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#172 運河で水上観光を楽しんだ件

 昼食は大聖堂前に通りすがった人のおすすめで東のアルバに対して西のクレプスコロ運河の脇にある、魚料理店「グスト・ラーゴ」へ取りに来た。何でも運河や湖で取れた淡水魚を使った色々な料理が提供されるのだとか。

 俺たちは案内された一番手前の席に着くと、机に貼られたお品書きを見る。フライや刺身、海鮮丼や焼き魚などバリエーションは豊かでである。

「私は魚のフライ定食でぇ。」

「俺は上海鮮丼にします。」

「俺も同じので。」

「私はで同じのをお願いするわ。」

「私はバウンドバスの味噌煮定食にします。」

「わたくしはスナッピートラウトの塩焼き定食をお願いいたしますの。」

「私はイクラ丼にするわ。」

上からルナ、俺、シリアンさん、アリシア、ルチア、雅、セレスでこれらの注文をする。

「上海鮮丼3点、フライ定食、バウンドバス味噌煮定食、スナッピートラウト塩焼き定食、いくら丼がそれぞれ1点ですね。かしこまりました。しばらく、お待ちください。」

店員さんは紙に記しながら確認を取ると、厨房の方へと歩いていった。

 それから、10分ほどして頼んだものがまとめてやってくる。定食はそれぞれ違うメインに加えて、共通である魚のスープとご飯、サラダが添えられている。セレスの頼んだイクラ丼は溢れんばかりのイクラが乗ってあった。

 一方、俺も頼んだ上海鮮丼には赤身が一種、白身が三種、そこにイクラとシラスみたいなの、あと、海老が一尾乗っていた。

 「いただきまーす。」

俺は言って、赤身とご飯を一緒に口に運ぶ。ご飯はほどよく酢の味か利いていて、赤身の方は脂身もほどよく、旨味も濃く非常に美味であった。白身の方も食べてみると、あるものは淡白ながらトロトロで、あるものは脂身も歯ごたえも程よくありで、あるものは薄くも淡白若干硬質でこちらも美味。シラスの塩味もイクラの食感もご飯によく合い、海老も噛むとプリプリとした食感が気持ち良かった。 

 「美味ひぃ~...。」

ルナはあっという間に食べ終わり、セレスも酷く劣らずイクラとご飯をどんどん口に運んで、噛んで夢見心地になっていた。俺がその様子を微笑みとともに見ていると、他の皆も乗って同じようにする。それに気付くと、彼女は急に顔を真っ赤にして、そんな顔もすぐ隠して、

「み、見ないでよ!寄って集って、そんな温かい視線を私に向けないで!」

と言う。

 ルナはそんな彼女に

「ダメだよぉ?顔を隠すときは両目だけにしなきゃぁ...。」

と言って、赤面しながら掌を表に目の辺り一帯を隠してみせる。

「それ風俗写真の奴だよっ!てか、どこで知った!?」

まぁ、大体想像付くけど。俺はそんな気持ちで苦笑と共にツッコミを入れ、スマホの履歴を調べる。問題の箇所はすぐ見つかった。


『風俗写真 まとめ - Goggle検索』


 結構、最近じゃねぇか。悔しいことに、俺はそれが上の方にあったということに先にツッコミを入れていた。

「おい、ルナ。お前は後から説教だ。」

しかし、すぐにそれがあること自体にガチトーンでツッコミを入れる。あと、今後見られるとマズいのでその履歴も消す。

 それにしても、6桁のパスコードを設定していのになぜ開けたのだろうか。誕生日7月21日と購入年2019年から取って「072119」というのが安直だったからか。あっ、結果的に下ネタっぽい数字の羅列になってしまって、変態には解読が容易かったからだ。俺は疑問を自己解決し、パスコードを絶対に変態にはわからないパスコードにした。それと、これからは念のため寝ている間もスマホを肌身離さず持っていることにした。

 一先ずこれで一件落着。全員食べ終わると、ルナへのお説教タイム。

 それから、店を後にしてクレスプコロ運河沿い全ての観光スポットを水上で巡るというデルフィーノ船(魔力が動力)に乗った。全員船酔いしないことは事前に確認した。


 さて、俺たちを乗せた船はどんどん運河を進み、キャストらしき女性が、

「右手に見えますのががヘラ教の本教会となっております。建材は白を基調としていますが、十字架など内装の装飾品は全て黒いんですよー?ちなみに、ヘラ像の下には隠し部屋もあるんです。」

と教会を紹介したり、

「左手に見えますのがアドリア領主家邸宅でございます。総工費は約7億コルドと推測され、一部サント・リーヴァ大聖堂本堂を模倣して建てられたという文献が残っております。ちなみに、領主様のお部屋は手前の一番巨大な棟にございます。」

と邸宅を紹介したりする。

 その後も、青の洞窟みたいなのがあったり、昔ここらに巣くっていたという賊の名残があったり、水中に入り口を構える神殿があったりと色々なスポットの紹介があった。


 そんな時間はあっという間に過ぎていき、船が終点の船着き場に着いたときにはもう太陽が西に傾きかけていた。

 「はぁ...。充実した1日だったけど、その分かなり疲れたなぁ...。」

俺は道まで来ると、そうため息を吐く。

「えぇ、そうね。早く屋敷に帰って寝ましょ。」

「賛成です。」

「わたくしもすうするべきかと思いますわ。」

「だな。」

「私なんか説教も受けたから、尚更だよぉ...。」

「その原因作ったの、お前だけどな。」

セレス以外の6人がこれに賛同。ルナの言葉には賛同しがたいが。

 「ねぇ、アンタたちもう帰っちゃうの?」

そんなやり取りを聞いたからのか、セレスは寂しそうな目でこちらを見る。

「なんだ、帰ってほしくないのか...?」

俺が言うと、彼女は髪を指でクルクルしながら、

「べっ、別に帰ってほしくないとまでは言わないけど...?ちょっと寂しいなぁ...なんて?」

と小声で言う。何か分からんけど、前会った時よりも、これどころか朝会ったときよりもツンデレ感が増している気がするが、まぁ、気のせいではないだろう。

 セレスは寂しいがっている。それはよく分かるのだが、今から宿を取りに行くのもあれだし、協議の結果、やっぱり彼女とは別れを告げることにした。

「心配しなくてもまた会いに行くよ。アルマになら『テレポート』で一飛びだし。それに、家の事情とかが無ければそっち来ても良いからさ。いつでも歓迎する。」

と「good-bye」ではなく、「see you」の意味を強めて言い、

「わ、私からアンタたちに会いにいくとかは絶対にないわっ...!でも、そっちから来てくれるなら...私も歓迎するわよ...?」

と彼女に言われる。

 「そうか...。じゃぁ、また!」

俺はツンデレ感をさらに感じながら、セレスに手を降る。

「じゃぁね...。」

彼女も小声でこれを返した。

 これはセレスのためにもまた会いにいかねばなるまい。からかい的な意味とかもあるのだが、一番は俺が純粋に彼女とまた会いたいみたいに思っていることであった。

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