7 鏡の戦場①
鏡の戦場に着いた。
確かにイベントが開催されており、いつもより賑わっている。
順位によってイベントアイテムであるダイヤの欠片が貰え、様々な景品と交換できるシステムのようだ。
俺が転生してから始まったのか。
せっかくならメインキャラで参加したかった。
早速プレイしてみる。
ファンタジーテイルの全マップが戦場となり、50人で順位を争うシステムだ。
仮想空間という設定なので、街が壊されても実際の街には影響がない。
まずは飛行船からスタートし、好きな場所に降り立つ。
よくフレンドとチャットをしている港町「ポルト」に向かう。
ここは土地勘があるので装備品やアイテムをすぐ整えられる。
マップは時間と共に安全地帯が狭くなっていく。
安全地帯から出てしまうと徐々にダメージを食らってゲームオーバーだ。
ポルトがずっと安全地帯ならいいのだが…。
今回の作戦は潜伏と漁夫の利でいこう。
その名の通り装備を整えたらひたすら隠れ、戦っているプレイヤーを発見したら様子を見て、決着が着いたら透かさず討つというやり方だ。
なかなかに姑息なプレイだが、早く転職したいので仕方がない。
ポルトの民家、港を漁って装備品を手に入れる。
戦闘から離脱しやすいアイテムや、回復アイテムを中心に揃えていく。
街は最初に降り立つプレイヤーが多いので、さっさと退散するのが良い。
ポルトを出ようとしたその時、見覚えのあるシルエットが目の前に現れた。
鍛冶屋ガノンである。
「ガノン!? なんでここに」
「今は鏡の戦場に凝っててのう。お主を見かけて手合わせしたいと思ったんじゃ」
この爺さんなかなか血気盛んである。
「悪いけど転職がかかってるから、姑息な戦法で行かせてもらいます」
ガノンは接近戦を得意としている。
なので俺はヒットアンドアウェイ、魔法を撃ったら距離を取る戦法でいく。
ガノンも初めは機敏に避けつつ間合いを詰めてきたものの、迅速魔法を使っている俺には追い付けない。
しかし、これだとMPの消費が激しいので接近戦に切り替える。
さすがに良心も傷んできたし。
「情けは無用じゃ! ワシは手加減せんぞ!!」
ガノンが大振りなギガインパクトを放つ。
その瞬間を見逃さなかった。
パリィ!!
勝負あった。
ガノンが徐々に消えていく。
「さすがワシの命の恩人じゃ」
「ガノンもなかなかでした」
ガノンの残した青ポーションを手に取り、その場を後にした。