#11 改めて平家物語の凄さに気付かされた件
≪ステータス≫
新嶋悠人-Lv.15(残り780経験値)
体力/540
生命力/540
魔力/450
筋力/743
知力/481
素早さ/552
器用さ/370
幸運/2
状態異常/ピラニア化
ついに、レベル15にまで上り詰めた。全ては、元人間の知力のおかげ。あの作戦で、無双しまくった。まさか、魚界(なにそれ?)ではこんなにも有効な策略だとは思っていなかった。狩りの成功率はほぼ100%。まぁ、いくら頑張っても進化すればレベルは1に戻るのだが、俺は凄く嬉しかった。よし、あの作戦を悠人作戦と命名しよう!
「って、めっちゃ、ダセェーな!」
また、俺は哀れなボケとツッコミのハイブリットをしてしまった。
そして、老衰でボスがお亡くなりになられた。ボスとはあのデカブツのことだ。俺は酷く悲しんだ。PTSDレベルの悲しみを覚えた。しかし、レベル15のステータスを見た瞬間、そんなもの吹き飛んだ。まるで、何事もなかったかのように、悲しみは全て外へ、喜びだけが内に入ってきた。
なぜなら、幸運指数が2になっていたからだ。たった、1の違いではないか。そんなもの、知れている。そう思うかもしれない。だが、1増えるというのは明らかに著しい変化だ。
おい、お前ら、人間の平熱はどれくらいだ?36℃だろ?そこから、1℃増えたらどうだ?37℃だろ?微熱を疑うよなー?えっ?使い方が間違ってるって?知ったものか!そんなもん!とにかく、嬉しいんだよっ!
俺は、心の中で散々言いまくった後、眠っているピラニアに襲いかかった。物音を出来るだけ立てないようにして。そして、そいつに噛み付いた。
と、その時だった。俺は、水面へと引っ張られた。すると、そこには釣り竿を持つ男の姿。俺が噛み付いたのは確かにピラニアだった。しかし、返事が無い。ただの屍のようだ。きゅ、急に動き出したりしねぇよな?俺は恐怖心を覚えながら、彼の持っていたバケツに入れられた。
「てか、共食い狙ってんのか、これ!?」
俺はバケツの中で1人寂しくツッコミを入れていた。
それから、俺は釣り男の家に連れていかれまな板の上に置かれた。見ると、彼は燃えたぎる釜の上に、鉄板を置いて、油を強いている。バターの良い香りもする。お、お、俺、ムニエルにでもされんの!?俺はピチピチと跳ねる。が、水から出てしばらくだったので、逃げる元気などはなかった。
そして、上手に焼けました~!案の定、俺は見事なムニエルとなって、食卓に並んだ。男の家族たちが我先にと俺を口に入れる。美味しく食べてくれて何よりだぁ。俺は、その様子に和みながら天界へと戻っていった。空には月が上っていた。
天界へ戻るなり、ペルセウスが現れた。
「上手に焼いてくれて良かったねー。美味しく食べてくれて良かったねー。」
彼はそう言う。うん、本当に良かった。しっかし、ピラニア料理ってそんなに美味いのか?白身魚だってことは知ってんだけど。て言うか、ムニエルが夜ご飯ってどゆこと!?
そう驚愕していると、ペルセウスは急に『平家物語』の冒頭を暗証し始めた。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる者も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂には滅びぬ。ひとへに風の前の塵に同じ。」
諸行無常。あらゆる物は同じ状態を保てず、常に移り変わっていく。全くその通りだ!ボスが死んで今度は俺がボスになりかけた!死んだらそこで終わりだ!新たな後継者が現れて、移り変わっていく。
盛者必衰。栄える者もいずれは衰えてしまう。やっぱり、その通りだ!俺の考えた作戦により無双が始まった。俺はピラニアたちの大脚光を浴びた。しかし、最終的に俺は、見事に料理された!
やっぱ、平家物語って凄い!俺はその凄さに改めて気付かされた。
日本の歴史上、何度そんなことがあったか。例えば、幕府!何度、幕府が変わったことか!それこそ、諸行無常!そして、最後には朝廷に政権が返され、武士はやがて消えた!まさに、盛者必衰!そして、何より戦争時代の日本!日本は幾度と無く勝利を納めてきた!日清戦争に日露戦争、第一次世界大戦に日中戦争!その勢いで、真珠湾を攻撃!太平洋戦争開戦!その戦火は世界中に広がり第二次世界大戦に発展!この時、日本は初めて敗戦した!その後、日本の軍事力は駄々下がり。日本の支配地も失った。日本は常に大強国ではいられなかった!まさに、諸行無常!盛者必衰!
俺は、生前、必死になって覚えた日本史を思い出しながら、再び、あの世界に降り立った。
やはり、姿はゴキブリであった。でも、大切なことに気付かされた。決して、有頂天になってはいけない。常に謙虚にしていなければ終わる!それは逆に言えば、謙虚にしていればきっと報われる。
だから、今回は「不幸」などと言う幸せが逃げていくような言葉を発しはしない。大事なことだからもう1度言う。今回は、だ。




