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ねじまげメガロマニア  作者: 草津 辰
第2章 年末における諸騒動
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第17話 新たなる仲間と、狼の遠吠え




「青葉さん、つらいならそっちも持つけど大丈夫?」

 私の横でえっちらおっちらと、もちそばかし(敬称略)などが詰め込まれたビニール袋を両手に持っている青葉さんに声をかける。私と青葉さんは商店街での買い物を終えて、一端荷物を自宅に持って帰るために双葉荘付近をとぼとぼ歩いている。

「いい。ルリカに、いい所。見せたい」

 本来、私がこなさなくてはいけない役目を懸命にこなす少女であったが、私は大人なのだ。ちょん、と青葉さんの白さが増している掌をつつき、さらっとビニール袋を奪う。

「むー」

「良い所はもうたっぷり見せてもらったよ。商店街の人たちとかなり仲良いんだね」

「うん。おそうじしてたら。声かけてくれた。おまけくれる」

「そっか、なんかいいな、そういうの」

 ご近所づきあいほぼ皆無だった私にとって実に身につまされる話だ。交流があるご近所さんなんて、今頃私の二百日分の煙草をすぱすぱ吸いまくっているであろう、お隣さんくらいだし。

 雑談しながら歩くと思いのほか早く自宅に着いた。冷蔵庫を確認すると、どうやら和花たちの買い物は済んでいるようだ。メリーが和花とゲーセンで遊びたいってウズウズしてたからな。きっとドールズ水入らずで遊んでいるだろう。

 ふたりでココアを飲んで一服してから、待ち合わせ場所のフードコートに向かうため、もう一度寒空の下に出た。

「あうあー、さっむー、あっち着いたらたこ焼き食べたいな」

「たこ焼き好き」

 マフラーで隠れた口元から白い息をぽわぽわと吐きながら、青葉さんが上機嫌に言う。

「そういやカラオケでも食べてたね」

「ちっちゃくて。丸くてかわいい。それに美味しい」

「無敵だよなぁ」

「無敵」

 たこ焼き談義に花を咲かせつつ、和花やメリーと夜の散歩によくいく公園を通りかかる。この前、変な甲冑に蹴りをかましたという印象が強い。メリーの抱える問題を考えると、胸がざわざわする。なにか私にできることがあれば、それを全部やりたい。

 この手に、できることがあれば。余さずすべて。

「るり。さつきから電話きた」

 くい、と私のジャケットの袖を引っ張る青葉さんだったが、ケータイを耳元に当てること数秒で顔色がみるみる変わっていく。表情の変化があまり目立たない青葉さんの顔色が、だ。

「どうした」

 気づけば、私の袖をつかむ青葉さんの腕が震えていた。

「さつきと、こうじが、捕まった」

 その短いセンテンスだけで、私の感情は憤怒の方向へ急激に傾いていく。

「誰からだ」

「このまえの、銀行強盗。その仲間。二人を生かしたかったら、今すぐ来いって」

 青葉さんの語気にも明らかな熱が加わっている。ヒーローとしての魂と、友人を思う気持ちが声を介して発露しているのだろう。

「私。行くから」

 青葉さんの震えが、怒りによるものだと悟ったとき。

 良い知らせと悪い知らせは交互に来るものではなく、悪い知らせが続く現実があるということを知ることになった。なぜなら。

「測位したぞ、超常に関わる愚かな人間よ」

 いくつもの金属がこすれる音と、重圧のある声が私たちの元に届いたからだ。

「なに、あれ」

 青葉さんがなぜか人のいない公園の中、たたずむ六体の甲冑たちをみて声を漏らす。

「ふん、もうひとりいたか」

 甲冑の中の一体、私が会話能力を与えた個体が構えたのを察知し、私はとっさに叫ぶ。

「行けッ!」

「変身ッ!」

 風を切る音がして、数秒前まで青葉さんが手にしていた携帯電話が、投擲された長槍によって砕け散るのを見た。青葉さんをとり逃した長槍が地面に深々と刺さっている。

「逃げたか。ならばいい。ひとり残った貴方を屠り、主への贄とする」

「逃げてねえ。お前らなんぞにかまってる無駄な時間がないだけだ」

 ひときわ冷たい一陣の風が、私の横を通り過ぎて行った。すまない。すぐ追いつく。

「相変わらず生意気な肉塊だな。この数、この兵装。どこからくる、その余裕は」

 五体の甲冑は、そのどれもが長槍、剣、鎚などの武装をしている。

「時間がなきゃ、余裕なんてあるわけないだろ」

 私は腰を落とし、覚悟を決めた。

「あるのは、負けられない理由だけだ」

 空気が悪い。あの、他の甲冑とは格の違いがうかがえる槍使いが、なにか超常的な能力で人払いをしているに違いない。よくある結界ってやつか。私に合わせて超能力者用に張ったからか、青葉さんまで侵入できてしまった、というのが推測としては妥当だろう。子供たちの声も、母親たちの噂話も、鳥のさえずりすらも聞こえず、疲れて顔が死んでるサラリーマンもいないこの公園の夜の顔は、青空の下ではありえない。

