白い朝、君の隣で
薄明かりの差し込む室内。
カーテン越しの光が、白く柔らかく布団の上のふたりを照らしていた。
柚瑠の腕の中にすっぽり収まった律は、うっすらと目を開けて──すぐに閉じた。
まぶしさではなく、恥ずかしさで。
(……や、やってしまった……)
昨夜のことを思い出すたびに、耳が熱くなる。
何度も「好き」と囁きあって、何度も唇を重ねて、触れ合って……。
──そして、あの瞬間。
「……律、敬語……取ってよ。今だけでいいから……お前の素で、名前呼んで」
柚瑠にそう囁かれ、逆らえずに──いや、嬉しさもあって──言ってしまった。
『……柚瑠……好き……だよ……俺……っ』
「うわあああぁぁあ……!」
律は思わず布団に顔を埋めた。
まるでその記憶ごと布団の中にしまい込みたくなるほど、羞恥心でいっぱいだった。
「んー……律、起きた?」
その声に、さらに顔を布団に押し付ける。
「……起きてません……寝てます……!」
「はは、バレバレ」
柚瑠がくすりと笑いながら、後ろから律の腰に腕を回して引き寄せる。
背中にぴったりとくっつく体温。
律の心臓が、また忙しく跳ねだした。
「朝から抱きつかないでください……っ」
「……律が可愛すぎて、我慢できない」
「我慢してください……っ」
「できない」
あっさり返されて、律は「むぐ……っ」と枕を抱えた。
そんな彼に、柚瑠は頬を寄せて、わざと甘い声で囁く。
「昨日の、“柚瑠、好きだよ……俺……”ってやつ。もう、ずっとリピートしてる」
「やめてくださいぃぃ……っ!! 忘れてください!!」
「無理。むしろもっと言って。律の素の言葉、反則レベルでエロかった」
「え、エロくないですっ!!」
「いや、興奮した。めっちゃ、した。ていうか……くせになりそう」
律の顔がぶわっと赤くなり、振り返って柚瑠を睨むように見た。
「も、もうしません! ぜったい言いませんから!」
「えー? ダメ?」
「ダメです!」
ぷいと顔を背ける律に、柚瑠はにこにこと笑いながら、そっとキスを落とす。
うなじに、肩に、頬に。
どこにキスしても、律はびくんと震えて、小さく声を漏らす。
「……ね、律。次から“柚瑠”って呼ぶ練習、しようか?」
「絶対しません……! 朝からそういうの禁止……っ」
「朝からじゃなくて、夜ならいいってこと?」
「ちがっ……! 柚瑠さんのバカぁ……っ」
律はぷしゅーっと音がしそうなほど赤くなって、再び布団に潜り込んだ。
その背中を抱きしめながら、柚瑠はくすぐったそうに笑う。
こんなふうに恥ずかしがってるくせに、昨夜は震えながらも全部応えてくれた律の可愛さを思い出しながら、そっと耳元で囁いた。
「……じゃあ、また夜に聞かせて?」
「……っ……!」
律は何も言い返さず、ただ布団の中で赤くなったまま、ぐぅっと小さく拳を握っていた。
それを見て、柚瑠は満足げに微笑んだ。
律の全部が、愛おしくてたまらない。
昨夜だけじゃなく、今日も、明日も、その先も──ずっと一緒にいたいと思った。
静かな朝の中で、ふたりの未来が、甘くやさしく、静かに動き出していた。




