14 【メインストーリー第3章】ゲームマスターの依頼
メインストーリー第 3 章は王都リベルタスの運営管理局で始まった。
「わざわざお越しいただいて申し訳ありません。GMのエシャロットと申します」
GM とはゲームの広報を行ったり、不正行為を取り締まったりする運営側のプレイヤーである。
このゲームにも何人か GM がおり、中にはアイドルさながらの人気を持つ GM もいる。
「GM がメインストーリーに絡むってどういうことですか」
「ちょっとあなたにしか頼めない要件でして」
(俺にしか頼めない?)
「アウルムの剣はご存じですか?」
「あー、あの増殖バグで話題になった剣ですね」
アウルムの剣は昔最強の武器として実装されたのだが、ある方法で誰でも大量に入手できてしまったのだ。
ゲームバランスが壊れかねないと判断した運営が、アウルムの剣を回収し使用できなくなったので、幻の武器として語り継がれている。
「あの剣が廃棄物処理施設に保管されているので、壊してほしいのです」
「え、データ削除できないんですか?」
「バグで削除できないみたいなんです」
そんなバグ前代未聞すぎる。
「それに、あの剣に微量のマナが宿っているみたいで、モンスターが寄り付くようになってしまったんです」
「そのマナを処理するのに俺の力が必要ということですか?」
「いえ、マナの処理は施設に駐在している魔導士がするので、護衛と剣の破壊をお願いします」
(ん…?)
「剣の破壊に俺の力が必要ということですか?」
「いえ、ただハンマーで砕いてください」
何の変哲もないハンマーを手渡された。
そんな物理的な方法で!?
俺じゃなくてもできるじゃん!!
「パーティが増えて冒険らしくなってきましたわね♡」
ルーナ姫は上機嫌だ。
しょうがない、さっさと終わらせてくるか。