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3 メメント森

外に出ると、そこには俺が知っているオリゴの景色が広がっていた。


「ファンタジーテイルに転生しちゃったんだ…」


よりによってこんな時期に転生してしまうとは。


サ終したら俺は一体どうなってしまうんだ。


このままサーバーごと消えてしまったらシャレにならないぞ。


そうだ、粉雪。


粉雪に聞いてみよう。


あいつなら力になってくれるはずだ。


粉雪とよくチャットしている港町「ポルト」に行こう。


この世界に粉雪がいるかどうかは分からないが、他に行く当てもない。


しかし、初心者がポルトまで行くのは容易ではない。


各所に置かれているワープポイントは一度起動させないと使えないし、道中のモンスターはオリゴとは比べ物にならないほど手ごわいのである。




とりあえず装備を整えるために訓練場へ向かった。


どうやら俺の職業は剣士だったらしい。


普段は上級職の魔法使いを使っているので魔法使いだとありがたかったのだが。


一通りチュートリアルを終えたが、やはりパソコンで操作するのと身体を動かして戦うのでは勝手が違う。


こんなことなら剣道でも習っておけばよかった。




準備も整えたことだし、最初の狩場「メメント森」に行ってみよう。


オリゴから北部に位置するこのダンジョンは、冒険の第一歩である。


俺がプレイしていたころは初心者がモンスターよりも多かったが、さすがサ終前のゲーム、俺以外にプレイヤーはおらず、モンスターが鬼湧きしていた。


訓練場でもらった基本ソードをスライムに振りかざすと、まるで水風船がはじけたかのような感触で気持ちいい。


訓練場で習った回転斬りや連続斬りを試していく。


モンスターが弱いとはいえ、こんなに倒していると才能あるかもと勘違いしてしまう。


その勘違いが仇となり、MPが枯渇してしまった。


モンスターが湧いてこないエリアに移動し、汗をぬぐっているその時、背後から何かが落ちた音が聞こえた。


赤ポーション100個と青ポーション100個である。


「よかったらどぞ」


上級職の僧侶が立っていた。


「ありがとうございます」


「こんな初心者ダンジョンに上級職の方がいるなんて珍しいですね」


「サービス終了する前に来ておこうと思って。ここのBGM好きだし」


「BGMいいですよね、久しぶりに聞きましたけど懐かしかったです」


「BGMはゲーム終わってもどっかで聞けるからいいですよね」


「そうですね」


「じゃ次のダンジョン行ってきますー」


「はい」


BGMはゲームが終わっても聞けると言っていたので、あの人はプレイヤーだろう。


ということは、粉雪もいる可能性が高い。


早くレベルをあげてポルトに向かわなければ。


プレイヤーであれば事情を話そうか迷ったが、見ず知らずの人だし、あの人が解決できる問題とは思えない。


それに、変人と思われて掲示板に晒されるのは絶対に避けたい。


このゲームではプレイマナーが悪いと掲示板に晒されることがある。


掲示板に晒されると、市場で商品を買ってもらえなかったり、ギルドに入れてもらえなかったり、制裁を受ける可能性がある。


迷惑行為の抑止力となる一方、無実の罪であることも多く、鵜呑みにしてはならないが。


粉雪に避けられてしまったら、また一から方法を考えなければならない。


ということで、ネチケットを守ってプレイしていこう。


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