好きなんだ、誰より君のことが。
目の前に眉目秀麗な男がいる。
サラサラヘアーで憂い目も様になるであろう、言うなればイケメンが。その男を前にして、私は目をハートに変える訳でもなければ、媚びることもなくただ立ち尽くす。
「おはよう、柊さん」
ニコリと今日も今日とて変わらない、崩れない笑顔で言ってくる王子様。
「おはよう、東雲くん」
学校の王子様なので、一応挨拶を返しておく私。できる限り親しくないですよオーラを出すことも忘れない。
「柊さん、実は……」
なぜか急に顔を赤くして、どもる王子様。言いたい事があればいえばいいのに……
「好きなんだ、誰より君のことが。」
「……はい?」
「いつも笑顔で挨拶を返してくれるのが嬉しくて」
すみません、笑顔で挨拶した覚えないです……などと私が言えるわけもなく。
「好きだよ」
ぎゅっと抱き締められる王子様の胸の中で、私はこのフラグをどう回収しようか悶々と悩むのでした。