#17 蜥蜴に進化した瞬間行動不能になった件
後ろから、ある蛙へ忍び寄る。それは、言葉しずる(蛙)ではない。見ず知らずの蛙だが、あの子を殺すと言うのは倫理に反している。一時は、非倫理的なことを考えていた俺が言うのもなんなのだが。
不意討ちを食らうこと。それは、人間に取って、いや、動物に取って一番避けたい事である。暗殺と言うのも、大雑把に言えば不意討ちの1つ。それはより安全に、かつ確実に人を殺せる方法である。そして、不意討ちと言えば急に足元へゴキブリがやって来ると言う最悪のシュチュエーションだ。俺はこのシュチュエーションに何度も合った。本当に不幸な人間である。どっかの上○さんの不幸なんて可愛いもんだ。
ピョーン!
俺は跳ねる。相手は自分より少し小さな蛙である。
「いっただっきまっーす!」
俺は舌を伸ばして、その蛙を捕まえる。捕まえてから舌を引っ込める。蛇と同じ丸のみと言う方法だ。蛙だけど。
「ごぼっ!?」
俺は苦しむ。そう言えば、重要なことを忘れていた。その蛙は俺より少し小さいぐらいのサイズ。ギリギリ口に入る程の。ギリギリと言うことは、口はその蛙で埋め尽くされると言うこと。つまり、窒息は不可避である。それに、そいつは暴れまくるので、思わず吐き出してしまいそうである。しかし、俺は我慢して口を塞ぎ続けた。
そして、そいつはその蛙の力は弱々しくなっていった。初めは口の中で自由にピョンピョンジタバタだったのが、 時間が経つと少し自由感が無くなりジタバタ、やがてはほとんど動かなくなった。
例えるなら、気体から液体へ、液体から固体へと状態変化する時の、粒子の動きの変化に似ている。気体の内は広い空間の中で自由に動き回る。続いて、液体になると気体ほど自由では無くなるが、十分自由に動くことが出来る。しかし、固体になるとお互いに引き合って振動することしか出来なくなる。前の世界で俺は理科が得意だったので、完璧に説明できる。特に、深い関係のある、化学と物理学がとても好きだった。
こうして、俺は蛙を食い殺すことに成功した。もうすぐで、窒息死しかけたが。この共食いは多くのリスクを背負ったが、それを乗り越えて食い殺すことが出来たのだ。ただでさえ不幸な俺が、こっちに来てから2回も賭けで勝ったのだ。「禍福は糾える縄の如し」という言葉を一度、信じた俺にはこれからとんでもない不幸が起こるのだとしか思えなかった。
ともかく、進化は始まる。尻からは尾が生え、肌からは褐色の鱗が生えてきた。ピラニアの時のような、すぐ剥がれてしまいそうな薄い鱗ではない。太陽から放たれる紫外線や赤外線をある程度、跳ね返すことが出来る、硬質で重厚な鱗だ。なお、蛙の時のようなツルツル肌はもう無かった。
そして、空を見て、ステータスとスキルを確認しようとした。のだが、体が怠くて動かない。蜥蜴は変温動物。暑さにも寒さにも弱い変温動物である。俺は進化した瞬間、行動不能になった。それでも、俺は何とか空を見上げることが出来た。
≪ステータス≫
新島悠人-Lv.1(残り25経験値)
体力/150
生命力/150
魔力/100
筋力/200
知力/300
素早さ/250
器用さ/80
幸運/1
状態異常/カナトカゲ化
≪スキル≫
テールカット:尻尾を切って、相手の攻撃を必ず回避する。ただし、連続して使うことは出来ない。
リバース:魔力を使って、体力を回復させる。また、「テールカット」が可能になるまでの時間を短縮する。
プロテクトカラー:体色を変化させて、擬態する。相手は、使用者を見失いやすくなる。
ハイスピード:一定時間、素早さが上がる。
「相変わらず...か。不幸だ...。」
そう、相変わらずの幸運指数1であった。精神的にもやられてしまい、俺はますます怠くてなった。
しかも、こんなところにいれば、天敵にも狙われやすい。俺は無理にでも体を動かそうとするがやはり動くことなど出来なかった。




