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#166 あの男に仕返ししてやった件

 「キャッ...。」

バシャァァァッッッ!俺は思わず悲鳴を挙げかけたアリシアの口を塞ぎ、そのまま風呂の中に引き摺り降ろしてしまった。罪悪感なるものが俺を襲ったが、これは不可抗力だ、と割り切った。

 「ちょっと、あんた何で女湯にいるのよ!?もしかして、私の美しい体を直で見たかったをかしら!?それなら、なっと...」

「そんなわけねぇだろ、バカじゃねぇの。」

「ど、どうせ私は貧乳よ...。」

「巨乳とか貧乳とか関係なく言ってんだよ。」

こんなやり取りの間にも普通に彼女の裸体が手ブラの下で目の前にあるのだが、中々に興奮しない。下半身も反応する素振りを見せない。

 「で、何で女湯にいたのかしら?」

さて、アリシアは改めて聞いてくる。俺はこんなことをした以上、嘘なんて到底つけるはずがないと思って、

「言い訳がましく聞こえるかもしんないけど、結論から言うとレスターにしてやられたんだ。入り口に暖簾があっただろ?さっきそこには何てあった?」

と聞いてみる。答えは、

「『女』に決まってるでしょ。」

 俺は深くため息を吐く。

「けど、俺が来たときにはそれが『男』だったんだよ。その時、レスターを見かけてさ...。対象の視覚を牛耳って幻を見せるみたいなスキルでも使ったんじゃないかって。」

「確か『ミラージュ』ってのがあったわね。でも、それは光を操って間違った像を結ばせるっていうスキルで、幻殺の魔眼とかの例外もあるけど、基本的には術者以外の全員が同じ幻を見るようなものだわ。」

アリシアは説明をしてくれ、今まで「should」だった確信は、「must」の確信に昇格した。

 「まぁ、悠人のことを憎んでるあの男ならやりかねないわね。仕方ないから、手伝ってあげるわよ。」

そんな俺を他所に、アリシアは救済妥協の念を見せてくれる。あまりに寛大な対応過ぎて、俺はナチュラルに彼女の肩を生で触ってしまった。そのせいで、

「やっぱ、お前良い奴だな!流石は世界一寛大な大魔法使い!」

と普段なら「でしょ?」みたいなことを言いそうなのを投げかても、

「急に何よ、気持ち悪い...。て言うか、私の美体に気安く触らないで。」

と素の反応された。それでも、ナルシを入れてくるというのが彼女のにくいところではあったのだが。あと、普通に柔らかかった。

 「どうされましたの、アリシアちゃん...?先程、大きな音がいたしましたけど...。」

さぁ早速、どうやってここから脱げだそうかの話をしようという時に、運悪く雅の心配そうな声。マ、マズい!下着泥棒の件もあるし、彼女もアリシアみたいに寛大な対応をしてくれるとは限らないし、ホントにマズい!

「マ、『マジッククリエイション』。バレル。」

俺は咄嗟に桶を生成して、その中に隠れた。

 間一髪。そこで、雅が顔を出す。

「ちょっとつまずいちゃったのよ。何もいなかったわ。」

「そうですの...。お怪我はございませんか?」

「えぇ、怪我とかはないわ。」

「良かったですわ。気を付けてくださいね?」

「えぇ、分かっているわ。」

そんな声が耳に入ってきたのだが、今頭を埋め尽くしているのは目に入ってきたものでそれは雅の裸体であった。他と比べて彼女は圧倒的に女の子としての意識があるので、流石に下半身が反応せずにはいられない。体とはどこまで行っても正直なもののようだ。

 だが、雅が去っていくすぐ落ち着いた。俺は水から顔を出し、魔力の桶も消してやった。

 「で、作戦は?『テレポート』でも使うか?」

続いて、俺はアリシアに聞く。彼女には

「あんた、公衆の面前で裸晒しでもしたいの?『テレポート』は上手く指定できなきゃ、行先はランダムになるのよ。もし、街中にでも『テレポート』しちゃったら人生終わりよ。」