「貴方の理由という朧な剣が、主に忠誠を誓い、鋼の兵装を纏う我らに届くとでも」

 五体はそれぞれの武具を私に見せつけるかのように構える。

「……届かなくてもいいさ。けどいつか、お前らを好き勝手道具みたいに操る主ってやつと、話しができりゃいいと思ってるよ。モノは大事にしろってな」

「……なにを世迷言を……誇り高き五つの魂たちよ。主の信頼に武名で応えるがいい!」

 槍使いは口上をあげると霧のようになり消えてしまった。いまだ残留する五体の甲冑は、その気迫を見るからに増している。私の首を取り、勝鬨をあげようと金属の身を軋ませている。そして彼らの足が一斉に動いた。

 どうする――普通の方法じゃ勝てない。いまの私には破壊能力をもつ和花も、転移能力をもつメリーも、高速移動の青葉さんも、特撮ヒーローの姫宮もついてない。それどころかその半数は今、私よりも命の危機にあるかもしれない、無事かどうかも分からない。

 もう騎士たちはグイグイ接近してきている。電話で救援を要請することもできない。

「これでやるか」

 槍使いが残した槍を地面から引き抜く。モップでコンピューターウイルスと闘った記憶をたよりに、この槍で拮抗するしかない。

 私は頭の歯車を回す。もしかしたらという願いを込めて、力を行使する。私の中にある、イキモノ化の力を。アリスのトラウマを乗り越え、長年の経験により損傷を治し続けられる今、この子が仲間になってくれることをただ願い、愛すべきモノと私がいがみ合う現在を、

「捻じ曲げる!」

 歯車が噛み合い、能力行使の手ごたえを脳が実感した。

「……温かい。ヒトのぬくもり。久しく忘れていた、なぜ」

 あの甲冑、槍使いのパートナーにふさわしい怜悧な青年、といった声色をしている。

「すまない、話しは後だ! あいつらの武器を叩き落とすことに協力してくれ! できればバラさず迅速に切り抜けたい!」

 私の声に呼応するように槍が接敵し、目前まで来ていた甲冑の剣を叩き落とした。その歴戦の挙動についていった私の腕は翌日確実に、ひどい筋肉痛になるだろう。武器を使っているというより、私の肉体を媒介にして槍が戦闘力を放出している感じだ。

「ぼくは騎士の下に仕える。いまのあのひとは、妖しき荊に捕らわれた盲目の囚人」

 もう一体、片手用の戦斧を振りかざしていた甲冑の手元も同様に対処する槍さん。その高貴すぎて恥ずかしくなる台詞はメリーの前で言ったら爆笑されるだろうな。

「荊のツタを断ち切る騎士よ、ぼくと戦陣を走って欲しい」

「なんだかわからないが、おかげで助かった! やつらの体制が崩れた今のうちに距離をとるぞ!」

「なにっ、ちょ、ちょっと、あのひとはどこなんだぁぁあー!」

 私はナルシストスピア、命名ナルシスくんを小脇に抱えて公園から一目散に離脱した。


   *


 どれだけ走り続けただろう。

 世界というのは、基本的に意地悪な構造をしている。私はそれをよく、とてもよく知っている。予期できたはずの不幸を避けられなかったことを、疼痛の中で思う。私の横には青いポリバケツが転がっていて、まぶたを覆うようにニンジンの皮が被さっていることを悟る。

 ここ最近の諸騒動を思い返してみよう。超能力者、テクノロジー、そしてオカルト。これだけの要素にたった一か月の中でどれだけ触れただろう。ありえない濃度で、異常に関わってしまっていた。異常は異常を呼び、日常を浸食する。

そう、まるでなにかに引き寄せられるかのように、異常と関係を創造してしまっている。

これは、同居人と後輩たちにカッコつけた代償とでもいうのだろうか。

狭い路地裏で、鈍色の甲冑たちに迫られている現状は。

「多勢に無勢って、割とマジだよな……」

「すまぬ、騎士殿。こう狭くてはぼくも流星のように天を駆けることはできない」

「いや、キミの重さと長さを考慮しなかった俺のせいだ」

 私は頭の上の生ごみを剥ぎとって甲冑に向かって投げつける。が、彼は手にした鎚で虫を払うようにそれを地面にたたきつけた。もはや私には重量と長さのあるナルシスくんをふるう力が腕に残っていなかった。五体中、三体を素手にしただけでも幸運と見なくては。

