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#183 悪魔たちの原罪の力が厄介すぎる件

 ペイラスモスの山麓、対峙する俺とベルゼバブ。ほくそ笑む敵の周りには幾つか魔法陣が展開し、そこに集う黒の光がこちらを睨んでいた。

「『ガンド』、フィンの乖離。」

と唱えられると、それらが一斉照射。黒の光線が寄って集って俺の命を狙う。

 光線の進む速度は遅めで、最近習得した素早さを上げる「ハイファスト」を使えば十分逃げ切れたが、あくまで素早さを上げるだけなのでスタミナの消耗が激しいのである。すぐに息が切れて、速度が落ちてくる。

「...乖離。」

だが、奴は容赦なく黒の光線を放ってきた。このまま逃げ続けたところで結局はお陀仏、ならばわずかな勝利の可能性に掻けて反撃を仕掛ける以外にないのである。

 俺は突如振り返って、

「『マジッククリエイション』っ!マルチシールド!」

と横向きの盾を複数生成、これを足場に俺は飛び上がり、続いて、

「『メテオスラッシュ』っ!」

と剣撃スキルを発動。剣は炎を帯び、その先端を風に靡かせて、奴の腕を斬り下ろした。だが、奴はうんともすんとも言わない。掠り傷程度しかなかったようだ。地面に降り立つと、奴は手を伸ばしてきて、

「『マジッククリエイション』っ!マルチラージニードル!」

と俺は数多の巨大な針で隙を生み、その内にそこから抜け出した。

 そこへ奴は再び、フィンの乖離を放つ。これを俺は「マジッククリエイション」で盾を百近く層を重ねて生成し、何とか防ぎきる。今ので残り魔力の半分を持っていかれた。それでも、反撃を!と思って、

「『マジッククリエイション』っ!マルチナイフ!」

と数多の刃を奴に放つ。だが、その刃は1つも奴の皮膚を捉えなかった。

原罪ロスト暴食者グラトニー。」

と言うと、奴の手先からは黒い何かが放出。何かは刃を全て取り込んだ後、再びその手に引っ込んだ。俺たちと悪魔とが散開する前にも見せた悪魔官ベルゼバブの原罪ロストである。

 暴食者グラトニー。それはその手から繰り出す黒き粘液を以てして、あるゆるものを奈落に追いやる。だが、大質量、大物量にはあっさり負けてしまう。チート級の強さがありながら、絶対的な力という訳でもないこと。それが、神の力と悪魔の力の大きな違いである。だが、今の悠人にこの弱点を突くものなかったのである。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 一方、グリモアの森内部。繁る木々で見通しの悪いその場所ではルシファーとアリシアが対峙。

 「動くことを禁ずる。」

「きゃぁっ!」

「己の魔術を以て胸を穿て。」

「『アイシクルランス』!くぅっ...!?」

「絞首にて自害せよ。」

「うっ...ぅ...くっ...ぐぅっ...!うぅっ...く...。」

動きを止めてからの殴打、命じる自傷と自害。奴は原罪ロスト傲慢たる創造スペルビアによって、ただアリシアを痛め付けて、その苦悶の表情を見て楽しむ。彼女が隙を突いて魔法攻撃を加えるも、致命傷になることはなく、永遠に苦痛が続くのみ。その中、死しても再び蘇るのである。地獄に行かずして、地獄を味わうのである。

 もし、この力が変態悪魔アスモデウスにあればおそらく、アリシアにP音案件の命を与えたことであろう。だが、ルシファーの変態性は決してそういったベクトルには存在し得ないのである。

 

 雅、ルナ、ルチアもそれぞれプロスペレ近辺の森や草原に散り、それぞれマモンの強欲の財グリード、サタンの憤怒の練磨ラース、レヴィアタンの嫉妬の剣製エンヴィーの前に苦戦を強いられていた。ちなみに、その3つ全てが奴らの原罪ロストである。

 例えば、強欲の財グリード。欲すればいかなるものもどこかの誰かから奪い取ることができる力で備蓄もできるが、短時間でその支配権を喪失するのが欠点。だが、これを数で埋め合わせ、これが雅の接近一切を拒んでいた。

「く...うっ...。」

撃ち出されたナイフが彼女の肩を貫き、痛々しい声を誘うこともあった。

 また、憤怒の練磨ラース。発すれば強大な力を手に入れることができるが、魔術の類が使えなくなるのが欠点。だが、魔力が無駄になるというわけではなく、一部は魔法防御に回せるのである。当然、遠距離攻撃の手段が乏しいわけだが、それはルナも同じこと。

「くぁぁっ...!っ...。」

彼女が拳に魔力を集めて飛び上がると、ステータスが圧倒的に上な奴が凄まじい蹴りを入れる。彼女は痛々しい声を上げて、勢いよく地面に叩きつけられた。

 そして、嫉妬の剣製エンヴィー。嫉妬の念を形にし、その念を固めて望む武器の贋作を編めるが、編んだ武器は等しく脆いのが欠点。だが、レヴィアタンには「ガンド撃ち」があるために、再び編む時間を稼ぐには造作もなかった。しかも、対峙するルチアは神官、1人で戦うには無理がある。

「『プロテクト』っ!『プロテクト』っ!『プロテクト』っ!」

彼女にできるのは精々、障壁で防御に徹するのみ。

「くぅっ...!」

徹していてもたまにガンドが肩や足を掠ることがあるのだから、反撃のチャンスなど生み出せるはずもないのである。「チャンスは寝て待つものではなく、自分で作り出すものだ」みたいな積極論を説く者がいるが、今の彼女に言えば最上の辛辣となることだろう。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 悪魔たちの有する固有能力、その名も原罪ロスト

 悪魔5体にもそれぞれ割り当てられたそれらの力は全てが厄介、苦戦不可避を呈する強豪であった。

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