#179 スライムたちの数攻めが過ぎる件
サモナースライムらがこちらに気付くと連れるスライム
一斉に襲いかかってきた。今度は数種のスライムが入り乱れている。
「『マルチファイア』っ!」
「『クラッシュアロー』っ!」
「『マルチエクスプローシブサンダー』っ!」
「『リップルクリスタルハンマー』っ!」
「『パワードスマッシュ』っ!」
対して、俺たちもそれぞれスキルを発動する。俺からは炎の散弾、雅からは爆発性の矢、アリシアからは同じく爆発性の雷、ルチアから波動を生む魔力の槌、ルチアからは強力な拳技。これを前にスライムらは次々と弾け飛び、二度目はないとシャドウスライムもアリシアが、
「『フラッシュ』っ!」
と閃光で怯まし、そこを俺が「フリップキック」で一気に吹き飛ばした。
と、今度は呪いたい程に恨めしいディコンポーズスライム。今回はオスもメスもいるようで、俺にも4人にも襲いかかっていた。どんどん溶ける皆の服、せっかく昨日ルチアが縫い合わせてくれたと言うのに最悪のことである。ルチアも同じ気持ちのようで、
「私の...私の努力を...無駄にしないでくださいっ!『マルチエグゼキュート』っ!」
と普通に怒って、魔力で出来たギロチンのようなもので核ごとたちに切り落とした。ルチアが怒るのを見たのは初めてで、これには俺もかなり驚かされた。まぁ、服の方は時既に遅しでかなりの範囲溶けていたのだが。これに俺はまたまた、目のやり場に困るという状態へ陥ってしまう。
そんな内にマグマスライムとかローションとかが襲い掛かってくるのだが、皆、仕方なく溶けた服に構わず攻撃を続ける。しかも、ルナについてはもはや、露出できて嬉しいみたいな顔。
「『マルチエクスプローシブサンダー』っ!」
とアリシアは雷を放ち、
「『エンゼルレイン』っ!」
と雅は光の雨を降らす。ルチアは
「『クリスタルハンマー』っ!」
と魔力の槌で叩きつけ、ルナは精一杯魔力を込めて、
「『パワードスマッシュ』っ!」
「『マジックシェア』っ!」
さらに、魔力が減ってきた頃合いを見て、魔力がそれぞれ供給される。
さて、いよいよサモナースライムは目前へ。奴らは前後から一斉にバシュ!バシュ!バシュ!とメタルスライムを放ち、ルチアは
「『プロテクト』っ!」
と障壁で守る。同時に、アリシアは発動までの時間も考え、
「『ラージテレポート』っ!」
そう唱えて辺りを囲む。しばらくすると、サモナースライムは障壁に攻撃を加えまくるが、何とか堪える。その間に瞬間移動の準備は整い、
「いざ城外、湖のほとりへ。」
とのアリシアの一言で外の湖、そのほとりへ。
「『マルチシリウスフレア』っっっ!」
そこでアリシアは唱えて、周囲を炎の球で囲んで5体のスライムの怯みを誘い、その内に彼女は俺たちに触れて、
「『テレポート』っ!」
再び瞬間移動魔法を唱えて、奴らから少し距離を取る。
そこで、アリシアは杖を構えて、奴らに狙いを定める。杖の先の魔石には魔力が収束し、
「現に住まいし、全ての炎精よ...。今こそ1つに集いて、爆焔となりてここに顕現せよ!爆ぜよ、邪悪なる者!『バーニングブラスト』っ!」
と唱える。すると、あちらに炎の球が生まれて、真下に落ちる。ドガァァァッッッン!との轟音は地を揺らし、その衝撃が俺たちの髪を靡かせる。
そして、その爆風に乗って細切れとなったスライムの欠片が飛んできた。それらはみるみる内に色とりどり変色し、マグマスライムだとかメタルスライムだとかとにかくこれまた色とりどりの奴らが襲いかかってきたのである。