 対話を試みるためにイキモノ化の力を使おうと先ほどから試行錯誤しているが、相手はどうやら接近戦のスペシャリスト。CQCも合気道も空手も使えない私が徒手空拳を駆使するにはレベルが高すぎる相手だ。

「もたもたしてる暇はないってのに」

 そう、もたもたしてる暇はない。私たちは明日、年越しパーティをするのだ。みんなで除夜の鐘実況中継をするのだ。

 ガシャ、ガシャ、と足音が近づいてくる。総勢五体の戦士たち。

「こういうとき主人公なら新たなパワーに目覚めたりするんだろうけどなぁ」

 私が主人公だったのはルリカだったときだけである。ルリカ、ルリカを求めた少女。

 彼女は今、仲間の救援に向かっている。光りの速さで。

「俺は、あれか、ここは俺が抑えるからお前ら先にー! って役どころで手一杯、か」

「志半ばでぼくをおいて死んでしまっては困るぞ騎士殿!」

「俺だって死にたくないさ……」

 電池切れのケータイを取り出して自虐をつぶやく。どうやら自慢のオカルトガールズに救援を頼む手も打てないらしい。逃走過程で電話をかける電力が私にあればよかった。甲冑の癖に速攻で青葉さんのケータイを砕いてたから、実にぬかりがない奴らだ。古風な甲冑を使役している主ってやつは現代のテクノロジーも理解しているらしい。だとしたら、やはり、私のような現代に生きる超能力者なのだろうか。主という奴は。

 ガシャ、ガシャ。思考する合間にも確実に着実に、甲冑たちが接近してくる。

 死。私と常に共にあったもの。逃げる=路地裏で追い詰められるの方程式からそろそろ逃れたい。逃れた先もまた、路地裏かもしれない。

 振りかぶられる大きな鎚を見上げる。抵抗はしないのか、と語りかけるような甲冑の動作に苦笑する。その必要はない。

抵抗はもう。

私には、できない。

「ルゥゥゥゥウウウウリイィィィイ!」

 頭上からの遠吠え。

 甲冑と私の間に何者かが割り込んできたかと思うと、振り上げられていた鎚がより天高く舞い上がった。私の視界を埋めていた鈍色の金属が歪む音が聞こえ、甲冑が地面に転がり、代わりに私の視界を埋めたのはギャンブルが好きそうな趣味の悪いスーツ。逆立った銀髪。

「……一風変わったお客様ァ、ウチでのコスプレは長物禁止なんですよォ」

 蹴り上げた鎚が落ちてくるタイミングを見計らっていたのか、数秒前まで甲冑の手に有った鎚をキャッチし、

「いーかァ、よォく聴きやがれッ! オレの大事なルリにこんな糞ったれなモンで大怪我させようとしやがりましたテメェらはァ! このオレ、リベラメンテ、アンダンテ責任者の越坂部(おさかべ)桐彦(きりひこ)様がァ――」

 ぶん、と鎚を甲冑たちに向け、

「この世から出入り禁止にしてやらあッ!」

 啖呵を切って駆けだしたのだった。

 私は呆然とその光景をみた。おそらく、越坂部さんは路地裏が見えるリベラメンテの窓から飛び降りてきたのだろう。

鎚を軽々ふるって二体の甲冑をなぎ倒した越坂部さんの顔は過去見た中でトップクラスに怖い顔をしていた。牙と殺気むき出しの狼が猛り狂っている、そんな雰囲気で。

「ルリィ! オメェにゃ酷だッ、眼ェつぶってろォ!」

 ふいに投げかけられた叫びに、私はとっさに目を閉じた。

「ハッハァ! いい子だァ!」

 いくつもの鉄が破壊されていくビジョンが浮かぶ、そんな禍々しいともとれる音が路地裏に響き渡った。イキモノ化の力を使えなかったのは不幸中の幸い、だったかもしれない。彼らの断末魔を聞くことになっただろう。

「もォいいぜ、スクラップ処理完了だ」

 私が目を開けると、甲冑たちは無残にもひとつ残らず、鋭い刃物に断裁されたような破片と化していて、動く気配は微塵も感じられなくなっていた。嫌な空気も晴れていく。主の力が抜けて、空っぽになったということでいいのだろうか。

「あ、ありがとう、越坂部さん。怪我とか」

「シテネーヨ! 見りゃ分かんだろが」

 そういう越坂部さんのスーツの袖はボロボロになっていて、スーツからタンクトップにジョブチェンジしていた。でも、確かに出血は見受けられない。私が目をつむっている合間に、いつもの能力を使ったんだろう。