と言われて、唸り声が自然と出た。

「じゃぁ、どうすりゃ良いんだよ...。どうすりゃ、見つからずにここを抜け出せる?」

と、さらに言うとアリシアは

「そうね。ちょっと手荒な真似になるけど良いかしら?」

と問いを投げた。

「お、おぅ...。」

今度は唸り声とは言わず、普通にそんな声が出た。

 「で、その手荒な真似ってのは...?」

「悠人を『ミラージュ』で小石に見せて、向こうへ投げ飛ばすのよ。隣の混浴風呂なら問題ないでしょ?」

聞いてみりゃ、ホントに手荒な真似。が、だとしても問題が1つ残っている。

「それはそうと俺をどうやって投げ飛ばすんだよ、お前。」

「大丈夫よ。悠人ぐらいなら『ハイプロテイン』と『ミドルスロー』の合わせ技で簡単に飛ばせるわ。その代わり、着地は任せたわよ。」

そんな問題もアリシアの言葉で即刻、杞憂に終わってしまった。

 

 そして、作戦決行の時。アリシアは

「『ミラージュ』。」

と唱えて俺を小石化。続いて、自分に向けて、

「『ハイプロテイン』。」

筋力を強化した。その強化された筋力を持ってして俺を担ぎ上げた。その際彼女の胸部が顔の目の前にあってその時はアリシアであることを忘れて下半身は初めて反応の素振りを見せた。

 が、そんなものは彼女の次の詠唱で全て吹っ飛ぶ。

 「『ミドルスロー』!」

の声とともに俺は投げ飛ばされて、女湯と混浴の壁どころか混浴と男湯の壁さえ越えて、最も外側の壁の中間辺りに頭をぶつけて、

「不、不幸...。」

と共そのまま後頭部から落ちた。

 俺は咄嗟に

「『ファミリア』っ!」

と唱えてゴキブリ化。引っくり返った後にこれを解除して元の姿へと戻っていった。その頃には、「ミラージュ」も解除されている。その頃には、最初から「ファミリア」を使っておけばよったとも思っている。

 「気の毒だったなぁ、新嶋悠人。」

そこへレスターさんが寄ってきてニンマリとした笑みとともにマッチポンプな上部だけ同情発言を仕掛けてくる。この時、「must」の確信は「be」の確実へと昇格。

「お前のせいだろがぁぁぁぁぁっっっっっ!『ハードスマッシュ』!」

俺は怒りに任せて女湯側に向けて「ハードスマッシュ」をぶちかました。何も構えてなかった彼は簡単に吹っ飛ばされて、しかも丁度、女湯の露天風呂へとバッザァァァッッッン!と落ちる。

 次の瞬間、向こうの方からは

「「「キャァァァァァッッッッッ!」」」

という3つの甲高い悲鳴が聞こえてきて、次に

「ギャァァァッッッ、」

という1つの濁った悲鳴も聞こえてきた。明らかに前者はアリシアらで後者がレスターである。この感じ、奴があの3人から何かしら制裁を受けたことはほぼ間違いないだろう。

 

 やがて、外に出るとあちこち赤い手形だらけの震えるレスターさん。

「女湯に上から侵入なんてやるねぇ、レスターさぁん...。私じゃ絶対思い付かないよぉ?」

「そ、それはどうも...。」

案の定、混浴から現れたルナとそんなやり取りをしているのが聞こえたが、俺は正直、

「ざまぁ...(笑)」

と呟くしか考えられなかった。

 だが、何故か彼を心から憎むことも成し得なかった。人としては好きになれないが、同じ男として好きになれないことはないみたいな感じである。実際、俺もリア充爆発しろ精神の黒歴史があるのだから。それは今もイケメンに対する嫌悪として残っている。

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