表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

鏡餅、地球、ゴミ箱

作者: あまはる。

「地球滅亡しないかな」

「安定の突然中二病発言ですね凪くん」

むしろ悪の組織なセリフだと思う。

1月7日、お正月も終わり、冬休みに遊び倒したあたしと凪に残った物。

「だって地球滅びたら宿題の提出なくなるじゃん?」

そう、年末にたっぷりと出された冬休みの宿題。

「ついでに確認テストもなくなるし、一石二鳥★」

と、凪はドヤ顔である。

「はい、わかったわかった」

それを流して淡々とワークを仕上げていく。

「…陽菜も答え写してるだけのくせに」

「え、凪、頭に鏡餅落としてほしいの?縁起がいいね★」

「ごめんなさいちゃんとやります」

そういって凪も大人しく作業を再開した。


******


「…あれ、おかしいなー…」

10分ほど経っただろうか、1つ目のワークを終わらせた凪が、鞄をゴソゴソと漁っている。

「なにしてんの?」

丁度あたしも区切りがついたので、振りかえって凪にたずねる。

「答えのプリントがないんだよねー…」

残り時間が24時間を切っているあたし達にとって、答えはいわば生命線。そのプリントがないことは(いろんな意味で)死を意味する。

「間違えてゴミ箱に捨てたとかベタなことしてない?」

半分あきれながらゴミ箱を指差す。

すると凪はそのゴミ箱を覗きこむ。

「うーん、地球しかないや」

「ちょっと待て何て言った」

きっとまた凪の中二病発言、だと思う。

「ほら、地球」

ほい、と凪がゴミ箱のなかを見せる。

「…え」

中には…小宇宙が広がって…そのなかに地球が…

「凪くん、そのゴミ箱どうしたのかな?」

「え?このまえアウトレットショップで買ったんだけど?」

「今すぐ返品しよう、今すぐ」


******


「で、ほんとにないの?」

謎のゴミ箱騒動のあと、部屋の隅々まで探したが、結局見つからなかった。

「どうしよう、終わんない」

といいつつも、凪の顔には焦りは感じられない。

「凪、諦めただろ」

「うん★」

清々しいほどの笑顔で答える凪。

そこへ、


─ガチャッ


「凪兄、これ玄関に落ちてた」

神が降臨した。

「夕ちゃん久しぶりー」

「あ、陽菜ちゃん!こんにちはー」

凪の妹、夕ちゃんである。

「で、何が落ちてたって?」

アンチリアル妹の凪がぶっきらぼうに答える。

「化学の答え、要らないならいいけど」

「ごめんなさいありがとうございます」

超低姿勢で受け取る凪。

こうして解答紛失騒動は夕ちゃんの一瞬の活躍で終わった。


─そして次の日、凪と陽菜が無事に宿題を出せたかは…それぞれのご想像にお任せする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