 カキン、と高そうなライターを鳴らして越坂部さんが煙草をくゆらす。

「ふん。オレの服が気になるミテェだがよォ、それよか気にするこたァねぇのか。そーゆー空気を感じんぜ」

「っ、姫宮たちが!」

「待て」

「待ってる暇なんてない!」

「んだよ、ケーサツ沙汰とかか? このガラクタどもをパンダで連行できるか怪しいが通報してみりゃいいんじゃねえの」

「ケータイ電池切れてんだよ!」

 走り出した私の腕を越坂部さんが握りしめてきた。私は越坂部さんを睨む。

「……焦りは死への直行便だぜ。急ぐのと焦るのは違うもんだ。オレの方でも面倒があってな、まぁ、すぐに半殺しにしたが、またすぐ店内に戻んなきゃなんネェ。お前を助けてくれる誰かが居るんなら、これ使え」

 越坂部さんは、私のとはだいぶ世代が違う最新型のケータイをそっと手渡してきた。

「もうオメェは一人でいることを選ばなくていいんだろォが。忘れんな、誰かがいるってことをよ。今、オレのとこまで走ってきてくれたように、な」

 掴まれていた腕が解放される。それと同時に越坂部さんのケータイが震えた。私は勘を頼りにその電話に出る。

『もしわたメリー、瑠璃、遅刻事情説明』

 これ越坂部さんの電話なのになんで、という質問をこらえて早口のメリーに説明する。

「青葉さんと買い物中に例の甲冑に襲われて、同じタイミングで姫宮と山吹くんが事件に巻き込まれた」

「……その事件を解決するわよ」

「事件って、姫宮さんたちどうしたんですか!」

 俺が大雑把な説明をすると、和花とメリーが目の前に現れた。

「あァ、やっぱ嬢ちゃんたちもコッチ側の人間か、そうでなきゃなァ」

 越坂部さんが不敵に笑っている。

「青葉さんが前にぶっ飛ばした銀行強盗の仲間が、姫宮と山吹くんを拉致した」

 路地裏の空気が凝固し、越坂部さんの笑みも消える。

「その犯人たちから電話が青葉さんに来てな、間の悪いことにオカルト甲冑どもまで現れて、青葉さんと別行動することになっちまった」

――葵は、自分を度外視して、誰かを助けることのできる子なんです。

――だから、傷つくことも、多いんです。

 昨日の姫宮の言葉が蘇る。大人数の敵が待ち受ける場所へ向かうというのに、恐れなんて一欠けらも映し出さない、青葉さんの瞳と一緒に。

「強盗……オレの店にも来たぜ」

 越坂部さんの言葉に私たち三人が反応する。

「のしちまったけど、尋問くらいはできるはずだ。昨日姫宮たちが来て、今日オレの店が襲われて、どっかでヒーロー部の連中がさらわれたってんなら、そいつらの仲間って可能性がタケェだろ」

「越坂部さん、ヒーロー部、知ってるんですか」

「おうよ、頼んでもねーのに、店の前のゴミを拾ってくれたりよ、来れなくなったバイトの代わりに助っ人してもらったりな、あいつらには借りがある。ちぃとばかし待ってろ」

 越坂部さんは跳躍し、すぐそばにあった電柱を蹴って二階の窓から店内に戻っていく。そしていかつい怒号と罵声となにか壁的なものが砕け散る音が聞こえたのち、越坂部さんが三階の窓から舞い降りた。

「紳士の友達ってみんなこんなスペックなのかしら……」

「にんじゃ、ですね、きっと。すでに巫女様がいますし納得できます」

「ハッハ! 忍者ね、それいいなァ、貰った。その忍者から伝令だぜ、受け取れ」

 渡されたメモには姫宮たちが捕らえられている場所が書いてあった。街はずれの工事現場とは、いかにもな誘拐場所である。

「嘘だったら惨殺して料理するって言ってまで脅したから嘘ってこたァねーと思う。だーが、こういうのは万全を期すべきだ。騙されて駄目でした、なんて通用しねえ。この世界にはセーブもロードもねェーんだからな。メリィ」

「ええ、あなたの趣旨は先読み済みよ。数秒お待ちなさい」

 メリーが私たちの視界から消え、約束通り数秒後に現れた。

「アタリ。ナイスよ越坂部さん。紳士(ジェントル)ポイントを進呈するわ」

「姫宮たち居たのか!」

 私は気が急くのを止められないでいた。

「フェンスの奥からいくつもの発砲音と、姫宮さんの咆哮が聞こえたわ、急ぐわよ!」

「ああ!」

 私と和花は越坂部さんに一礼してからメリーの手を握る。

「越坂部さん、そこの槍、回収しておいてもらえますか」

「ン、高そうなもんだなコリャ。あァー、明日までに取りに来なきゃ売っ払うぜ」

 海尋の世界で戦ったことを思い出す。しかし、これはリアルだ。

 より一層、気を引き締める必要がある。

「テメェらよォ……生きて帰ってこなきゃブッコロスかんな」

 金色の瞳に見つめられたまま私たちは揃ってうなずきを返し、転移の感覚に身を任せた。


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