18 【メインストーリー第4章】BOTを退治せよ
王都リベルタスの運営管理局にやってきた。
「冒険者、アウルムの剣を破壊していただきありがとうございました」
GMのエシャロットが頭を下げた。
「大変だったけど、途中でハンマーが光って全部壊れたんです」
「研鑽度が上がったようですね」
料理スキルや釣りスキルなど、何度も行うことで研鑽度が上がっていくものがある。
研鑽度が上がるとスキル効率も上がっていく。
「ハンマーの研鑽度なんて聞いたことないんですが」
「新しく実装されたんです」
サ終間近なのにいろいろと実装されるんだな。
「次のメインストーリーですが、BOT退治をお願いします」
BOTとは、AIで動いているプレイヤーのことである。
狩り場が荒されたり、レアアイテムの価値が下がったりと、ゲーム性が損なわれてしまう。
もちろんBOTを使うことは不正行為なのだが、運営がアカウントを削除しても次から次へと作成され、常にいたちごっこである。
ただそれも全盛期の話であり、過疎り始めてからはまったく目にしていない。
「今BOTっているんですか?」
「最近フォルトゥナの塔にBOTの目撃報告がありました」
フォルトゥナの塔は、高価なレアアイテムが手に入るダンジョンだ。
ここは横殴りをしても咎められず、プレイヤーとレアアイテムをめぐって敵を取り合うエリアとなっている。
全盛期はBOTの数も凄まじく、レアアイテムの取得権も、ラストアタック、コンボ数、総ダメージ量と変わっていき、そのたびにBOTの使用する職業も、弓使い、アサシン、魔法使いと変わっていった。
「やっぱり魔法使いですか?」
「いえ、アサシンが多いですね」
(なんでアサシンなんだ?)
そもそも今レアアイテムを手に入れたとしても、サ終前ではリアルマネートレードも機能していないだろう。
「BOTってどうやって退治するんですか?」
「このステッキを振ると消せます」
なんだその恐ろしいアイテムは。
「もちろんこれにも研鑽度がありますので、消しまくってくださいね」
また腕が痛くなりそうだ。
「これって何本かもらえませんか」
「1 本しかありません」
「そうですか…」
「その代わり引き続きフェレスが同行します」
「は!? 聞いてないんだけど!」
フェレスが目を丸くしている。
「嬉しいですわー♡ フェレス様♡」
ルーナ姫が抱きついた。
フェレスがいてくれるのは心強い。
支援要員としても、ルーナ姫の相手としても。
さあBOT退治にフォルトゥナの塔に行こう。
…というか、メインストーリーという名目で運営の仕事をやらされてないか?