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#1 転生したらゴキブリになっていた件

 この俺、新嶋悠人は非常に不幸な人間だ。あまりにも不幸なので、一時、右手にあの力でも宿っているのかとも疑った。しかし、そんな厨二病っぽい、痛い考えはすぐに捨てた。

 右手にあの力を宿している"彼"もまた、不幸な人間である。だが、俺が思うに彼は不幸ではない。美少女に恵まれ、恋人でもない美少女イン何とかってさんと一つ屋根の下で暮らしている。まあ、彼女が穀潰しなのは確かに不幸なのだが。やはり、俺には彼が不幸には思えなかった。不幸を舐めてんじゃねえっ!

 そして、人生最大の、人生最後とも言える、とんでもない不幸が俺に襲いかかる。それは、道路に落ちていたバナナの皮でズリッ!後頭部ゴチーン!いや、漫画じゃないんだしさ。ていうか、ここにバナナの皮、捨てたの誰!?もし、死んだら絶対、呪ってやる!意識を失う前、そう決意した。


 それから、どれぐらいの時間が経っただろうか。俺は、硬くなった体を、無理矢理、起こして、辺りを見回した。ここは...明らかに病院ではないな。人もいない。やけに体が軽い。それに、窓から雲海を見下ろすことも出来る。ここは、天界(そうでもないと説明がつかない)?ってことは、俺、死んだのか...?ヘッ。我ながら中々の不幸ですな。あまりにも不幸だったので、俺の頭はおかしくなってしまいそうだった。

 しかし、ここは何なんだ?真ん中にはリモコンが置かれた丸机、その前には台に置かれた薄型テレビ。後ろにはノートパソコンが置かれた四角い机。床にしかれたカーペット。何か凄く近代的だな。天界でもこれが普通なのか?

 と、ドダダダダダ...!誰かの足音が聞こえた。

「何だ、何だ?」

俺は恐る恐るドアに近づいた。

 バターン!その瞬間、ドアが勢いよく開かれ、俺はドアと壁に挟まれた。

「っおぉぉうぇぇい...。」

俺は、鼻のあたりを押さえる。俺って、天界でも不幸なのかよ。

 と、俺をこんな目に合わせた張本人がこっちへ向かってきた。

「すまいないねー。『魔法少女百合子ちゃん』が見たくて、急いでたんだよー!」

その人は、神々しい光を出しながら、そう言った。

「あのあなたは?」

俺は誰何する。

「神様だよー!」

その人は即答した。

「へ?」

俺は、思わず口をポカンと開けてしまった。

 「『魔法少女百合子ちゃん』ってあの変な格好をしたのが出てくる?」

俺は確認をとる。

「百合子ちゃんを変な格好とは聞き捨てならないねー。」

神様は怒る。

「じゃあ、あなたはオタクだと?」

俺は確認をとる。

「オタクの定義ってなんだーい?マニアとどこが違うんだーい?」

神様は聞き返す。

「そんなの考えたことなかったですわ。俺たち、感覚で使っていたので。」

俺は答える。

「そーかーい。」

神様は返事をする。

 「というわけで、君の人生は終わったんだよー!」

話が急に変わって、一瞬、連いていけなかったが、俺は、何とか、

「やっぱりですか。」

とだけ言うことが出来た。

 「しかし、僕は君を転生させることが出来るんだよー!どうするー?」

神様は聞いてくる。

「えっーと...もう疲れたので、人生ストライキしたいです。」

俺は答える。

「どうするかは自由だけど、そうしたら僕と一緒に暮らすことになるよー。ゼウス様から君の管理を任せられたからねー!」

神様はそう言う。つまり、このキモオタ(失礼)と同居ってことか?それは、絶対に嫌だ。俺は仕方無く転生して新たな人生を始めることにした。

 「マジカル・フレーム!」

神様は、机の引き出しから出した杖を俺の向けて、そう言った。その瞬間、俺は光に包まれ、そのまま、何処かへ落ちていった。駄目だ、あの神様。もう手遅れだ!


 「で...何で、俺、ゴキになってんの!?」

転生が終わって、自分の黒光りする甲殻と、6本の足、そして、平べったい体を見るなり、俺はそう驚き、さらに、

「不幸だ...。」

と悲観した。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「ここは、天界?」っていや、何その超常的発想。地面が雲でビックリしたりあり得ないと思うならまだしも、いきなり天界だと判断するとかどんな理解力・・・
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