「マズいわ。あのスライム、散る時に全身をスライムに変えて、けしかけてきやがったわよ。」
それを見てアリシアは言う。1つ1つは小さいのだが、数だけは圧倒的。マグマスライムは火炎弾となって降り注ぎ、メタルスライムは金属の塊となって皆の頭をぶつ。
「きゃぁっ!」
「痛っ...。」
「いやぁ...!」
「くっ!」
と4人は悲鳴をあげて、頭から血を流す。それでも、揃って反撃。アリシアは「エクスプローシブスプレッド」でスライムを弾け飛ばし、ルチアは「クリスタルハンマー」でスライムを押し潰し、ルナは「パワードフットプレス」でスライムを踏み潰し、雅は魔剣でスライムを微塵切りにする。
続いて、バトルスライムが触手を振り上げ、ローパースライムが触手を引き絞る。バトルスライムの触手は雅が魔剣で捌いて、
「『マルチクラッシュアロー』っ!」
爆発性の矢を複数放って吹き飛ばす。そこへローパースライムが刺して、そのまま彼女の全身へ麻酔が回る。その体は震え、数分でついに倒れ伏してしまった。
ルチアは倒れた彼女を
「『プロテクト』っ!」
と障壁で囲み、触手攻撃からその体を守る。また、彼女に
「『スティムレーション』っ!」
も唱えて状態異常、昏睡(下)を徐々に直していく。
これを他所に俺たちは奴らの過ぎる数攻めにあっていた。
「『マルチファイア』っ!『マルチファイア』っ!『マルチファイア』っ!」
と炎の散弾でノーマルのスライムを吹き飛ばし、アリシアはさっきの「バーニングブラスト」で魔力をほとんど消し飛んだというのに、
「『マルチウィンド』っ!『マルチウィンド』っ!『マルチウィンド』っ!」
と風魔法を唱え続け、ついには
「もう、ダメ。あとは任せた...わ...。」
と魔力が尽きて倒れてしまった。
そこから俺たちの魔力節約の戦いは始まる。俺は出来るだけ魔剣のみで奴らを捌き、ルナも回避に専念、攻撃は俺に任された。かなり忙しく動き回った俺だったが、
「うっ...。」
と頭を押さえて、雅がゆっくり立ち上がり、またそれから数分すると状況は一変。彼女は
「どうにかスライム全て一ヶ所に集めてくださいな。そうしていただければ、わたくしが白虎で一掃いたしますわ。」
と斬りながら言う。
俺とルナはこれを了解。
「どうする、ルナ?」
「『ハイジャンプ』と『スマッシュ』で一ヶ所に叩きつける手はどぉ?」
「よし、そうしよう。」
と2人で作戦を決めて、
「「『ハイジャンプ』っ!『スマッシュ』っ!」」
「「ジャンプっ!『スマッシュ』っ!」」
「「プっ!『スマッシュ』っ!」」
「「『っ!『スマッシュ』っ!」」
と揃って何度も「ハイジャンプ」と「スマッシュ」を繰り返し、体が全く動かせなくなる寸前で何とか全て一ヶ所。
「ぐっ...。」
「いたぁい...。」
底力で頭だけは守るも、上手く受け身をとることは出来ず背中に大打撃。俺たちは魔力不足というよりもその痛みで、ついに体を動かせなくなってしまった。
「お手柄ですわ、お2人とも!秘技、白虎っ!」
そう言う雅を俺たちは下から見ながら、事の行く末をその目に見る。ついでに、雅のパンツも見えた気がしたが、そんなのに目を剃らしてられる程の余裕などもうなかった。俺にできたのは、横のルナと共にて固まった体を放置し、スライムたちを連なる斬撃で雅がスライムを一掃していくのをただ見上げるだけである。
スライムは単体ではかなり弱い。ただそんな弱い魔物も、数が集まればかなりの強さ。このスライムたちの過ぎた数攻めは、まさに「ちりも積もれば山となる」を感じるものであった。




