陽だまりの推理
陽の光が遮光カーテンの隙間からふわりと差し込み、部屋をほんのり暖かく包み込む。
因幡はすっきりした表情で目を覚ました。朝の空気は清々しく、昨夜の騒動も夢のようだ。胸には黒川のぬくもりがじんわりと残り、満足感が全身に広がっていた。
隣で身を起こした黒川は、腰にじんわりと痛みを感じて顔をしかめる。
「あー、やっぱりやばいな……また腰痛って、俺おっさんかよ……」
昨夜の激しい“主導権バトル”の名残で、身体のあちこちが軽く悲鳴を上げていた。すると黒川の頭に、昨日の夜にぽろっとカミングアウトした「あの話」がよぎる。
「俺、因幡先生がどうされると弱いのか、けっこう推理したんだよな……」
布団の中で顔が真っ赤になりながらも、ついその話を思い出し慌てて身をよじる。
「ちょっと、俺何言ってんだよ……大胆すぎだろ、俺……」
それを見て因幡がくすっと笑い、黒川の腰にそっと手を伸ばす。
「推理って……お前なあ、どんだけ俺のこと研究してんだよ。小説書いてんじゃねぇんだから」
黒川が慌てて顔を背けると、因幡はからかうように続けた。
「“因幡先生はここが弱い”とか“こうされるとたまんねえ”とか、ふせん付きでノートにまとめてたりしてな」
黒川は「や、やめてくださいよ……そんなことするわけねぇだろ……」と、照れ隠しにそっぽを向きつつも内心悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
因幡はその様子を見てさらにいじる。
「じゃあよ、次はお前の推理がどこまで通用すんのか、じっくり試してやるよ」
黒川は一瞬びくっとして顔を上げたが、すぐに少し安心したように微笑み返した。
「もう、攻めはやめておこうって思ってたのに、結局また巻き込まれるんだな、俺……」
「仕方ねえだろ。お前の推理が的中したか、確かめてやらないとな」
軽口を交わしながら、二人の間にはほのかな緊張感と温かい信頼感が漂う。やっぱり、昨夜のことはまだ終わらないのだと感じさせる、そんな朝のひとときだった。




