃を生み出し、それを確認する。それと、先程まで常に濃いままであった空気中の魔力が徐々に薄くなっているのも確認。あいつ、魔力放射を遮断しやがったな...!そうは思ったが、こうなってはもうやってのける他にない。

 俺は残る魔力のほとんどを費やし刃をさらに追加、これも他のとともに一斉に射出した。その内に、1つの刃が立て続く刃との衝突で薄れた点へ見事に突っ込む。それはそのままその薄い膜を貫き、奴の右目を突き刺した。その刹那、空いた穴から黒泥は崩壊し、残る刃が全て奴に突き刺さる。

「ぐぁぁぁっっっ!」

と叫びながら、翼をボロボロにして地面へ落ち、俺はそれを見届けて刃が消えるとともに意識を失った。

「あとは、任せます。」

とだけ言い残して。

 「了解じゃ。」

これに熊谷さんが答えると、ベルゼバブが立ち上がろうとする。だが、彼はそれを許さない。

「はっ...!」

と飛び出し、奴の手足を魔剣で斬って通過する。さらに、

「神子の光よ、今こそお前の輝きを見せつける時じゃ!」

と言って、魔剣に込められた神聖を一気に解放。

「ま、待てっ!それは...!!!」

とベルゼバブは逃げんとするがルシファーのいないこの場ではどうすることもできない。

「諦めるのじゃ、暴食の悪魔よ...。堕天した己を悔い改めるのじゃ、十字霊剣クローチェ・ラーマっ!」

熊谷さんは振り向き、飛び上がり上から輝くを魔剣を奴の心臓に突き刺してやる。

 「おのれぇぇぇっっっ!」

そして、ベルゼバブはそう最後に恨めしく叫んで消えていくのであった。浄化、ブルフェゴールやアスモデウスのように脱落であれば悪霊程度の最下級悪魔として再臨するがベリアルも受けたこれは違う。浄化された悪魔は正真正銘、消滅するのである。上級悪魔はそう簡単には浄化してくれるものではないのだが、今回の奴はやはり弱り過ぎ、しかも相手が悪かっただけなのだ。

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