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9 ディアボロスの巣

鏡の戦場ロビーでPOTさんと合流した。


「どうぞ」


1位の報酬であるダイヤの欠片1000個をPOTさんに手渡した。


「ありがとー」


「じゃ2次転職してきます」


「いてらー」




転職所では相変わらずアーリャが気だるそうにしていた。


「1位取ってきたけど?」


「はいはいおめでと」


ペンと紙を差し出してきた。


またなりたい職業を書くらしい。


今更ながらなんでこんなアナログなんだろう。


もっと華やかなエフェクトとか、ファンファーレとかで祝福してくれてもいいではないか。


そう思いながらマギアナイトの上位職ピサロ(魔剣士)と記入した。


2次職になれば港町ポルトまで問題なく行けるだろう。


PKエリア「ディアボロスの巣」を通れば近道だ。


PKエリアとは、プレイヤーキル可能な地域であり、血に飢えたプレイヤーたちのたまり場となっている。


バトルロイヤルの鏡の戦場が実装されてからはすっかり過疎っているが、念のため2次職になって対人スキルをたくさん取ってから進みたかったのだ。


このゲームは戦闘不能になるとリスポン地点に戻されるのだが、果たして俺がどうなるのか分からない。


死ぬのも怖いので、死なずに現世に戻りたい。




ディアボロスの巣は思っていた以上に過疎っていた。


ここにいるモンスターは、プレイヤーの初期スキンの見た目をしているので紛らわしいのだが、初期スキンのプレイヤーはそうそういないので判別はつく。


出口に差し掛かるところで、プレイヤーの弓使いがいた。


カウンター魔法をかける。


相手が拘束魔法をかけてきた。


動けないがカウンター魔法をかけているので迂闊に攻撃はしてこないだろう。


カウンター魔法がかかっているプレイヤーに攻撃すると、ダメージが倍になって自分に返ってくるのだ。


しかし、弓使いは様々なスキルを放ってきた。


(まずい、同士討ち狙いか?)


が、ダメージが弱く、お互い致命傷には至らない。


「…何がしたいんですか?」


「実験」


「実験?」


「そう」


「なんの実験ですか」


「対人スキル、使ったことなかったから」


「サービス終了前に、ね」


恐らくこの弓使いは狩り向けのスキルビルドなのだろう。


サービス終了前にいろんなスキルを使ってみたかったのか。


「鏡の戦場ではだめなの?」


「あそこだと、ちょっと違うの、仕様」


「そうなんだ」


沈黙が流れる。


「もう満足した?」


「うん」


「じゃあ」


そそくさと後にした。


なんか不思議な人だったな。


きっとあの人なりに最後までゲームを楽しもうとしていたのかもしれない。

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