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#177 スライムで分かりやすい展開に発展した件

 さて、俺たちはプロスペレから出る古城への馬車があると聞き付け、広場の馬車停留所までやって来た。

 「そういや、ルナ。お前、スライム相手に変な気起こすなよ...。お前はドMみたいだから心配なんだよ。」

「やだなぁ、"ド"は付かないよぉ。」

そこで馬車を待ちながら、ルナに言ってやると案の定、こんな感じの返しである。

「言い言葉を教えてやろう。結局、Mなら"五十歩百歩"だ。」

「それって五十歩と百歩は全然違うなぁってことぉ?」

「本当に分かりやすい誤用だな...。逃げた時点で五十歩も百歩も同じこと、そこから転じて似たり寄ったりって意味があるんだよ。」

「つまり、大同小異ってことだねぇ?だったらはっきり、『五十歩百歩も逃げれば同じ』みたいに言えば良いのにねぇ...。」

それは俺じゃなくて「五十歩百歩」という言葉を編み出した人に言うべきなんじゃないかなぁ、とも思ったが何かこのツッコミは違う気がしたので心の中に留めておいた。

 それからしばらくすると、馬車がやって来てそこには「Bus Horse」とある。どうやら、バスみたいに色んな停留所に停まっていく奴らしい。荷台もかなり大きめで馬型の魔物ヒッポタウロスの十数比企がこれを率いていた。

「急ぎの客がいんだ。ほらほら、乗った!乗った!」

手綱を掴む運転手はそう言って、手まで使って搭乗を催促する。

 俺たちは言われるがままに荷台の中へ入っていった。既に中には20人ほどいたが、俺たちが加わってもまだ余裕があった。どれぐらいの余裕かと言えば、俺たちがもう2組いてやっと全席が埋まる程のものである。

 

 それから、馬車は町内外のいくつかの停留所に止まり、やがて目的の古城前までやって来た。

「ありがとうございました。」

「あいよ。」

俺は会釈をして代金を手渡す。続く他の4人も同じようにして代金を手渡し、「あいよ」も聞いて、馬車バスを降りていった。

 そして、戦闘準備を整えて城の中へと入っていった。掃除道具についてはアリシアの「ストレージ」にいくらでもあると言う。それもかなり効率のよいものが。何でも入っていそうだな、あいつの「ストレージ」...と思う俺である。

 と、早速、上からスライムが襲いかかってきた。体が赤く湯気的なのも棚引かせていてかなり危険な感じ、しかもそれが10体近くいる。その風貌からか、俺は咄嗟に

「『ハイドロボム』っ!」

と唱えていた。これがとある1体に命中するとすぐさま黒に染まって地面に落ちた。その黒いのはコツンと地面を跳ねてこちらに転がってきた。

「いいわよ、悠人。そのスライムはマグマスライム、水を掛けると石になって無力化されるのよ。」

おまけに、アリシアにも褒められた。マグマだから水を掛けると固まるのか...と一瞬思ったが、よくよく考えてみれば謎ロジックではないか。マグマはあの速度で固まったりせんわ...!と謎ロジックが頭を過った頃の自分にツッコミを入れた。

 「あれは普通のスライムよ。」

「なるほど。」

「あれはポイズンスライム、取り付かれると毒になるから気を付けて。」

「ふむふむ。」

「いゃぁぁぁっっっ!わ、わたくしの洋服が...!」

「あれはディコンポーズスライムね。繊維を分解して食用にしてるスライムなんだけど、何故かオスは女性の、メスは男性の服を分解して楽しむのを好むらしいのよ。人体に無害なんだけど、このままじゃ百合の服が溶かしつくされちゃうから、悠人、あんたが取ってやりなさい。体の中心に核があるからそれを掴んで離すのよ。」

「分かった...。ん、核ってこんな柔らかいもんなのか...?」

「やっ...ちょっと、悠人くん...!いきなりわたくしの胸をお触りにならないでくださいな!ふしだらですわよ...!」

「あんた...何してんのよ。」

「ほ、本当にすいません...。」

「悠人ったらぁ...私の胸じゃ満足できなかったんだねぇ?」

「いらんこと言わんでええわ!あれは10割お前のせいだろ!」

 と、まぁこんな感じでディコンポーズスライム(9割悪い)のおかげで俺(1割悪い)が変態になり果てる羽目になったが、俺たちはこの後も色々なスライムと遭遇する。体液で人間を滑らせて楽しむスリップスライムとかいう迷惑な奴や凶暴で攻撃力も高めのバトルスライムとかいう厄介な奴、しまいには麻酔の触手で男女構わず体を弄ぼうとしてくるローパースライムとかいう変態な奴まで出てきて、装備はボロボロになるわ、服が体液でドロドロだわ、そのせいで下着が透けて目のやり場に困るわでもうしっちゃめっちゃかである。

 「てか、スライム1つでこんな分かりやすい展開とかありかよ...。」

俺は前に向かってため息を吐いた。そこへまた別のスライムが現れる。体は銀でどんなスライムか俺には分からなかったのだが、気をめいっていた俺は、

「くたばれ、こんにゃろぉぉぉっっっ!『ハードスマッシュ』っっっ!!!」

とそいつをぶん殴っていた。すると、重厚な手応え、遅れてやってくる酷い疼痛。

「そいつはメタルスライムよ...!自身の体を金属のように固めて防御するの。こうなると、しばらくはそのままだから...!」

「いっでぇぇぇぇぇっっっっっ!」

アリシアが親切に説明をしてくれるも、その声は続く俺の叫びに掻き消されてしまった。


 そして、この日は結局、スライム退治に全時間を取られ、一度帰るも帰らぬも同じだと思って、古城の下で野宿を取ることにした。

 「み、皆さんのお洋服は私がします、よっ...!悠人くんには任せられませんっ、のでっ...!」

「抑揚が激し過ぎるっ!ついでに、鼻息も激し過ぎるっ!男には任せられないってお前も大概だろっ!」

そこでルチアの言葉を聞いた俺はそんなツッコミを入れていた。今日はやけにツッコむことの多い、まさにいつもより多くツッコんでおりますの1日であった。

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