#18 唐突に新番組が始まった件
それから、俺は行動不能のまま、丸一日を過ごした。たまたま蛇が襲いかかってこなかったり(蛇も変温動物だから、これは必然的なものか?)、 たまたま誰もその道を通らなかったり(ここは獣道で滅多に人間が通らなさそうだから、これも必然的なものか?)したのとが幸いして、命の危機に晒されることは全く無かった。
それに、餌も豊富。地面を掘ればミミズやミルワームがウジャウジャと出てくる。最初は、見るだけで吐き気がしたが、食べてみると意外と美味であった。蜥蜴の味覚だから、当たり前だけど。
そして、何もないまま、7日間程経った。
≪ステータス≫
新島悠人-Lv.5(残り200経験値)
体力/235
生命力/235
魔力/150
筋力/250
知力/340
素早さ/310
器用さ/130
幸運/1
状態異常/カナトカゲ化
空を見上げる。俺は言う。
「おぉ、もうレベル5か。」
同時に、今までの疑問が脳裏を過る。あの空にステータスが浮かぶのって、どういう原理だ?と。
「まぁ、気にしたら負けか!」
俺は自ら抱いた疑問を自らでそう解決させた。
そして、たまたま他の蜥蜴が通りかかる。俺はそいつに狙いを定める。と、後ろの茂みから何かが動く音がした。同時に、シャーシャーという威嚇の音も。その音と共に俺が狙っていた蜥蜴はそそくさと逃げていった。生物が持つ、危険回避の本能によるものだ。
当然、元人間の俺にはそんな本能は無い。おそらく、変わったのは五感だけ。人間では無くなり、第六感的なものを得たが、それ意外は何も変わってない気がする。蛇の威嚇の音がする。しかし、それがどうしたと言う感じだ。
恐る恐る後ろを向くと、そこには残忍な目で舌をピロピロさせる蛇がいた。俺は、慌てて「ハイスピード」を唱えようとするが、その前に蛇に食らい付かれてしまう。
こうなったら、最後の手段だ。俺は、唱える。蜥蜴の尻尾切りの由来ともなった必殺技を。必ず逃げるための力を。その力を蛇に見せ付けるように。
「『テールカット』っっっ!」
と。
すると、俺の尻尾は俺の意識から外れる。蛇は戸惑いを見せる。そして、俺はその一瞬を逃さない。
「『ハイスピード』っ!」
と唱え、高速で逃げ出し、反対の茂みの中へと突っ込んだ。
ゴクッ!何かが口に飛んでくる。それは、自分で食ったというよりは、あっちから食われに来たという感覚だ。俺は、それを無意識の内に飲み込んでしまう。
すると、進化が始まる。まず、体が大きくなり、それと同時に二足歩行となる。さらに、皮膚の硬い鱗は消え、代わりに黒い羽毛が生えてくる。手は横に伸び、そこからも同色の羽毛が生える。さらに、その手は羽ばたける程の筋組織を得る。口は長く伸びて黄色くなった。
手を少し動かし続けるだけで、しばらくの間、浮くことが出来た。そう、俺は鳥となったのだ。俺は空を見上げる。
≪ステータス≫
新嶋悠人-Lv.1(残り25経験値)
体力/210
生命力/210
魔力/200
筋力/320
知力/350
器用さ/90
幸運/1
状態異常/カラス化
≪スキル≫
フラップ:羽を羽ばたかせて、撹乱する。相手は怯む。
ピックド:嘴でつついて、相手を怯ませる。
ラッシュピック:急降下して嘴でつつき、相手を出血させる。
ジーニアス:一定時間、知力が上がる。
ブルータル:残忍な目で、一定時間、相手の筋力を下げる。
バークド:鳴き声を上げて、仲間の居場所を確認する。また、援軍を要求する。対象が烏の場合のみ有効。
「おぉ!今までで一番、良いじゃねぇかっ!相変わらずの、幸運指数だけど!」
そう、本当に幸運指数は相変わらずの1である。しかし、そんなことなど、どうでも良い程にカラスのスキルは質が良いものが多かった。
それに、カラスのような鳥ならば、空に憧れていた俺は、ついに空を駆けて行ける。そう言えば、とあるジ○リ作品の主題歌にそんな歌詞があったな。俺は思い出しながら、羽を広げた。
「さぁ、新番組『空から異世界を見てみよう』の始まりだ!」
そう言って、俺は羽ばたき、空へと飛び上がった。




