6 転職試験
鍛冶屋をあとにし、王都「リベルタス」へと向かう。
イグニス山にワープすればそれほど時間はかからない。
ドラゴンスピアを適当に振り回していれば、道中の敵も余裕で倒せる。
首都に着いたらまずは転職しよう。
サブクエストクリアでレベルがかなり上がったため、1次転職が可能となる。
転職試験は、ダンジョンの最深部にある宝を手に入れれば良かった気がするが、何せ何年も前にやったので記憶が確かではない。
何とか早く終わらしたいものだが…。
「転職? じゃこの紙になりたい職業書いて。お金払ったら終わり」
転職所事務員のアーリャは気だるそうにペンと紙を差し出した。
「え? それだけ?」
「そうよ。過疎り始めてから、運営がレベル上げやすくしたり、転職しやすくしたりしてプレイヤーを増やそうとしたってわけ」
俺の時代とはだいぶ変わったんだな。
それでもサービス終了になってしまったわけだが。
とりあえずメイン職の魔法使いに寄せるためマギアナイト(魔法剣士)と記入した。
「2次転職もしてく?」
「2次転職もできるの!?」
おいおい運営さん、躍起になっていないか。
「さすがに2次転職はお金だけじゃだめだけどね」
「何をすればいいんだ?」
「鏡の戦場で1位を取ることよ」
鏡の戦場とは、バトルロイヤルゲームである。
世間でバトルロイヤルゲームが流行ったときに、ファンタジーテイルにも実装されたのだ。
もう遊びすぎてやることがないプレイヤーにとってのエンドコンテンツとなっており、根強い人気を誇っている。
俺もチャット以外は鏡の戦場をプレイしている。
「鏡の戦場、今イベント開催してるから賑わってるみたいよ」
「1位取れるといいね」
憎たらしい笑みを浮かべているこの小娘に、目にもの見せてやろうではないか。